最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
タオルデザイン商品化許諾契約事件(控訴審)
知財高裁令和7.3.26令和6(ネ)10049等損害賠償(本訴)請求控訴、同(反訴)請求附帯控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 中平 健
裁判官 今井弘晃
裁判官 水野正則
*裁判所サイト公表 2025.3.31
*キーワード:商品化許諾契約、ライセンス契約、応用美術論、消尽、オーバーロイヤリティ、パブリシティ
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■事案
タオル向けのデザインの商品化許諾契約関係を巡って争われた事案の控訴審
控訴人兼附帯被控訴人(1審本訴原告・1審反訴被告):マルチクリエーター、版権管理会社
被控訴人兼附帯控訴人(1審本訴被告・1審反訴原告):タオル製造販売会社ら
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■結論
本件控訴、附帯控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条2項、26条の2、20条
1 本件タオル部分の著作物性
2 本件タオル部分の著作者性
3 色や織り方の指示違反
4 本件絵柄部分の改変による著作権侵害の有無
5 許諾期間経過後の製造販売に係る合意の有無
6 譲渡権消尽の成否
7 類型番号別の個別争点
8 著作者人格権侵害の有無
9 パブリシティ権侵害の有無
10 報告義務違反の有無
11 原告らに生じた損害の有無及びその額
12 弁済の抗弁の成否
13 不作為義務違反及び協議義務違反の有無
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■事案の概要
『一審原告Xの制作に係る著作物(当該著作物を商品化したものを、ATSUKO MATANOブランド〔以下「AMブランド」という。〕に関する商品をいうものとして、以下「AM商品」と総称する。)の権利を管理する一審原告会社は、一審被告タオル美術館との間で、平成10年1月1日、上記著作物の使用を許諾するマスターライセンス契約(以下「基本契約」という。)を締結し、一審被告タオル美術館は、一審被告一広に対し、上記基本契約に基づき、著作物の使用に係るサブライセンス契約を締結し、一審被告らは、AM商品を製造販売した(以下、一審被告ら製造販売に係るAM商品を「一審被告商品」という。)。
しかし、一審原告会社と一審被告タオル美術館は、平成29年12月27日、一審被告タオル美術館に違法コピー等の重大な契約違反があったとして、同月31日、基本契約を合意解約した。その上で、一審被告らは、一審原告らとの間で、平成30年4月27日、違法コピー等に係る損害賠償金の一部弁済として、3億円の支払義務があることを認め、これを一括して支払うとともに、違法コピー等の問題を解決するために、損害賠償金の総額等の決定等につき、別途協議する旨の合意をした。
本件の本訴は、一審原告らが、上記にいう3億円を超える損害があると主張して、以下の2に掲げる請求をする事案であり、本件の反訴は、一審被告らが、一審原告において上記合意に違反する行為があると主張して、以下の3に掲げる請求をする事案である。(以下、略)』(4頁)
『原審は、(1)一審被告商品は、一審原告X制作の絵柄と共通し実質を同じくする本件絵柄部分と、それ以外の部分である本件タオル部分から成るところ、本件タオル部分には著作物性が認められない、(2)本件絵柄部分については、一審被告会社において、その使用について販売期間の制限のない許諾を得ている、(3)原判決別紙「侵害類型分類一覧表」の侵害類型番号(以下「類型番号」という。)1、3及び23の1の一審被告商品については本件絵柄の著作権侵害が成立するが、その余の権利侵害、債務不履行の主張についてはいずれも理由がない、(4)一審原告Xにつき著作権法114条2項は適用されない、(5)上記(3)の3類型についての著作権法114条3項の損害額は、一審被告商品1について331万9647円、一審被告商品2について4274万1223円である、(6)損害については一審被告らによりなされた3億円の支払により弁済されている、(7)反訴についてはいずれも理由がない、として本訴請求及び反訴請求をいずれも棄却する判決をしたところ、一審原告らが、一審原告らの控訴の趣旨記載の不服の限度で本件控訴を、一審被告らが一審被告らの附帯控訴の趣旨記載のとおり附帯控訴を提起した。』(7頁)
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■判決内容
<争点>
1 本件タオル部分の著作物性
2 本件タオル部分の著作者性
3 色や織り方の指示違反
4 本件絵柄部分の改変による著作権侵害の有無
5 許諾期間経過後の製造販売に係る合意の有無
6 譲渡権消尽の成否
7 類型番号別の個別争点
8 著作者人格権侵害の有無
9 パブリシティ権侵害の有無
10 報告義務違反の有無
11 原告らに生じた損害の有無及びその額
12 弁済の抗弁の成否
13 不作為義務違反及び協議義務違反の有無
控訴審は、当審での補充主張も検討した上で、結論として本件控訴及び附帯控訴は理由がないとして、いずれも棄却の判断をしています(29頁以下)。
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■コメント
控訴審でも原審の判断が維持されています。
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■過去のブログ記事
東京地裁令和6.3.28令和1(ワ)30628等損害賠償請求本訴・損害賠償請求反訴
