最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
Instagram自撮り画像無断使用事件
東京地裁令和7.8.21令和7(ワ)70006投稿記事削除請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 中島基至
裁判官 松川春佳
裁判官 武富可南
*裁判所サイト公表 2025.----
*キーワード:著作物性、引用、画像、インスタグラム、ツイッター、削除請求
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■事案
インスタグラム掲載画像の無断使用についてXに削除請求した事案
原告:個人
被告:X Corp.
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、32条、19条、21条、23条
1 本件投稿記事1から3までによる名誉権侵害の有無
2 本件投稿記事4による著作権及び著作者人格権侵害の有無
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■事案の概要
『本件は、原告が、X(インターネットを利用してポストと呼ばれる一定の文字数のメッセージ等を投稿することができる情報ネットワークをいう。)に投稿された別紙投稿記事目録記載の各投稿記事(以下、目録の順に「本件投稿記事1」などといい、これらを併せて「本件投稿記事」という。)のうち、本件投稿記事1から3までにより原告の名誉権が侵害されており、本件投稿記事4により原告保有に係る著作権(複製権及び公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権)が侵害されていると主張して、Xを管理運営する被告に対し、本件投稿記事1から3までについては名誉権に基づく差止請求権に基づき、本件投稿記事4については著作権及び著作者人格権に基づく差止請求権に基づき、本件投稿記事1から4までの削除を求める事案である。』(1頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件投稿記事1から3までによる名誉権侵害の有無
結論として、裁判所は、本件投稿記事1から3について、原告の名誉権を侵害するものであると認めています(5頁以下)。
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2 本件投稿記事4による著作権及び著作者人格権侵害の有無
(1)著作物性の有無
原告作成の画像1及び2の著作物性(著作権法2条1項1号)について、裁判所は、いずれも原告が自身の表情や顔の向き、カメラの角度、背景や照明等の映り込み具合を選択して構図を決定した上で、原告自ら撮影した自身の写真であるとして、原告の表情を子細に表現できるように構図等を工夫した点において、創作性があるものといえると判断。
原告作成画像1及び2には、著作物性を認めるのが相当であると判断しています(7頁以下)。
(2)著作権侵害の成否
本件投稿画像1は原告作成画像1について、本件投稿画像2は原告作成画像2について、その上下端部分を除く中央部分とほぼ同一のものであるとして、創作性がある部分を再現しているものと認められると裁判所は判断。いずれも原告が著作権を有する著作物を複製するものであると判断しています。
その上で、Xへの投稿は、公衆への送信に当たることから、被告において原告作成画像1及び2から本件投稿画像1及び2を複製した上、これらをXに投稿した行為は原告作成画像1及び2に係る複製権及び公衆送信権を侵害するものであると裁判所は判断しています(8頁)。
(3)引用の肯否
裁判所は、引用の意義について言及した上で、結論として、本件投稿記事4の投稿に本件投稿画像1及び2を引用して利用することは、公正な慣行に合致するものではなく、引用の目的上正当な範囲内であるとも認めることはできないと判断。引用の主張を認めていません(8頁以下)。
(4)氏名表示権侵害の成否
裁判所は、結論として、被告において原告の氏名を表示せずに本件各画像を利用する行為は、原告の氏名表示権を侵害するものと認めるのが相当であると判断しています(9頁以下)。
結論として、本件投稿記事1から3までは原告の名誉権を侵害し、本件投稿記事4は原告の著作権(複製権及び公衆送信権)及び氏名表示権を侵害するものであり、原告の名誉権、著作権及び氏名表示権の各侵害の重大性、これらの投稿の削除により被告が被る具体的な不利益、その他本件に現れた諸事情を総合考慮すれば、現に行われている侵害行為を排除するため、上記の各権利の侵害に基づき、本件投稿記事1から4の削除を認めるのが相当であると裁判所は判断しています。
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■コメント
画像の添付がないので画像の詳細は不明ですが、「カップを口元に寄せた思考中の表情」(4頁参照)といったもののようです。
Instagram自撮り画像無断使用事件
東京地裁令和7.8.21令和7(ワ)70006投稿記事削除請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 中島基至
裁判官 松川春佳
裁判官 武富可南
*裁判所サイト公表 2025.----
*キーワード:著作物性、引用、画像、インスタグラム、ツイッター、削除請求
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■事案
インスタグラム掲載画像の無断使用についてXに削除請求した事案
原告:個人
被告:X Corp.
