最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
映画「ゾンビ」字幕翻訳氏名表示事件
東京地裁令和8.3.5令和6(ワ)70368損害賠償請求事件PDF
別紙1
別紙2
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 中島基至
裁判官 武富可南
裁判官 坂本達也
*裁判所サイト公表 2026.3.19
*キーワード:翻訳、映画字幕、氏名表示権、翻訳家、消滅時効、過失相殺
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■事案
映画「ゾンビ ディレクターズカット版」の字幕翻訳に関して氏名表示などが争点となった事案
原告:映画翻訳業者
被告、補助参加人 :放送事業者ら
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法19条、23条
1 公衆送信に対する許諾の有無
2 氏名を表示しない許諾の有無
3 著作権法19条2項の適用の有無
4 著作権法19条3項の適用の有無
5 過失の有無
6 客観的関連共同性
7 消滅時効の成否
8 損害額及び過失相殺の要否
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■事案の概要
『本件は、外国語の映画である別紙映画目録記載の映画(以下「本件映画」という。)を翻訳して日本語の字幕データ(以下「本件字幕」という。)を制作した原告が、被告SPE、被告SPJ及び被告アイキャストが運営する各プラットフォームにおいて、字幕の翻訳者として原告の氏名を表示することなく本件字幕を付した本件映画を公衆送信した行為が、本件字幕についての原告の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権)を侵害すると主張して、上記各被告、上記各被告に本件映画を供給した被告AXN及び被告ジャパネット並びに本件字幕を付した本件映画を制作した被告フィールドワークスに対し、不法行為に基づき、(1)被告SPE、被告SPJ、被告AXN、被告アイキャスト及び被告フィールドワークスに対し、損害賠償金2747万6740円(著作権侵害に基づく損害金2647万6740円と著作者人格権侵害に基づく慰謝料100万円の合計額)及びこれに対する令和元年7月1日(最終不法行為日の翌日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、(2)被告SPE、被告SPJ、被告アイキャスト、被告ジャパネット及び被告フィールドワークスに対し、損害賠償金1728万5100円(著作権侵害に基づく損害金1578万5100円と著作者人格権侵害に基づく慰謝料150万円の合計額)及びこれに対する平成29年2月1日(最終不法行為日の翌日)から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。』(4頁以下)
〈経緯〉
H06 「ゾンビ ディレクターズカット版」日本公開
H21.12 補助参加人Bが原告に翻訳依頼
H22.03 原告が納品
本件映画:「ゾンビ ディレクターズカット版」(139分版の本編で1994年に日本の劇場で公開されたバージョン)
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■判決内容
<争点>
1 公衆送信に対する許諾の有無
原告は、本件字幕の翻訳につき受領した金銭が翻訳料に限られると主張するのに対して、被告らは、上記金銭が翻訳料のほかに、使用許諾料(DVD販売及びTV放送)を含むと反論しました。
結論として、裁判所は、原告は、補助参加人Bから、本件字幕につき「オールライツ・クリア」の条件の申込みをし、原告は、当該申込みに対して、同意をしていたものと認めるのが相当であると判断。そして、上記にいう「オールライツ・クリア」とは、少なくともDVD販売とTV放送における本件字幕の利用を含むものと解するのが相当であると判断。
原告は、平成21年12月28日、本件字幕の公衆送信に対し許諾していたものと認めるのが相当であると判断しています(17頁以下)。
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2 氏名を表示しない許諾の有無
結論として、裁判所は、「オールライツ・クリア」に関する合意には、氏名表示権の不行使は含まれていなかったものと認めることが相当であると判断。
原告は、本件字幕の公衆送信に当たり、氏名表示権の不行使を許諾したものとはいえないと判断しています(18頁以下)。
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3 著作権法19条2項の適用の有無
被告らは、字幕翻訳者からの要望がない限り、氏名表示の要否については、当該映画作品の制作者又は販売者の裁量に委ねられるところ、原告が氏名表示を求めることはなかった旨主張。本件字幕は、原告によって著作者名を表示しないという選択がなされたものであり、被告らが原告の氏名を表示しなかったことは、著作権法19条2項にいう「すでに著作者が表示しているところに従って」、著作者名を表示しなかったものとして、本件には同項が適用される旨主張しました(21頁)。
