最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

聖教新聞写真引用事件(控訴審)

知財高裁令和7.7.31令和6(ネ)10075損害賠償請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 清水 響
裁判官    菊池絵理
裁判官    頼 晋一

*裁判所サイト公表 2025.8.28
*キーワード:引用、付随対象著作物

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■事案

新聞掲載写真のツイッター無断投稿が引用にあたるかどうかが争点となった事案の控訴審

控訴人(1審原告) :宗教法人
被控訴人(1審被告):原告会員

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法32条1項、30条の2

1 引用の抗弁
2 付随対象著作物の利用の抗弁

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■事案の概要

『本件は、宗教法人であり、その発行する聖教新聞に掲載された本件各写真の著作権を有する原告が、会員である被告に対し、被告において、平成30年10月22日から令和元年10月21日までの間、25回にわたり、インターネットを利用して、本件各写真を本文とともにツイッター(X)に投稿(本件各投稿)した行為は、原告の本件各写真の著作権(送信可能化権。著作権法23条)を侵害すると主張して、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条、著作権法114条3項)として419万1500円及びこれに対する最後の不法行為日である同日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』

『原審は、本件各写真について引用の抗弁(著作権法32条1項)を認め、原告の請求を棄却した。これに対し、原告が、本件控訴を提起した。』
(2頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 引用の抗弁

控訴審は、著作権法32条の意義について言及した上で本件各写真(本件写真1〜9、11〜26、30〜37)について引用の抗弁の成否を検討しています(12頁以下)。
結論として、本件各投稿に掲載した本件各写真について、引用の抗弁が成立すると判断しています。

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2 付随対象著作物の利用の抗弁

1審被告の付随対象著作物の利用の抗弁(30条の2)について、1審原告は、被告の撮影行為の時期とのかねあいから、令和2年改正法(令和2年10月1日施行)による改正前の旧著作権法30条の2の規定であると主張しました(37頁以下)。
この点について、控訴審は、「法改正の経緯及び目的を踏まえると、令和2年改正法による改正後の著作権法30条の2の規定は、令和2年改正法施行前に行われた行為についても適用されると解するのが相当である。そうすると、本件において適用されるのは、令和2年改正法による改正後の著作権法30条の2の規定」であると判断。
結論として、本件各写真(本件写真10、27〜29)について、付随対象著作物の利用の抗弁(30条の2)が成立すると判断しています。

まとめとして、本件各写真については、引用の抗弁(32条1項)又は付随対象著作物の利用の抗弁(30条の2)が成立するとして、原告の請求は認められていません。

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■コメント

原審では判断されていなかった付随対象著作物の利用の成否の論点についても控訴審では判断がされています。
結論としては原審同様、棄却の判断となっています。

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■過去のブログ記事

東京地裁令和6.9.26令和5(ワ)70388損害賠償請求事件
原審記事