最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
経理プログラム職務著作事件
大阪地裁令和7.11.20令和7(ワ)389著作権侵害差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 松川充康
裁判官 島田美喜子
裁判官 西尾太一
*裁判所サイト公表 2025.11.21
*キーワード:プログラム、職務著作、就業規則
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■事案
従業員が制作した経理プログラムの職務著作性などが争点となった事案
原告:被告元従業員
被告:教育教材制作会社、会社代表者
--------------------
■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法15条2項
1 未払賞与等関係、未払残業代関係の争点など(略)
2 著作権等関係の争点
--------------------
■事案の概要
請求の趣旨第1項(略)
請求の趣旨第2項(略)
請求の趣旨第5項(略)
請求の趣旨第3項
『原告が、別紙1「著作物目録」記載の著作物の著作権者であるとして、著作権法112条に基づく、同著作物の使用差止め請求』
請求の趣旨第4項
主位的請求
『前記(3)記載のとおり、原告が、別紙1「著作物目録」記載の著作物の著作権者であることを前提とし、被告が、令和5年10月から令和6年12月まで、原告に対し、何ら対価を支払わないままこれを使用したばかりか、その権利行使を妨害する不法行為をしたとして、民法709条及び710条に基づく、同著作物の使用料相当額225万円及び慰謝料70万円の計295万円並びに同額に対する本訴状送達の日の翌日である令和7年2月8日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払請求』
予備的請求1
『被告が、何ら対価を支払うことなく、原告が作成した別紙1「著作物目録」記載の物を使用し、その便益を享受する一方で、原告に対し、上記ア記載の使用料相当額225万円の損害を被らせたとして、民法703条に基づく不当利得225万円及び前記アの不法行為に基づく慰謝料70万円の合計295万円並びに同額に対する本訴状送達の日の翌日である令和7年2月8日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払請求』
予備的請求2
『原告と被告の間で、別紙1「著作物目録」記載の物を作成することを約する請負契約が成立したとして、民法632条に基づく報酬159万円及び前記アの不法行為に基づく慰謝料70万円の合計229万円並びに同額に対する本訴状送達の日の翌日である令和7年2月8日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払請求』
(2頁以下)
〈経緯〉
R03 原告が被告従業員として勤務
R05 原告が本件プログラムを制作
本件プログラム:「エデュ経理システム」
4つのVBAを用いてプログラミングされたエクセルファイルからなるソフトウェア
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■判決内容
<争点>
1 未払賞与等関係、未払残業代関係の争点など(略)
2 著作権等関係の争点
(1)本件プログラムが被告における職務著作に該当するか
裁判所は、本件プログラムは、原告が所属する総務部においても使用される経理システムを導入するとの被告の判断に基づく各種検討の中で、原告が、被告における業務として、被告の従業員用パソコンを利用して作成したものであることが認められるとして、本件プログラムは、その著作物性があると仮定した場合でも、被告の発意に基づきその従業員が職務上作成したプログラムの著作物であると認められ、著作権法15条2項又は本件就業規則第119条に基づき、その著作権は、被告に帰属するものと認められると判断。
結論として、仮に、本件プログラムに著作物性が認められるとしても、被告の職務著作に該当するとして、本件プログラムの著作権は被告に帰属するものと認められる。よって、原告が本件プログラムの著作権者であることを前提とする差止め及び損害賠償の請求はいずれも理由がない。
また、被告による本件プログラムの利用は、その著作物性を仮定した場合も、自らの著作権に基づくものといえるから、法律上の原因を欠いた利得があるともいえず、不当利得返還請求も理由がないと判断しています(27頁以下)。
(2)原告が本件プログラムを制作することを約する請負契約が成立したか
原告は、被告との間で原告が本件プログラムを制作することを約する請負契約が成立したと主張しましたが、裁判所は、原告は、被告との間の労働契約のもとで、その労務の提供の一環として、本件プログラムを制作したと認められ、その対価は賃金に含まれていると解されるとして、被告との間で別途の報酬を発生させるような請負契約が成立していたとは認められないと判断しています(28頁)。
結論として、著作権に関連する争点について、原告の主張は認められていません。
まとめとして、原告の請求の趣旨第1項、第3項ないし第5項については棄却、第2項の本件労働契約に基づく未払残業代について一部認容されています。
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■コメント
