最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
シナリオ制作契約事件(控訴審)
知財高裁令和7.8.7令和7(ネ)10007等著作権侵害差止等請求本訴・損害賠償請求反訴控訴事件、損害賠償請求反訴附帯控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 清水 響
裁判官 菊池絵理
裁判官 頼 晋一
*裁判所サイト公表 2025.8.25
*キーワード:漫画、シナリオ、翻案、二次的著作物、名誉毀損、二次利用、制作契約
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■事案
制作したシナリオの漫画化といった二次利用の範囲などが争点となった事案の控訴審
控訴人兼附帯被控訴人(1審本訴原告・反訴被告):執筆業者
被控訴人兼附帯控訴人(1審本訴被告・反訴原告):弁理士兼同人誌発行者
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■結論
控訴棄却、附帯控訴棄却
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■争点
条文 著作権法18条、19条、20条
1 原告シナリオを漫画化すること等についての許諾の有無
2 著作者人格権侵害の成否
3 本訴提起による不法行為の成否
4 名誉毀損の成否
5 名誉感情侵害の成否
6 原告の故意又は過失の有無
7 損害論
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■事案の概要
『本件本訴は、原告が被告に対し、被告が、原告の著作物である原告シナリオに依拠して本件漫画を制作した行為は、原告シナリオに係る原告の著作権(翻案権)を侵害し、被告が、本件漫画を書籍として頒布し、電子書籍として販売した行為は、本件漫画に係る原著作者としての原告の権利(複製権、譲渡権及び公衆送信権)を侵害し、さらに、被告のこれらの行為は、原告の著作者人格権(公表権、氏名表示権及び同一性保持権)を侵害すると主張して、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求として合計400万0160円(著作権侵害による損害200万0160円〔著作権法114条2項〕、著作者人格権侵害による慰謝料150万円及び弁護士費用相当損害金50万円の合計)並びにこれに対する不法行為後の日である令和3年4月17日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める(控訴の趣旨1(2)参照)事案である。』
『本件反訴は、被告が原告に対し、原告による本訴提起は不当訴訟に当たると主張して、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求として合計250万円(逸失利益25万2580円、信用毀損による損害200万円及び応訴費用としての弁護士費用相当損害金24万7420円の合計)並びにこれに対する不法行為後の日である令和4年5月7日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める(控訴の趣旨2(2)参照)とともに、原告による本件投稿は、被告に対する名誉毀損又は侮辱に当たると主張して、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求として合計220万円(慰謝料200万円及び弁護士費用20万円の合計)並びにこれに対する不法行為後の日である令和3年1月24日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める(控訴の趣旨2(3)参照)事案である。』
『原審は、本件本訴について、仮に本件漫画が原告シナリオの二次的著作物であったとしても、原告は被告に対し、被告が原告シナリオを書き直した上で漫画化し、本件漫画を制作するとともに、本件漫画を書籍として頒布し、電子書籍として販売することを許諾したと認められるから、被告が、原告の著作権を侵害したとはいえず、また、原告がこのように許諾していた以上、原告は、被告が原告シナリオを改変して本件漫画を制作することについて同意し、本件漫画及び本件書籍の販売の態様で本件漫画を公表することについて同意していたというべきであり、本件漫画における原告の創作的表現の貢献の度合いに照らせば「シナリオ協力」として原告の変名が表示されることが著作権法19条1項の変名としての著作者名の表示に当たらないということはできないから、原告の著作者人格権(同一性保持権、公表権、氏名表示権)侵害の事実も認められないとして、原告の本訴請求をいずれも棄却した。』
『また、原審は、本件反訴について、原告が、主張した権利又は法律関係が事実的法律的根拠を欠くことを知りながら、又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど本件本訴提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くとまで認めることはできないから当該不法行為に基づく被告の反訴請求は理由がないが、本件投稿のうち本件投稿1(1)、1(3)、1(6)、本件投稿2(8)〜(15)は、被告の名誉を毀損する違法な行為と認められるとして、当該不法行為に基づく被告の反訴請求を11万円(慰謝料10万円及び弁護士費用1万円)の限度で一部認容した。』
『原判決に対し、原告が本件控訴を提起したところ、被告は本件附帯控訴を提起した。』
(3頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 原告シナリオを漫画化すること等についての許諾の有無
2 著作者人格権侵害の成否
3 本訴提起による不法行為の成否
4 名誉毀損の成否
5 名誉感情侵害の成否
6 原告の故意又は過失の有無
7 損害論
結論として、各争点について原審の判断を控訴審でも維持しています。
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■コメント
発注したシナリオの二次利用の範囲や名誉毀損が争点となった事案の控訴審となります。
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■過去のブログ記事
東京地裁令和6.11.29令和3(ワ)5411著作権侵害差止等請求事件、損害賠償請求反訴事件
