最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

ELLE JAPAN動画無断改変事件

東京地裁令和8.3.25令和6(ワ)70548等著作権侵害に基づく損害賠償請求事件等PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 高橋 彩
裁判官    西山芳樹
裁判官    瀧澤惟子

*裁判所サイト公表 2026.6.24
*キーワード:職務著作、改変、氏名表示権、同一性保持権、損害論

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■事案

「ELLE JAPAN」で配信されていたコンテンツ動画が無断改変された事案

原告:出版社ら
被告:健康食品販売会社、代表取締役

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法23条、19条、20条、114条3項、会社法429条1項

1 本件動画の著作者及び著作権者
2 著作者人格権侵害の成否
3 会社法429条1項に基づく責任の成否
4 原告らの損害の発生及びその額

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■事案の概要

『本件は、原告らが被告らに対し、被告会社が、原告ハースト婦人画報社が著作権者であり、原告ハースト・デジタル・ジャパンが著作者である動画(以下「本件動画」という。)を一部改変して無断でInstagramに投稿したことにより、原告ハースト婦人画報社の著作権(公衆送信権)及び原告ハースト・デジタル・ジャパンの著作者人格権(同一性保持権、氏名表示権)を侵害したと主張して、被告会社につき民法709条に基づき、被告会社の代表取締役である被告Aにつき会社法429条1項に基づき、原告ハースト婦人画報社に対する損害賠償金275万円及び原告ハースト・デジタル・ジャパンに対する損害賠償金55万円並びにこれらに対する遅延損害金の連帯支払を求める事案である。』(3頁)

〈経緯〉

R04.02 公式YouTubeチャンネル「ELLE JAPAN」で本件動画配信
R06.04 被告会社Instagramで被告動画配信

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■判決内容

<争点>

1 本件動画の著作者及び著作権者

裁判所は、本件動画の映画の著作物性(著作権法2条3項)を認定した上で、本件動画の著作者は原告ハースト・デジタル・ジャパンであると判断(15条1項)。
また、本件動画の著作権者については、本件業務委託契約により、原告ハースト・デジタル・ジャパンが制作した成果物の著作権が、成果物が原告ハースト婦人画報社に提出された時に同原告に移転しているとして、本件投稿の時点では、原告ハースト婦人画報社が本件動画の著作権者であると認定されています(9頁以下)。

そして、被告動画が本件動画の二次的著作物に当たることは明らかであり、被告会社は、本件投稿により、原告ハースト婦人画報社の著作権(公衆送信権)を侵害したものであり、本件動画の配信態様に照らし、被告会社には故意が認められると裁判所は判断。被告会社は、民法709条に基づき、同原告が被った損害を賠償する義務を負うと判断しています。

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2 著作者人格権侵害の成否

(1)同一性保持権

被告会社は、本件動画に改変を加えて被告動画を作成しており、被告会社による改変が本件動画の制作意図に沿わないものであることは、その改変内容に照らして明らかであると裁判所は判断。
著作者である原告ハースト・デジタル・ジャパンの意に反して本件動画の表現を改変したものということができるとして、被告会社は、被告動画の作成により、同原告の同一性保持権を侵害したと認めています(11頁)。

(2)氏名表示権

原告ハースト・デジタル・ジャパンは、著作物について、通常他社に著作物の二次使用を許諾する際には氏名表示の指定を行っていることから、被告会社は、無断で本件投稿をして被告動画を公衆に提示し、同原告は氏名表示の指定を行うことができなかったと裁判所は判断。
被告会社は、本件投稿により、同原告の氏名表示権を侵害したと認めています(11頁以下)。

裁判所は、被告会社には原告ハースト・デジタル・ジャパンの著作者人格権侵害についての故意が認められるとして、被告会社は民法709条に基づき、同原告が被った損害を賠償する義務を負うと判断しています。

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3 会社法429条1項に基づく責任の成否

本件投稿は、原告ハースト婦人画報社の著作権(公衆送信権)及び原告ハースト・デジタル・ジャパンの著作者人格権(氏名表示権)を、被告動画の作成は、同原告の著作者人格権(同一性保持権)を侵害するものであり、被告会社の代表取締役である被告Aは、被告会社による原告らの権利侵害を看過したものであると裁判所は判断。
被告Aは、少なくとも重大な過失によりその任務を怠ったと認められ、被告Aはその職務を行うにつき、重大な過失により原告らに損害を与えたものであり、会社法429条1項に基づき、原告らが権利侵害により被った損害を賠償する義務を負うと裁判所は判断しています(12頁)。

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4 原告らの損害の発生及びその額

(1)原告ハースト婦人画報社の損害

(ア)著作権法114条3項 100万円
(イ)弁護士費用相当額損害  10万円

(2)原告ハースト・デジタル・ジャパンの損害

(ア)非財産的損害
同一性保持権侵害 40万円
氏名表示権侵害  10万円

(イ)弁護士費用相当額損害 合計5万円

被告会社の民法709条に基づく各損害賠償義務と被告Aの会社法429条1項に基づく各損害賠償義務とは、不真正連帯債務の関係
(13頁以下)

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■コメント

「ELLE JAPAN」YouTubeチャンネルのSDGs関連動画の無断改変配信事件となります。