最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「生命の實相」著作権確認事件

大阪地裁令和7.7.17令和6(ワ)11140出版権等確認請求事件PDF

大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 松川充康
裁判官    島田美喜子
裁判官    西尾太一

*裁判所サイト公表 2025.9.4
*キーワード:確認の利益

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■事案

著作物の著作権の確認を求めた事案

原告:公益財団法人
被告:宗教法人「生長の家」退職者

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■結論

却下

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■争点

1 確認の利益の有無

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■事案の概要

『本件は、別紙「著作物目録」記載の著作物(以下「本件著作物」という。)につき、著作権(出版権設定及び出版許諾を行う権利を含む。)が自らにあることを主張する原告が、これを否定する言論活動をしてきた被告を相手方当事者として、上記著作権が原告にあることの確認を求める事案である。』
(1頁)

本件著作物:「生命の實相」

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■判決内容

<争点>

1 確認の利益の有無

裁判所は、確認の利益の有無について、

『確認の利益が認められるかは、原告被告間で原告の権利や法律上の地位に現に危険や不安が生じており、これを除去するために確認判決を得ることが必要かつ適切であるかによって判断することが相当である。』

と説示した上で、

『被告は、本件著作物の著作権が、原告ではなく被告に帰属するなどと主張しているものではなく、本件著作物そのものに法的な利害関係を有するわけではない立場から、その著作権の移転及び帰属ないしその権利範囲等に関する意見表明をしてきたにとどまる。かかる意見表明が名誉棄損等に該当するか否かはともかく、本件著作物に関する権利そのものをめぐって、原告と被告が相争う関係に立つものではないから、被告の行為によって、原告の同権利そのものについて、現実の危険ないし不安が生じているとはいい難い。』

『また、本件訴訟で確認対象とされている権利は、本件著作物に関する著作権であるところ、被告の言論行為は、著作権侵害行為に該当するものではないし、仮に、被告の言論行為が、原告被告間の和解条項に違反したり、名誉棄損等に該当したりするのであれば、その法的救済手段は、別途のものが想定されるところである(なお、当裁判所は、被告の言論が原告に対する名誉毀損等に該当するか否かについては何らの判断をしているものではない。)。結局のところ、原告が問題視をして是正を求める被告の行為は、あくまで著作権によって直接規律できるわけではない言論行為なのであるから、本件訴訟において原告の著作権の存否を確認したとしても、その既判力をもって原告が主張するような危険を除去し、その目的が達成されるわけでもない。』

として、原告被告間で、本件著作物に関する著作権そのものについて、被告の存在やその行為によって、原告の権利や法律上の地位に危険や不安が生じているとも、原告が主張するような危険、不安を解消するために本件訴訟において本件著作物に関する著作権の帰属を確認することが必要かつ適切であるとも認められないとして、原告の請求については、確認の利益が認められないと裁判所は判断。
原告の訴えを不適法と判断しています(5頁以下)。

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■コメント

生長の家の教義の根本を説いた宗教哲学書「生命の實相」につき、著作権(出版権設定及び出版許諾を行う権利を含む)が原告にあることの確認を求めた事案となります。