従業員制作のプログラムの職務著作性が争点となった事案となります。
経理プログラム職務著作事件
大阪地裁令和7.11.20令和7(ワ)389著作権侵害差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 松川充康
裁判官 島田美喜子
裁判官 西尾太一
*裁判所サイト公表 2025.11.21
*キーワード:プログラム、職務著作、就業規則
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■事案
従業員が制作した経理プログラムの職務著作性などが争点となった事案
原告:被告元従業員
被告:教育教材制作会社、会社代表者
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法15条2項
1 未払賞与等関係、未払残業代関係の争点など(略)
2 著作権等関係の争点
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■事案の概要
請求の趣旨第1項(略)
請求の趣旨第2項(略)
請求の趣旨第5項(略)
請求の趣旨第3項
『原告が、別紙1「著作物目録」記載の著作物の著作権者であるとして、著作権法112条に基づく、同著作物の使用差止め請求』
請求の趣旨第4項
主位的請求
『前記(3)記載のとおり、原告が、別紙1「著作物目録」記載の著作物の著作権者であることを前提とし、被告が、令和5年10月から令和6年12月まで、原告に対し、何ら対価を支払わないままこれを使用したばかりか、その権利行使を妨害する不法行為をしたとして、民法709条及び710条に基づく、同著作物の使用料相当額225万円及び慰謝料70万円の計295万円並びに同額に対する本訴状送達の日の翌日である令和7年2月8日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払請求』
予備的請求1
『被告が、何ら対価を支払うことなく、原告が作成した別紙1「著作物目録」記載の物を使用し、その便益を享受する一方で、原告に対し、上記ア記載の使用料相当額225万円の損害を被らせたとして、民法703条に基づく不当利得225万円及び前記アの不法行為に基づく慰謝料70万円の合計295万円並びに同額に対する本訴状送達の日の翌日である令和7年2月8日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払請求』
予備的請求2
『原告と被告の間で、別紙1「著作物目録」記載の物を作成することを約する請負契約が成立したとして、民法632条に基づく報酬159万円及び前記アの不法行為に基づく慰謝料70万円の合計229万円並びに同額に対する本訴状送達の日の翌日である令和7年2月8日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払請求』
(2頁以下)
〈経緯〉
R03 原告が被告従業員として勤務
R05 原告が本件プログラムを制作
本件プログラム:「エデュ経理システム」
4つのVBAを用いてプログラミングされたエクセルファイルからなるソフトウェア
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■判決内容
<争点>
1 未払賞与等関係、未払残業代関係の争点など(略)
2 著作権等関係の争点
(1)本件プログラムが被告における職務著作に該当するか
裁判所は、本件プログラムは、原告が所属する総務部においても使用される経理システムを導入するとの被告の判断に基づく各種検討の中で、原告が、被告における業務として、被告の従業員用パソコンを利用して作成したものであることが認められるとして、本件プログラムは、その著作物性があると仮定した場合でも、被告の発意に基づきその従業員が職務上作成したプログラムの著作物であると認められ、著作権法15条2項又は本件就業規則第119条に基づき、その著作権は、被告に帰属するものと認められると判断。
結論として、仮に、本件プログラムに著作物性が認められるとしても、被告の職務著作に該当するとして、本件プログラムの著作権は被告に帰属するものと認められる。よって、原告が本件プログラムの著作権者であることを前提とする差止め及び損害賠償の請求はいずれも理由がない。
また、被告による本件プログラムの利用は、その著作物性を仮定した場合も、自らの著作権に基づくものといえるから、法律上の原因を欠いた利得があるともいえず、不当利得返還請求も理由がないと判断しています(27頁以下)。
(2)原告が本件プログラムを制作することを約する請負契約が成立したか
原告は、被告との間で原告が本件プログラムを制作することを約する請負契約が成立したと主張しましたが、裁判所は、原告は、被告との間の労働契約のもとで、その労務の提供の一環として、本件プログラムを制作したと認められ、その対価は賃金に含まれていると解されるとして、被告との間で別途の報酬を発生させるような請負契約が成立していたとは認められないと判断しています(28頁)。
結論として、著作権に関連する争点について、原告の主張は認められていません。
まとめとして、原告の請求の趣旨第1項、第3項ないし第5項については棄却、第2項の本件労働契約に基づく未払残業代について一部認容されています。
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■コメント
従業員制作のプログラムの職務著作性が争点となった事案となります。