最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

ウルトラマン利用権不存在確認事件

東京地裁令和8.5.14令和6(ワ)70067利用権不存在確認請求事件PDF
別紙

東京地方裁判所民事第 47 部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官    島村陽子
裁判官    松尾恵梨佳

*裁判所サイト公表 2026.7.31
*キーワード:確認の利益、ライセンス契約、解約

   --------------------

■事案

ウルトラマン作品に関する独占的利用許諾契約の解約の成否が争点となった事案

原告:円谷プロダクション
被告:ユーエム

   --------------------

■結論

請求認容

   --------------------

■争点

1 訴えの利益の有無
2 76年契約解約の成否

   --------------------

■事案の概要

『本件は、別紙著作物目録記載の作品(以下「本件各作品」という。)の著作権を有する原告が、原告と故A(以下「故A」という。)との間で締結されたとされる本件各作品の日本以外の国における昭和51年(1976年)3月4日付け独占的利用許諾契約(以下「76年契約」という。)に基づく利用権(以下「本件利用権」という。)を故Aから譲り受けたと主張する被告に対し、平成26年(2014年。主位的主張)又は本件の訴状陳述(予備的主張)によって76年契約を解約した旨を主張して、現時点において被告が本件利用権を有しないことの確認を求める事案である』(2頁以下)

〈経緯など〉

原告:ウルトラマン作品著作権管理会社
被告:故Aの子が代表者の舞台・映像関係会社
76年書面:76年契約に係る昭和51年(1976年)3月4日付けライセンス付与契約書
故Bを代表者とする原告が、チャイヨ・フィルム・カムパニー・リミテッドの代表者である故Aを相手方として締結された合意の内容を記載したもの
タイ訴訟:平成9年(1997年)12月タイ国際貿易・知的財産中央裁判所提訴
東京訴訟1:東京地裁平成13(ワ)12140著作権確認等請求事件、東京高裁平成15(ネ)1532著作権確認等請求控訴事件、上告不受理決定
東京訴訟2:東京地裁平成21(ワ)6194譲受債権請求承継参加申立事件、知財高裁平成22(ネ)10080譲受債権請求承継参加申立控訴事件、上告不受理決定
中国訴訟:平成17年(2005年)9月30日中国広東省広州市中級人民法院提訴
米国訴訟:平成29年(2017年)カリフォルニア中部地区連邦地方裁判所訴訟
2014年解約:平成26年(2014年)7月10日76年契約解約通知

   --------------------

■判決内容

<争点>

1 訴えの利益の有無

裁判所は、確認の利益について、原告と被告との76年契約に係る法律関係(被告の本件利用権の有無)
について、原告の法的地位に現に危険・不安が存在するというべきであると判断。
また、日本以外の国において本件各作品を含むウルトラマン作品の複製・頒布等や新たなウルトラマン作品の制作を行う第三者らが、被告の本件利用権を前提とした利用許諾契約の存在を主張していることに鑑みれば、現在において被告が本件利用権を有しないことを確認することは、今後、原告と被告との間の権利関係を明確にし、原告と被告との間の紛争を防止するために必要かつ適切であり、また、その目的達成のため直接的かつ効果的であると判断。
結論として、確認の利益の存在を認めています(18頁以下)。

   --------------------

2 76年契約解約の成否

(1)76年契約の理解

裁判所は、76年書面は、原告と故Aとの間で締結された本件各作品に係る、期間の定めのない独占的利用許諾契約を証する書面として作成されたものと理解するのが相当であると判断しています(21頁以下)。

(2)2014年解約の成否

裁判所は、当事者は、契約関係を継続することを期待し難い重大な事由があるときは、その契約を将来に向かって解除(解約)できるものと解するのが相当である旨説示した上で、結論として、2014年解約によって76年契約は解約されて終了したと判断しています(23頁以下)。

以上から、原告と被告との間の本件各作品に係る独占的利用許諾契約は既に解約により終了しており、被告は、現時点において、同契約に基づく本件利用権を有しないとして、原告の請求には理由があるとして認容しています。

   --------------------

■コメント

複雑な経過をたどったウルトラマン関連の確認訴訟となります。