最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
音楽配信アプリ営業秘密事件
東京地裁令和8.5.27令和2(ワ)32989不正競争行為差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 高橋 彩
裁判官 西山芳樹
裁判官 瀧澤惟子
*裁判所サイト公表 2026.9.4
*キーワード:営業秘密、ソフト、プログラム、翻案
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■事案
歌詞同期機能がある音楽配信アプリサービスについて、不正競争行為などが争点となった事案
原告:ソフトウェア企画開発会社
被告:音楽映像データ配信会社
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■結論
請求却下、棄却
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項7号、11号、著作権法21条、27条
1 本件差止対象データに係る差止め等の訴えの特定の有無
2 被告が同期歌詞データを不正の手段により取得し、使用又は開示したか
3 ソケッツSDKが本件SDKを複製又は翻案したものであるか
4 本件SDKが営業秘密に該当するか等
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■事案の概要
『本件は、原告が被告に対し、1被告が、限定提供データである原告の同期歌詞データを不正に取得、使用及び開示したとして、これが不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項11号所定の不正競争に当たると主張して、(1)不競法3条1項及び2項に基づく別紙1同期歌詞データ目録記載の楽曲の同期歌詞データ(以下「本件差止対象データ」という。)の使用及び開示の差止め並びに消去(請求の趣旨1項、2項)、(2)不競法4条に基づく損害賠償金3億6000万円(侵害期間は平成30年4月1日から令和7年3月31日まで)及び遅延損害金の支払(請求の趣旨7項)を、2被告が、原告の営業秘密であり、著作物である別紙2プログラム目録1記載のプログラム(以下、併せて「本件SDK」という。)について、(1)使用及び開示したとして、これが不競法2条1項7号所定の不正競争に当たると主張して、不競法3条1項及び2項に基づく本件SDKの使用及び開示の差止め並びに別紙3プログラム目録2記載のプログラム(以下「ソケッツSDK」という。)の消去(請求の趣旨3項、4項)、(2)複製又は翻案したとして、著作権法112条1項及び2項に基づく本件SDKの複製、翻案の差止め及びソケッツSDKの消去(請求の趣旨5項、6項)、(3)不競法4条又は著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償金3億6000万円(侵害期間は上記⑴と同じ)及び遅延損害金の支払(請求の趣旨8項)を求める事案である。』(2頁以下)
本件アプリ:レコチョク音楽配信サービスで同期歌詞表示機能がある音楽再生アプリケーション
〈経緯〉
H25 原告がレコチョクに本件SDKと同期歌詞データを提供
H25 レコチョクが被告に本件SDKの仕様書を提供
H29 被告がレコチョクにソケッツSDKを納品
R02 原告が被告及びレコチョクに本件訴訟提起 レコチョクと訴訟上の和解成立
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■判決内容
<争点>
1 本件差止対象データに係る差止め等の訴えの特定の有無
裁判所は、原告が審理経過や請求原因の主張等に照らして、本件における審判対象を的確に特定していないとして、本件差止対象データの特定は不十分と判断。本件訴えのうち、本件差止対象データを第三者に開示し又は自ら使用することの差止めを求める部分及び本件差止対象データの消去を求める部分は、いずれも訴えの特定を欠き、不適法であると判断しています(15頁以下)。
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2 被告が同期歌詞データを不正の手段により取得し、使用又は開示したか
本件同期歌詞データについて、令和元年7月1日以後の「取得」「開示」といった事実が認定されず、結論として、同期歌詞データに係る不正競争を理由とする不競法4条に基づく損害賠償請求は理由がないと判断されています(17頁以下)。
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3 ソケッツSDKが本件SDKを複製又は翻案したものであるか
ソケッツSDKが本件SDKを複製又は翻案したものであるかどうかについて、裁判所は、まず翻案の意義に関して最高裁判所の判決(江差追分事件 最高裁平成11(受)922平成13年6月28日第一小法廷判決)を示したうえで、プログラムの特性についても言及。
そして、原告においてプログラムの具体的記述を対比している本件対象部分1及び2について検討がされています(20頁以下)。
裁判所は、本件対象部分1、本件対象部分2における両ソースコードの記載に共通する部分があるとしても、ありふれた表現であるとして、当該部分について表現上の創作性を認めることができないと判断。
結論として、本件対象部分1及び2の対比によっても、ソケッツSDKが本件SDKを複製又は翻案したものであるということはできないと判断しています。
以上から、原告の著作権に基づく差止め等請求及び損害賠償請求は否定されています。
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4 本件SDKが営業秘密に該当するか等
原告は、被告が、原告から示された営業秘密である本件SDKを参照してソケッツSDKを制作し、平成29年12月12日以降、レコチョクに対してソケッツSDKを納品した行為が、営業秘密である本件SDKの使用又は開示に当たり、不競法2条1項7号所定の不正競争に該当すると主張しました(40頁以下)。
裁判所は、ソケッツSDKと本件SDKにおいて共通するプログラム構造や記載に係る情報が有用であるとはいえず、共通するプログラムの記載部分も極めて限定的であることから、仮にソケッツSDKが営業秘密であり、被告がソケッツSDKを制作した際に本件SDKを参照した可能性を否定できないとしても、被告の行為が営業秘密の使用又は開示(2条1項7号)に当たると評価することはできないと判断。
結論として、被告がソケッツSDKを制作してレコチョクに納品した行為について、2条1項7号所定の不正競争は成立しないと判断しています。
以上から、本件SDKに係る不正競争を理由とする同法3条に基づく差止及び廃棄請求並びに同法4条に基づく損害賠償請求は否定されています。
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■コメント