結論として、裁判所は被告らのこの点の主張を認めていません。
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4 著作権法19条3項の適用の有無
被告らは、字幕翻訳者からの要望がない限り、氏名表示の要否は、当該映画作品の制作者又は販売者の裁量に委ねられるところ、原告が氏名表示を求めることはなかったと主張。本件字幕は、原告自ら著作者名を表示しない選択をしたものであり、被告らが原告の氏名を表示しなかったことは、著作権法19条3項にいう「著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがない」ものとして省略できる場合であるとして、本件には同項が適用される旨主張しました(21頁以下)。
結論として、裁判所は被告らのこの点の主張を認めていません。
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5 過失の有無
氏名表示権侵害に係る過失の有無について、裁判所は、結論として、被告フィールドワークスについては、本件映画の放送又は配信に当たり、原告に対して、氏名表示の要否について一切確認しなかったことから、注意義務に違反する過失があると判断しています(22頁以下)。
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6 客観的関連共同性
裁判所は、結論として、被告フィールドワークスは、本件字幕が放送又は配信されることを当初から予定してその制作を依頼し、被告AXN及び被告ジャパネットに利用を許諾していることから、放送又は配信による本件字幕に係る氏名表示権侵害について、客観的に共同で行ったものと認めるのが相当であると判断しています(40頁以下)。
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7 消滅時効の成否
被告フィールドワークスに対する損害賠償請求権について、裁判所は、結論として消滅時効の成立を否定しています(41頁以下)。
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8 損害額及び過失相殺の要否
(1)氏名表示権侵害による慰謝料額
「ザ・シネマ」の放送又は配信分 30万円
「スターチャンネル」の放送又は配信分 20万円
なお、被告フィールドワークスが主張する過失相殺は認められていません(42頁以下)。
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■コメント
原告代理人に小倉秀夫先生のお名前がみえます。
映画「ゾンビ」字幕翻訳氏名表示事件
東京地裁令和8.3.5令和6(ワ)70368損害賠償請求事件PDF
別紙1
別紙2
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 中島基至
裁判官 武富可南
裁判官 坂本達也
*裁判所サイト公表 2026.3.19
*キーワード:翻訳、映画字幕、氏名表示権、翻訳家、消滅時効、過失相殺
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■事案
映画「ゾンビ ディレクターズカット版」の字幕翻訳に関して氏名表示などが争点となった事案
原告:映画翻訳業者
被告、補助参加人 :放送事業者ら
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法19条、23条
1 公衆送信に対する許諾の有無
2 氏名を表示しない許諾の有無
3 著作権法19条2項の適用の有無
4 著作権法19条3項の適用の有無
5 過失の有無
6 客観的関連共同性
7 消滅時効の成否
8 損害額及び過失相殺の要否
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■事案の概要
『本件は、外国語の映画である別紙映画目録記載の映画(以下「本件映画」という。)を翻訳して日本語の字幕データ(以下「本件字幕」という。)を制作した原告が、被告SPE、被告SPJ及び被告アイキャストが運営する各プラットフォームにおいて、字幕の翻訳者として原告の氏名を表示することなく本件字幕を付した本件映画を公衆送信した行為が、本件字幕についての原告の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権)を侵害すると主張して、上記各被告、上記各被告に本件映画を供給した被告AXN及び被告ジャパネット並びに本件字幕を付した本件映画を制作した被告フィールドワークスに対し、不法行為に基づき、(1)被告SPE、被告SPJ、被告AXN、被告アイキャスト及び被告フィールドワークスに対し、損害賠償金2747万6740円(著作権侵害に基づく損害金2647万6740円と著作者人格権侵害に基づく慰謝料100万円の合計額)及びこれに対する令和元年7月1日(最終不法行為日の翌日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、(2)被告SPE、被告SPJ、被告アイキャスト、被告ジャパネット及び被告フィールドワークスに対し、損害賠償金1728万5100円(著作権侵害に基づく損害金1578万5100円と著作者人格権侵害に基づく慰謝料150万円の合計額)及びこれに対する平成29年2月1日(最終不法行為日の翌日)から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。』(4頁以下)