原審記事
シナリオ制作契約事件(控訴審)
知財高裁令和7.8.7令和7(ネ)10007等著作権侵害差止等請求本訴・損害賠償請求反訴控訴事件、損害賠償請求反訴附帯控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 清水 響
裁判官 菊池絵理
裁判官 頼 晋一
*裁判所サイト公表 2025.8.25
*キーワード:漫画、シナリオ、翻案、二次的著作物、名誉毀損、二次利用、制作契約
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■事案
制作したシナリオの漫画化といった二次利用の範囲などが争点となった事案の控訴審
控訴人兼附帯被控訴人(1審本訴原告・反訴被告):執筆業者
被控訴人兼附帯控訴人(1審本訴被告・反訴原告):弁理士兼同人誌発行者
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■結論
控訴棄却、附帯控訴棄却
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■争点
条文 著作権法18条、19条、20条
1 原告シナリオを漫画化すること等についての許諾の有無
2 著作者人格権侵害の成否
3 本訴提起による不法行為の成否
4 名誉毀損の成否
5 名誉感情侵害の成否
6 原告の故意又は過失の有無
7 損害論
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■事案の概要
『本件本訴は、原告が被告に対し、被告が、原告の著作物である原告シナリオに依拠して本件漫画を制作した行為は、原告シナリオに係る原告の著作権(翻案権)を侵害し、被告が、本件漫画を書籍として頒布し、電子書籍として販売した行為は、本件漫画に係る原著作者としての原告の権利(複製権、譲渡権及び公衆送信権)を侵害し、さらに、被告のこれらの行為は、原告の著作者人格権(公表権、氏名表示権及び同一性保持権)を侵害すると主張して、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求として合計400万0160円(著作権侵害による損害200万0160円〔著作権法114条2項〕、著作者人格権侵害による慰謝料150万円及び弁護士費用相当損害金50万円の合計)並びにこれに対する不法行為後の日である令和3年4月17日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める(控訴の趣旨1(2)参照)事案である。』
『本件反訴は、被告が原告に対し、原告による本訴提起は不当訴訟に当たると主張して、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求として合計250万円(逸失利益25万2580円、信用毀損による損害200万円及び応訴費用としての弁護士費用相当損害金24万7420円の合計)並びにこれに対する不法行為後の日である令和4年5月7日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める(控訴の趣旨2(2)参照)とともに、原告による本件投稿は、被告に対する名誉毀損又は侮辱に当たると主張して、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求として合計220万円(慰謝料200万円及び弁護士費用20万円の合計)並びにこれに対する不法行為後の日である令和3年1月24日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める(控訴の趣旨2(3)参照)事案である。』
『原審は、本件本訴について、仮に本件漫画が原告シナリオの二次的著作物であったとしても、原告は被告に対し、被告が原告シナリオを書き直した上で漫画化し、本件漫画を制作するとともに、本件漫画を書籍として頒布し、電子書籍として販売することを許諾したと認められるから、被告が、原告の著作権を侵害したとはいえず、また、原告がこのように許諾していた以上、原告は、被告が原告シナリオを改変して本件漫画を制作することについて同意し、本件漫画及び本件書籍の販売の態様で本件漫画を公表することについて同意していたというべきであり、本件漫画における原告の創作的表現の貢献の度合いに照らせば「シナリオ協力」として原告の変名が表示されることが著作権法19条1項の変名としての著作者名の表示に当たらないということはできないから、原告の著作者人格権(同一性保持権、公表権、氏名表示権)侵害の事実も認められないとして、原告の本訴請求をいずれも棄却した。』
『また、原審は、本件反訴について、原告が、主張した権利又は法律関係が事実的法律的根拠を欠くことを知りながら、又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど本件本訴提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くとまで認めることはできないから当該不法行為に基づく被告の反訴請求は理由がないが、本件投稿のうち本件投稿1(1)、1(3)、1(6)、本件投稿2(8)〜(15)は、被告の名誉を毀損する違法な行為と認められるとして、当該不法行為に基づく被告の反訴請求を11万円(慰謝料10万円及び弁護士費用1万円)の限度で一部認容した。』
『原判決に対し、原告が本件控訴を提起したところ、被告は本件附帯控訴を提起した。』
(3頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 原告シナリオを漫画化すること等についての許諾の有無
2 著作者人格権侵害の成否
3 本訴提起による不法行為の成否
4 名誉毀損の成否
5 名誉感情侵害の成否
6 原告の故意又は過失の有無
7 損害論
結論として、各争点について原審の判断を控訴審でも維持しています。
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■コメント
発注したシナリオの二次利用の範囲や名誉毀損が争点となった事案の控訴審となります。
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■過去のブログ記事
東京地裁令和6.11.29令和3(ワ)5411著作権侵害差止等請求事件、損害賠償請求反訴事件
原審記事