最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

SNS画像投稿引用事件

東京地裁令和7.12.25令和6(ワ)14955著作権侵害差止等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 中島基至
裁判官    武富可南
裁判官    坂本達也

*裁判所サイト公表 2026.1.14
*キーワード:引用

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■事案

SNSへの画像無断投稿が引用に該当するかどうかが争点となった事案

原告:情報通信システム設計会社
被告:SNS投稿者

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■結論

請求却下、棄却

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■争点

条文 著作権法32条1項

1 引用の抗弁の成否

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■事案の概要

『本件は、原告が、被告に対し、被告による別紙投稿記事目録1記載の投稿が、原告の著作権(複製権又は譲渡権)を侵害するものであるとして、著作権法112条に基づき、上記投稿の削除及び別紙著作物目録記載の画像(以下「本件元画像」という。)の複製、自動公衆送信の差止めを求める事案である。』(1頁)

〈経緯〉

R5.07 原告とDが本件元画像の著作権譲渡契約 
R6.04 DがXに本件元画像を投稿
R6.04 被告がXに本件投稿
R6.05 原告代表者がX.corpに著作権侵害申立

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■判決内容

<争点>

1 引用の抗弁の成否

裁判所は引用の意義について、『著作権法32条1項は、公表された著作物は、公正な慣行に合致し、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で、引用して利用することができる旨規定するところ、公正な慣行に合致し、かつ、引用の目的上正当な範囲内であるかどうかは、社会通念に照らし、他人の著作物を利用する目的のほか、その方法や態様、利用される著作物の種類や性質、当該著作物の著作権者に及ぼす影響の程度などを総合考慮して判断されるべきである』と説示した上で、
本件へのあてはめとして、『前記前提事実(3)及び上記(1)で認定した本件投稿の目的によれば、被告は、Dが本件元画像を作成、投稿した行為そのものを批判しているところ、本件画像は、本件投稿による批判の直接的な対象であることからすると、これを添付する必要性が極めて高いこと、被告が添付した本件画像は、被告の主張(Eがビルから飛び降りようとする様子を表したものであるというもの)を示すのに必要な範囲、分量の限度で本件元画像の一部を切り取ったものであり、添付の範囲も相当なものといえること、少なくとも現時点の本件投稿には、本件画像の「引用元」としてDによる投稿のURLが記載されており、このような引用方法はインターネット上の投稿においては一般的に行われる手法であること、以上の事実が認められる。』
として、これらの事実関係を総合考慮し、本件投稿に本件画像を引用して利用することは、公正な慣行に合致するものであり、引用の目的上正当な範囲内であるといえると判断。
結論として、本件投稿は、引用の要件を満たすものであり、違法性が阻却されるものと認めるのが相当であると判断しています(5頁以下)。

そのほか、原告が被告に対して、本件元画像の複製及び自動公衆送信の差止めを請求している点について、裁判所は差止めの対象となる行為が具体的に一切特定されていないとして、却下しています(7頁)。

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■コメント

引用の抗弁の成否が争点となった事案となります。投稿された画像は、人がビルから飛び降りようとする様子を表現したもののようですが、別紙添付がないので具体的な内容は不明です。