最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
漫画無断配信取締役責任追及事件(控訴審)
知財高裁令和7.8.28令和7(ネ)10015損害賠償請求控訴事件PDF
要旨
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 増田 稔
裁判官 岩井直幸
裁判官 安岡美香子
*裁判所サイト公表 2025.10.--
*キーワード:準拠法、通則法、取締役の責任、漫画、配信、損害論
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■事案
漫画の無断配信について個人あるいは法人役員としての責任の成否が争点となった事案の控訴審
控訴人(1審原告) :漫画家ら
被控訴人(1審被告):米国法人代表者
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■結論
原判決一部変更
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■争点
条文 会社法429条1項、著作権法114条1項
1 会社法429条1項に基づく責任の有無など
2 控訴人らの損害の有無及びその額
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■事案の概要
『本件は、漫画家であるXら(控訴人)が、Y(被控訴人)に対し、Y又はYが代表者兼取締役として登記されているA社(米国法人)が、ウェブサイト(全6サイト)に、Xらの著作物である漫画(全14作品)を許諾なく掲載し(以下「本件掲載行為」という。)、Xらの著作権(公衆送信権)を侵害したと主張して、民法709条及び会社法429条1項に基づき、総額1320万円の損害賠償を求めた事案である。
原審は、Y又はA社が本件掲載行為をしたとは認めるに足りず、仮にA社が本件掲載行為に関与していたとしても、Yは、本件掲載行為当時、A社の業務に関与していた、あるいは業務執行状況や会計状況等を把握していたとは認められないから、取締役の職務を行うについて悪意又は重大な過失があったとはいえないとして、Xらの請求をいずれも棄却したため、Xらが控訴を提起した。
本判決は、次のとおり判断して、原判決の一部を変更し、XらのYに対する損害賠償請求の一部を認容した。』
(判決要旨より)
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■判決内容
<争点>
1 会社法429条1項に基づく責任の有無など
(1)不法行為の成否
(ア)準拠法
(イ)被控訴人が本件掲載行為に関与したか
結論として、被控訴人が、自ら、あるいは第三者と共謀して、本件掲載行為を行ったとは認めらていません(5頁以下)。
(2)現任の取締役としての責任の有無
(ア)準拠法
(イ)レッド社が本件掲載行為に関与したか
(ウ)被控訴人がレッド社の取締役の職務を行うについて悪意又は重大な過失があったか
控訴審は、レッド社が自ら、あるいは第三者と共謀して、本件掲載行為を行ったと認めるのが相当であるとした上で、被控訴人がレッド社の取締役の職務を行うについて重大な過失があったと認定。被控訴人は、会社法429条1項に基づき、控訴人らに対し、損害賠償義務を負うと判断しています(7頁以下)。
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2 控訴人らの損害の有無及びその額
(1)逸失利益(著作権法114条1項に基づく算定)
(2)ディスカバリー費用相当額の損害
(3)弁護士費用相当額損害
結論として、以下の損害額が認定されています(11頁以下)。
控訴人X1につき19万8411円
控訴人X2につき80万1667円
控訴人X3につき671万7159円
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■コメント
原審では棄却の判断でしたが、控訴審では取締役の責任が認められています。
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■過去のブログ記事
東京地裁令和6.12.20令和4(ワ)70097損害賠償請求事件
原審記事
漫画無断配信取締役責任追及事件(控訴審)
知財高裁令和7.8.28令和7(ネ)10015損害賠償請求控訴事件PDF
要旨
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 増田 稔
裁判官 岩井直幸
裁判官 安岡美香子
*裁判所サイト公表 2025.10.--
*キーワード:準拠法、通則法、取締役の責任、漫画、配信、損害論
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■事案
漫画の無断配信について個人あるいは法人役員としての責任の成否が争点となった事案の控訴審
控訴人(1審原告) :漫画家ら
被控訴人(1審被告):米国法人代表者
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■結論
原判決一部変更
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■争点
条文 会社法429条1項、著作権法114条1項
1 会社法429条1項に基づく責任の有無など
2 控訴人らの損害の有無及びその額
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■事案の概要
『本件は、漫画家であるXら(控訴人)が、Y(被控訴人)に対し、Y又はYが代表者兼取締役として登記されているA社(米国法人)が、ウェブサイト(全6サイト)に、Xらの著作物である漫画(全14作品)を許諾なく掲載し(以下「本件掲載行為」という。)、Xらの著作権(公衆送信権)を侵害したと主張して、民法709条及び会社法429条1項に基づき、総額1320万円の損害賠償を求めた事案である。
原審は、Y又はA社が本件掲載行為をしたとは認めるに足りず、仮にA社が本件掲載行為に関与していたとしても、Yは、本件掲載行為当時、A社の業務に関与していた、あるいは業務執行状況や会計状況等を把握していたとは認められないから、取締役の職務を行うについて悪意又は重大な過失があったとはいえないとして、Xらの請求をいずれも棄却したため、Xらが控訴を提起した。
本判決は、次のとおり判断して、原判決の一部を変更し、XらのYに対する損害賠償請求の一部を認容した。』
(判決要旨より)
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■判決内容
<争点>
1 会社法429条1項に基づく責任の有無など
(1)不法行為の成否
(ア)準拠法
(イ)被控訴人が本件掲載行為に関与したか
結論として、被控訴人が、自ら、あるいは第三者と共謀して、本件掲載行為を行ったとは認めらていません(5頁以下)。
(2)現任の取締役としての責任の有無
(ア)準拠法
(イ)レッド社が本件掲載行為に関与したか
(ウ)被控訴人がレッド社の取締役の職務を行うについて悪意又は重大な過失があったか
控訴審は、レッド社が自ら、あるいは第三者と共謀して、本件掲載行為を行ったと認めるのが相当であるとした上で、被控訴人がレッド社の取締役の職務を行うについて重大な過失があったと認定。被控訴人は、会社法429条1項に基づき、控訴人らに対し、損害賠償義務を負うと判断しています(7頁以下)。
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2 控訴人らの損害の有無及びその額
(1)逸失利益(著作権法114条1項に基づく算定)
(2)ディスカバリー費用相当額の損害
(3)弁護士費用相当額損害
結論として、以下の損害額が認定されています(11頁以下)。
控訴人X1につき19万8411円
控訴人X2につき80万1667円
控訴人X3につき671万7159円
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■コメント
原審では棄却の判断でしたが、控訴審では取締役の責任が認められています。
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■過去のブログ記事
東京地裁令和6.12.20令和4(ワ)70097損害賠償請求事件
原審記事