〈経緯〉
H06 「ゾンビ ディレクターズカット版」日本公開
H21.12 補助参加人Bが原告に翻訳依頼
H22.03 原告が納品
本件映画:「ゾンビ ディレクターズカット版」(139分版の本編で1994年に日本の劇場で公開されたバージョン)
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■判決内容
<争点>
1 公衆送信に対する許諾の有無
原告は、本件字幕の翻訳につき受領した金銭が翻訳料に限られると主張するのに対して、被告らは、上記金銭が翻訳料のほかに、使用許諾料(DVD販売及びTV放送)を含むと反論しました。
結論として、裁判所は、原告は、補助参加人Bから、本件字幕につき「オールライツ・クリア」の条件の申込みをし、原告は、当該申込みに対して、同意をしていたものと認めるのが相当であると判断。そして、上記にいう「オールライツ・クリア」とは、少なくともDVD販売とTV放送における本件字幕の利用を含むものと解するのが相当であると判断。
原告は、平成21年12月28日、本件字幕の公衆送信に対し許諾していたものと認めるのが相当であると判断しています(17頁以下)。
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2 氏名を表示しない許諾の有無
結論として、裁判所は、「オールライツ・クリア」に関する合意には、氏名表示権の不行使は含まれていなかったものと認めることが相当であると判断。
原告は、本件字幕の公衆送信に当たり、氏名表示権の不行使を許諾したものとはいえないと判断しています(18頁以下)。
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3 著作権法19条2項の適用の有無
被告らは、字幕翻訳者からの要望がない限り、氏名表示の要否については、当該映画作品の制作者又は販売者の裁量に委ねられるところ、原告が氏名表示を求めることはなかった旨主張。本件字幕は、原告によって著作者名を表示しないという選択がなされたものであり、被告らが原告の氏名を表示しなかったことは、著作権法19条2項にいう「すでに著作者が表示しているところに従って」、著作者名を表示しなかったものとして、本件には同項が適用される旨主張しました(21頁)。
結論として、裁判所は被告らのこの点の主張を認めていません。
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4 著作権法19条3項の適用の有無
被告らは、字幕翻訳者からの要望がない限り、氏名表示の要否は、当該映画作品の制作者又は販売者の裁量に委ねられるところ、原告が氏名表示を求めることはなかったと主張。本件字幕は、原告自ら著作者名を表示しない選択をしたものであり、被告らが原告の氏名を表示しなかったことは、著作権法19条3項にいう「著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがない」ものとして省略できる場合であるとして、本件には同項が適用される旨主張しました(21頁以下)。
結論として、裁判所は被告らのこの点の主張を認めていません。
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5 過失の有無
氏名表示権侵害に係る過失の有無について、裁判所は、結論として、被告フィールドワークスについては、本件映画の放送又は配信に当たり、原告に対して、氏名表示の要否について一切確認しなかったことから、注意義務に違反する過失があると判断しています(22頁以下)。
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6 客観的関連共同性
裁判所は、結論として、被告フィールドワークスは、本件字幕が放送又は配信されることを当初から予定してその制作を依頼し、被告AXN及び被告ジャパネットに利用を許諾していることから、放送又は配信による本件字幕に係る氏名表示権侵害について、客観的に共同で行ったものと認めるのが相当であると判断しています(40頁以下)。
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7 消滅時効の成否
被告フィールドワークスに対する損害賠償請求権について、裁判所は、結論として消滅時効の成立を否定しています(41頁以下)。
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8 損害額及び過失相殺の要否
(1)氏名表示権侵害による慰謝料額
「ザ・シネマ」の放送又は配信分 30万円
「スターチャンネル」の放送又は配信分 20万円
なお、被告フィールドワークスが主張する過失相殺は認められていません(42頁以下)。
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■コメント
原告代理人に小倉秀夫先生のお名前がみえます。