最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
YouTube侵害通知フォーム事件(控訴審)
知財高裁令和7.10.16令和7(ネ)10037損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 清水響
裁判官 菊池絵理
裁判官 頼 晋一
*裁判所サイト公表 2025.10.24
*キーワード:グーグル、YouTube、侵害フォーム
*原審:東京地裁令和5(ワ)70125(裁判所サイト未登載)
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■事案
著作権侵害通知フォームからの通知の違法性などが争点となった事案の控訴審
控訴人(1審原告) :個人ら
被控訴人(1審被告):ユーチューバー
--------------------
■結論
控訴棄却
--------------------
■争点
1 侵害通知フォームからの通知の違法性
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■事案の概要
『原告ら及びA(1審原告)は、ユーチューブに本件各動画を投稿したところ、被告は、ユーチューブの運営者であるグーグルに対し、本件各通知フォームにより、本件各動画が被告に対する著作権侵害、プライバシー権侵害又は名誉棄損に該当する旨の本件各通知をした。
本件は、原告ら及びAが、被告に対し、本件各通知がすべて被告によるものであり、かつ、これらの通知が原告ら及びAに対する不法行為を構成すると主張して、民法709条に基づく損害賠償請求として、各損害額(慰謝料、逸失利益、弁護士費用)及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。』
『原審は、概要、次の判断をして、原告ら及びAの各請求を全部棄却した。
すなわち、まず、被告が本件通知10,11、13及び14をしたと認めることはできない。
次に、著作権侵害通知フォームからの通知について、グーグルは、同フォームの必要事項に記載があれば無条件に動画を削除していたとは認められないから、著作権侵害を通知する場合でないのに同フォームからの通知をしても、通知の対象者との関係で直ちに違法となるものではない。もっとも、動画の投稿者の表現活動や事業活動を妨害するなど、専ら不当な目的で同フォームからの通知がされた場合には、当該動画の投稿者の法律上保護される利益を侵害するものとして違法となる余地があるが、本件では、被告の同フォームからの本件通知1、26から29までについて、殊更に虚偽の事実や法律関係に基づく通知をしたとはいえず、専ら不当な目的でされたものということはできない。
また、プライバシー侵害通知フォームからの通知について、グーグルは、通知に係る動画の内容が法律上プライバシー権侵害に当たることまでは求めていないから、プライバシー権侵害に当たる事実がないのに同フォームからの通知をしても、通知の対象者との関係で直ちに違法となるものではない。
もっとも、専ら不当な目的で同フォームからの通知がされた場合には、当該動画の投稿者の法律上保護される利益を侵害するものとして違法となる余地があるが、本件では、被告の同フォームからの本件通知2から9まで、12、15から22までについて、専ら不当な目的でされたものということはできない。
そして、名誉毀損通知フォームからの通知について、グーグルは、通知に係る動画の内容が法律上の名誉毀損・侮辱に当たることまでは求めていないから、法律上の名誉毀損・侮辱に当たる事実がないのに同フォームからの通知をしても、通知の対象者との関係で直ちに違法となるものではない。本件では、本件通知23から25までについて、不法行為が成立するとはいえない。』
『原告らは、それぞれ自己の敗訴部分を不服として本件控訴を提起した(なお、Aは控訴しなかったので、本件各動画のうち、Aが投稿した原判決別表4の動画26に係る被告の本件通知26は、当審における判断の対象とはならない。)。』
(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 侵害通知フォームからの通知の違法性
結論として、原審同様、違法性が認められず、不法行為の成立が否定されています(6頁以下)。
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■コメント
グーグルの侵害通知フォームからの通知の違法性が争点となった事案となります。
YouTube侵害通知フォーム事件(控訴審)
知財高裁令和7.10.16令和7(ネ)10037損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 清水響
裁判官 菊池絵理
裁判官 頼 晋一
*裁判所サイト公表 2025.10.24
*キーワード:グーグル、YouTube、侵害フォーム
*原審:東京地裁令和5(ワ)70125(裁判所サイト未登載)
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■事案
著作権侵害通知フォームからの通知の違法性などが争点となった事案の控訴審
控訴人(1審原告) :個人ら
被控訴人(1審被告):ユーチューバー
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■結論
控訴棄却
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■争点
1 侵害通知フォームからの通知の違法性
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■事案の概要
『原告ら及びA(1審原告)は、ユーチューブに本件各動画を投稿したところ、被告は、ユーチューブの運営者であるグーグルに対し、本件各通知フォームにより、本件各動画が被告に対する著作権侵害、プライバシー権侵害又は名誉棄損に該当する旨の本件各通知をした。
本件は、原告ら及びAが、被告に対し、本件各通知がすべて被告によるものであり、かつ、これらの通知が原告ら及びAに対する不法行為を構成すると主張して、民法709条に基づく損害賠償請求として、各損害額(慰謝料、逸失利益、弁護士費用)及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。』
『原審は、概要、次の判断をして、原告ら及びAの各請求を全部棄却した。
すなわち、まず、被告が本件通知10,11、13及び14をしたと認めることはできない。
次に、著作権侵害通知フォームからの通知について、グーグルは、同フォームの必要事項に記載があれば無条件に動画を削除していたとは認められないから、著作権侵害を通知する場合でないのに同フォームからの通知をしても、通知の対象者との関係で直ちに違法となるものではない。もっとも、動画の投稿者の表現活動や事業活動を妨害するなど、専ら不当な目的で同フォームからの通知がされた場合には、当該動画の投稿者の法律上保護される利益を侵害するものとして違法となる余地があるが、本件では、被告の同フォームからの本件通知1、26から29までについて、殊更に虚偽の事実や法律関係に基づく通知をしたとはいえず、専ら不当な目的でされたものということはできない。
また、プライバシー侵害通知フォームからの通知について、グーグルは、通知に係る動画の内容が法律上プライバシー権侵害に当たることまでは求めていないから、プライバシー権侵害に当たる事実がないのに同フォームからの通知をしても、通知の対象者との関係で直ちに違法となるものではない。
もっとも、専ら不当な目的で同フォームからの通知がされた場合には、当該動画の投稿者の法律上保護される利益を侵害するものとして違法となる余地があるが、本件では、被告の同フォームからの本件通知2から9まで、12、15から22までについて、専ら不当な目的でされたものということはできない。
そして、名誉毀損通知フォームからの通知について、グーグルは、通知に係る動画の内容が法律上の名誉毀損・侮辱に当たることまでは求めていないから、法律上の名誉毀損・侮辱に当たる事実がないのに同フォームからの通知をしても、通知の対象者との関係で直ちに違法となるものではない。本件では、本件通知23から25までについて、不法行為が成立するとはいえない。』
『原告らは、それぞれ自己の敗訴部分を不服として本件控訴を提起した(なお、Aは控訴しなかったので、本件各動画のうち、Aが投稿した原判決別表4の動画26に係る被告の本件通知26は、当審における判断の対象とはならない。)。』
(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 侵害通知フォームからの通知の違法性
結論として、原審同様、違法性が認められず、不法行為の成立が否定されています(6頁以下)。
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■コメント
グーグルの侵害通知フォームからの通知の違法性が争点となった事案となります。