最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

寺院ショート伝道掲示法話著作物事件

大阪地裁令和8.3.23令和7(ワ)1734債務不存在確認等請求事件PDF
別紙

大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 松阿彌隆
裁判官    島田美喜子
裁判官    西尾太一

*裁判所サイト公表 2026.4.3
*キーワード:著作物性、伝道掲示板、法話、説教、教訓、標語看板、虚偽事実告知、不正競争行為

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■事案

寺院のショート掲示法話に関連して著作権侵害性の虚偽告知事実性が争点となった事案

原告:宗教法人、住職
被告:SNSインフルエンサー

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、23条、不正競争防止法2条1項21号

1 本件告知行為1が虚偽事実の告知として不正競争となるか
2 本件告知行為2が虚偽事実の告知として不正競争となるか

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■事案の概要

『(1)原告aの請求
原告aによる原告作品の投稿等が著作権侵害である旨を含む本件告知行為1、同2が不正競争(不競法2条1項21号)に該当することを前提とする、
ア 上記著作権侵害に係る不法行為に基づく損害賠償債務及び不当利得返還債務が存在しないことの確認請求(第1の1)
イ 上記著作権侵害がある旨等の告知の差止請求(第1の2)
ウ 不競法4条に基づく損害賠償金220万円及び不正競争の後日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払請求(第1の3)
(2)原告寺の請求
本件告知行為1、同2が原告寺に対する不正競争に該当することを前提とする、不競法4条に基づく損害賠償金220万円及び不正競争の後日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払請求(第1の4)』(3頁)

〈経緯〉

R03.06 原告住職が短文等をSNSに投稿
R05.11 原告住職が原告書籍出版
R05.11 被告が出版社に通知。出版社が絶版措置
R06.1  関係者で協議
    被告が交渉窓口であるP社に原告らに関する情報を伝達
    (本件告知行為1)
R06.10 被告が総本山に連絡(本件告知行為2)

原告書籍:「しんどい心が軽くなる 今日のネコさんの教え」
被告作品:別紙目録21点

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■判決内容

<争点>

1 本件告知行為1が虚偽事実の告知として不正競争となるか

原告a(住職)が著作権を侵害した旨の被告による出版社への告知が虚偽にあたるかどうかについて、裁判所は著作権侵害の事実の成否を判断しています。

(1)著作物性

まず、被告作品の著作物性について、
「被告作品は、一行当たり4文字ないし13文字の文字数の五行歌様の文章であり、その表現内容や構成には一定の選択の幅があるといえるところ、被告は、そのような選択の幅の中から、語のリズム、語感、テンポ等を踏まえて被告作品の表現内容や構成を選択したと認められ、そのような表現内容や構成がありふれたものとは認められない。」として、その著作物性を肯定。
被告作品は、被告の「思想又は感情を創作的に表現」した、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する」言語の著作物(著作権法2条1項1号、10条1項1号)であると判断しています(10頁以下)。

(2)複製性、翻案性

その上で、翻案権侵害性について、江差追分事件最高裁判決に言及した上で、原告作品と被告作品とを対比して検討。
結論として、原告作品は被告作品を翻案したものと認めています(11頁)。

(3)虚偽事実性

結論として、裁判所は、原告aによる本件各投稿や本件各書籍記事を含む原告書籍の出版は、被告作品に係る被告の著作権を侵害するものであり、この点の告知は虚偽事実を告知したものとはいえないなどとして、虚偽事実告知性を否定しています。
まとめとして、本件告知行為1は、虚偽事実を告知するものとはいえず、被告に不正競争行為性の成立は否定されています。

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2 本件告知行為2が虚偽事実の告知として不正競争となるか

被告による総本山に対する情報送信について、裁判所は虚偽事実を告知するものではないとして、被告に不正競争は成立しないと判断しています(14頁以下)。

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■コメント

別紙を見ると、寺院の門前に「今月のことば」(ショート法話、標語看板、掲示伝道)として掲げられている短文の類であることがわかります。こうした短文についても著作物性がある、ということが不正競争防止法を主な争点とするなかで論点とされた事案となります。
ちなみに、教会の入口だと、聖書の一節が掲げられていることが多いのかな、という印象です。