原審記事
タオルデザイン商品化許諾契約事件(控訴審)
知財高裁令和7.3.26令和6(ネ)10049等損害賠償(本訴)請求控訴、同(反訴)請求附帯控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 中平 健
裁判官 今井弘晃
裁判官 水野正則
*裁判所サイト公表 2025.3.31
*キーワード:商品化許諾契約、ライセンス契約、応用美術論、消尽、オーバーロイヤリティ、パブリシティ
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■事案
タオル向けのデザインの商品化許諾契約関係を巡って争われた事案の控訴審
控訴人兼附帯被控訴人(1審本訴原告・1審反訴被告):マルチクリエーター、版権管理会社
被控訴人兼附帯控訴人(1審本訴被告・1審反訴原告):タオル製造販売会社ら
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■結論
本件控訴、附帯控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条2項、26条の2、20条
1 本件タオル部分の著作物性
2 本件タオル部分の著作者性
3 色や織り方の指示違反
4 本件絵柄部分の改変による著作権侵害の有無
5 許諾期間経過後の製造販売に係る合意の有無
6 譲渡権消尽の成否
7 類型番号別の個別争点
8 著作者人格権侵害の有無
9 パブリシティ権侵害の有無
10 報告義務違反の有無
11 原告らに生じた損害の有無及びその額
12 弁済の抗弁の成否
13 不作為義務違反及び協議義務違反の有無
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■事案の概要
『一審原告Xの制作に係る著作物(当該著作物を商品化したものを、ATSUKO MATANOブランド〔以下「AMブランド」という。〕に関する商品をいうものとして、以下「AM商品」と総称する。)の権利を管理する一審原告会社は、一審被告タオル美術館との間で、平成10年1月1日、上記著作物の使用を許諾するマスターライセンス契約(以下「基本契約」という。)を締結し、一審被告タオル美術館は、一審被告一広に対し、上記基本契約に基づき、著作物の使用に係るサブライセンス契約を締結し、一審被告らは、AM商品を製造販売した(以下、一審被告ら製造販売に係るAM商品を「一審被告商品」という。)。
しかし、一審原告会社と一審被告タオル美術館は、平成29年12月27日、一審被告タオル美術館に違法コピー等の重大な契約違反があったとして、同月31日、基本契約を合意解約した。その上で、一審被告らは、一審原告らとの間で、平成30年4月27日、違法コピー等に係る損害賠償金の一部弁済として、3億円の支払義務があることを認め、これを一括して支払うとともに、違法コピー等の問題を解決するために、損害賠償金の総額等の決定等につき、別途協議する旨の合意をした。
本件の本訴は、一審原告らが、上記にいう3億円を超える損害があると主張して、以下の2に掲げる請求をする事案であり、本件の反訴は、一審被告らが、一審原告において上記合意に違反する行為があると主張して、以下の3に掲げる請求をする事案である。(以下、略)』(4頁)
『原審は、(1)一審被告商品は、一審原告X制作の絵柄と共通し実質を同じくする本件絵柄部分と、それ以外の部分である本件タオル部分から成るところ、本件タオル部分には著作物性が認められない、(2)本件絵柄部分については、一審被告会社において、その使用について販売期間の制限のない許諾を得ている、(3)原判決別紙「侵害類型分類一覧表」の侵害類型番号(以下「類型番号」という。)1、3及び23の1の一審被告商品については本件絵柄の著作権侵害が成立するが、その余の権利侵害、債務不履行の主張についてはいずれも理由がない、(4)一審原告Xにつき著作権法114条2項は適用されない、(5)上記(3)の3類型についての著作権法114条3項の損害額は、一審被告商品1について331万9647円、一審被告商品2について4274万1223円である、(6)損害については一審被告らによりなされた3億円の支払により弁済されている、(7)反訴についてはいずれも理由がない、として本訴請求及び反訴請求をいずれも棄却する判決をしたところ、一審原告らが、一審原告らの控訴の趣旨記載の不服の限度で本件控訴を、一審被告らが一審被告らの附帯控訴の趣旨記載のとおり附帯控訴を提起した。』(7頁)
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■判決内容
<争点>
1 本件タオル部分の著作物性
2 本件タオル部分の著作者性
3 色や織り方の指示違反
4 本件絵柄部分の改変による著作権侵害の有無
5 許諾期間経過後の製造販売に係る合意の有無
6 譲渡権消尽の成否
7 類型番号別の個別争点
8 著作者人格権侵害の有無
9 パブリシティ権侵害の有無
10 報告義務違反の有無
11 原告らに生じた損害の有無及びその額
12 弁済の抗弁の成否
13 不作為義務違反及び協議義務違反の有無
控訴審は、当審での補充主張も検討した上で、結論として本件控訴及び附帯控訴は理由がないとして、いずれも棄却の判断をしています(29頁以下)。
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■コメント
控訴審でも原審の判断が維持されています。
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■過去のブログ記事
東京地裁令和6.3.28令和1(ワ)30628等損害賠償請求本訴・損害賠償請求反訴
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