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、32条、19条、21条、23条
1 本件投稿記事1から3までによる名誉権侵害の有無
2 本件投稿記事4による著作権及び著作者人格権侵害の有無
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■事案の概要
『本件は、原告が、X(インターネットを利用してポストと呼ばれる一定の文字数のメッセージ等を投稿することができる情報ネットワークをいう。)に投稿された別紙投稿記事目録記載の各投稿記事(以下、目録の順に「本件投稿記事1」などといい、これらを併せて「本件投稿記事」という。)のうち、本件投稿記事1から3までにより原告の名誉権が侵害されており、本件投稿記事4により原告保有に係る著作権(複製権及び公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権)が侵害されていると主張して、Xを管理運営する被告に対し、本件投稿記事1から3までについては名誉権に基づく差止請求権に基づき、本件投稿記事4については著作権及び著作者人格権に基づく差止請求権に基づき、本件投稿記事1から4までの削除を求める事案である。』(1頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件投稿記事1から3までによる名誉権侵害の有無
結論として、裁判所は、本件投稿記事1から3について、原告の名誉権を侵害するものであると認めています(5頁以下)。
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2 本件投稿記事4による著作権及び著作者人格権侵害の有無
(1)著作物性の有無
原告作成の画像1及び2の著作物性(著作権法2条1項1号)について、裁判所は、いずれも原告が自身の表情や顔の向き、カメラの角度、背景や照明等の映り込み具合を選択して構図を決定した上で、原告自ら撮影した自身の写真であるとして、原告の表情を子細に表現できるように構図等を工夫した点において、創作性があるものといえると判断。
原告作成画像1及び2には、著作物性を認めるのが相当であると判断しています(7頁以下)。
(2)著作権侵害の成否
本件投稿画像1は原告作成画像1について、本件投稿画像2は原告作成画像2について、その上下端部分を除く中央部分とほぼ同一のものであるとして、創作性がある部分を再現しているものと認められると裁判所は判断。いずれも原告が著作権を有する著作物を複製するものであると判断しています。
その上で、Xへの投稿は、公衆への送信に当たることから、被告において原告作成画像1及び2から本件投稿画像1及び2を複製した上、これらをXに投稿した行為は原告作成画像1及び2に係る複製権及び公衆送信権を侵害するものであると裁判所は判断しています(8頁)。
(3)引用の肯否
裁判所は、引用の意義について言及した上で、結論として、本件投稿記事4の投稿に本件投稿画像1及び2を引用して利用することは、公正な慣行に合致するものではなく、引用の目的上正当な範囲内であるとも認めることはできないと判断。引用の主張を認めていません(8頁以下)。
(4)氏名表示権侵害の成否
裁判所は、結論として、被告において原告の氏名を表示せずに本件各画像を利用する行為は、原告の氏名表示権を侵害するものと認めるのが相当であると判断しています(9頁以下)。
結論として、本件投稿記事1から3までは原告の名誉権を侵害し、本件投稿記事4は原告の著作権(複製権及び公衆送信権)及び氏名表示権を侵害するものであり、原告の名誉権、著作権及び氏名表示権の各侵害の重大性、これらの投稿の削除により被告が被る具体的な不利益、その他本件に現れた諸事情を総合考慮すれば、現に行われている侵害行為を排除するため、上記の各権利の侵害に基づき、本件投稿記事1から4の削除を認めるのが相当であると裁判所は判断しています。
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■コメント
画像の添付がないので画像の詳細は不明ですが、「カップを口元に寄せた思考中の表情」(4頁参照)といったもののようです。