音楽配信サービスに関連するソフトウェアなどを巡って、営業秘密性と翻案性が争点となった事案です。
音楽配信アプリ営業秘密事件
東京地裁令和8.5.27令和2(ワ)32989不正競争行為差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 高橋 彩
裁判官 西山芳樹
裁判官 瀧澤惟子
*裁判所サイト公表 2026.9.4
*キーワード:営業秘密、ソフト、プログラム、翻案
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■事案
歌詞同期機能がある音楽配信アプリサービスについて、不正競争行為などが争点となった事案
原告:ソフトウェア企画開発会社
被告:音楽映像データ配信会社
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■結論
請求却下、棄却
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項7号、11号、著作権法21条、27条
1 本件差止対象データに係る差止め等の訴えの特定の有無
2 被告が同期歌詞データを不正の手段により取得し、使用又は開示したか
3 ソケッツSDKが本件SDKを複製又は翻案したものであるか
4 本件SDKが営業秘密に該当するか等
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■事案の概要
『本件は、原告が被告に対し、1被告が、限定提供データである原告の同期歌詞データを不正に取得、使用及び開示したとして、これが不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項11号所定の不正競争に当たると主張して、(1)不競法3条1項及び2項に基づく別紙1同期歌詞データ目録記載の楽曲の同期歌詞データ(以下「本件差止対象データ」という。)の使用及び開示の差止め並びに消去(請求の趣旨1項、2項)、(2)不競法4条に基づく損害賠償金3億6000万円(侵害期間は平成30年4月1日から令和7年3月31日まで)及び遅延損害金の支払(請求の趣旨7項)を、2被告が、原告の営業秘密であり、著作物である別紙2プログラム目録1記載のプログラム(以下、併せて「本件SDK」という。)について、(1)使用及び開示したとして、これが不競法2条1項7号所定の不正競争に当たると主張して、不競法3条1項及び2項に基づく本件SDKの使用及び開示の差止め並びに別紙3プログラム目録2記載のプログラム(以下「ソケッツSDK」という。)の消去(請求の趣旨3項、4項)、(2)複製又は翻案したとして、著作権法112条1項及び2項に基づく本件SDKの複製、翻案の差止め及びソケッツSDKの消去(請求の趣旨5項、6項)、(3)不競法4条又は著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償金3億6000万円(侵害期間は上記⑴と同じ)及び遅延損害金の支払(請求の趣旨8項)を求める事案である。』(2頁以下)
本件アプリ:レコチョク音楽配信サービスで同期歌詞表示機能がある音楽再生アプリケーション
〈経緯〉
H25 原告がレコチョクに本件SDKと同期歌詞データを提供
H25 レコチョクが被告に本件SDKの仕様書を提供
H29 被告がレコチョクにソケッツSDKを納品
R02 原告が被告及びレコチョクに本件訴訟提起 レコチョクと訴訟上の和解成立
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■判決内容
<争点>
1 本件差止対象データに係る差止め等の訴えの特定の有無
裁判所は、原告が審理経過や請求原因の主張等に照らして、本件における審判対象を的確に特定していないとして、本件差止対象データの特定は不十分と判断。本件訴えのうち、本件差止対象データを第三者に開示し又は自ら使用することの差止めを求める部分及び本件差止対象データの消去を求める部分は、いずれも訴えの特定を欠き、不適法であると判断しています(15頁以下)。
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2 被告が同期歌詞データを不正の手段により取得し、使用又は開示したか
本件同期歌詞データについて、令和元年7月1日以後の「取得」「開示」といった事実が認定されず、結論として、同期歌詞データに係る不正競争を理由とする不競法4条に基づく損害賠償請求は理由がないと判断されています(17頁以下)。
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3 ソケッツSDKが本件SDKを複製又は翻案したものであるか
ソケッツSDKが本件SDKを複製又は翻案したものであるかどうかについて、裁判所は、まず翻案の意義に関して最高裁判所の判決(江差追分事件 最高裁平成11(受)922平成13年6月28日第一小法廷判決)を示したうえで、プログラムの特性についても言及。
そして、原告においてプログラムの具体的記述を対比している本件対象部分1及び2について検討がされています(20頁以下)。
裁判所は、本件対象部分1、本件対象部分2における両ソースコードの記載に共通する部分があるとしても、ありふれた表現であるとして、当該部分について表現上の創作性を認めることができないと判断。
結論として、本件対象部分1及び2の対比によっても、ソケッツSDKが本件SDKを複製又は翻案したものであるということはできないと判断しています。
以上から、原告の著作権に基づく差止め等請求及び損害賠償請求は否定されています。
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4 本件SDKが営業秘密に該当するか等
原告は、被告が、原告から示された営業秘密である本件SDKを参照してソケッツSDKを制作し、平成29年12月12日以降、レコチョクに対してソケッツSDKを納品した行為が、営業秘密である本件SDKの使用又は開示に当たり、不競法2条1項7号所定の不正競争に該当すると主張しました(40頁以下)。
裁判所は、ソケッツSDKと本件SDKにおいて共通するプログラム構造や記載に係る情報が有用であるとはいえず、共通するプログラムの記載部分も極めて限定的であることから、仮にソケッツSDKが営業秘密であり、被告がソケッツSDKを制作した際に本件SDKを参照した可能性を否定できないとしても、被告の行為が営業秘密の使用又は開示(2条1項7号)に当たると評価することはできないと判断。
結論として、被告がソケッツSDKを制作してレコチョクに納品した行為について、2条1項7号所定の不正競争は成立しないと判断しています。
以上から、本件SDKに係る不正競争を理由とする同法3条に基づく差止及び廃棄請求並びに同法4条に基づく損害賠償請求は否定されています。
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■コメント
音楽配信サービスに関連するソフトウェアなどを巡って、営業秘密性と翻案性が争点となった事案です。