最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ちぃたん・しんじょう君キャラクター営業誹謗事件
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官 間明宏充
裁判官 塚田久美子
東京地裁令和7.2.7令和3(ワ)18479等損害賠償請求事件、使用差止め等反訴請求事件PDF
別紙1
別紙2
別紙3
別紙4
別紙5
別紙6
*裁判所サイト公表 2025.3.4
*キーワード:キャラクター、着ぐるみ、営業誹謗、契約、黙示の許諾
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■事案
キャラクターの利用関係を巡り、営業誹謗行為性などが争点となった事案
原告(反訴被告):芸能事務所
被告(反訴原告):須崎市
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■結論
本訴一部認容、反訴棄却
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項21号、国賠法1条1項
1 本件被告行為についての民法及び不競法の適用の可否
2 原告と被告との間の「競争関係」の有無
3 「事実を告知し、又は流布する行為」に当たるか
4 キャラクターちぃたんに係る使用及び活動についての許諾の有無
5 許諾に係る錯誤無効の成否
6 許諾に係る詐欺取消しの成否
7 許諾に係る合意の解除の成否
8 告知又は流布された事実が「虚偽」であるか
9 告知又は流布された事実が原告の「営業上の信用を害する」ものであるか
10 被告の故意又は過失の有無
11 原告の損害の有無及びその額
12 許諾に係る期間が満了したか
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■事案の概要
本訴事件
『本訴事件は、「ちぃたん☆」という名称のキャラクター(以下「キャラクターちぃたん」という。)を使用する原告が、被告に対し、被告による原告の取引先への通知及び被告代表者による記者会見における発言等が、(1)不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項21号所定の営業誹謗行為、(2)信義則上の義務違反を理由とする不法行為及び(3)名誉毀損を理由とする不法行為に当たり、原告は、これらの行為によってキャラクターちぃたんに係る各種活動を取り止めざるを得なくなり、出演料及びロイヤリティに係る逸失利益合計1695万7379円、放送できなくなったアニメの制作費に係る損害金1728万円、名誉毀損に係る損害金500万円及び弁護士費用相当損害金393万円の合計4316万7379円の損害を被ったとして、主位的に民法709条、予備的に国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき、同額及びこれに対する令和3年8月20日(不法行為後の日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(上記逸失利益の支払請求は上記(1)を理由とする請求であり、上記アニメの制作費に係る損害金の支払請求は上記(1)及び(2)を理由とする各請求の選択的併合、上記名誉毀損に係る損害金の支払請求は上記(1)及び(3)を理由とする各請求の選択的併合)事案である。(以下、略)』(3頁以下)
反訴事件
『反訴事件は、「しんじょう君」という名称のキャラクター(以下「キャラクターしんじょう君」という。)を使用する被告が、原告に対し、
ア 原告は、被告が著作権を有する別紙被告著作物目録1記載の著作物(以下「しんじょう君オリジナル」という。)を翻案して別紙原告著作物目録1記載の各イラスト(以下、総称して「ちぃたんオリジナル」という。)を制作し、これに基づいて制作した別紙原告著作物目録3記載の各写真(以下、総称して「ちぃたん着ぐるみ写真」という。)及び別紙原告イラスト目録記載の各イラスト(以下、総称して「ちぃたんイラスト」という。)を付した別紙物品目録記載の各物品(以下、総称して「ちぃたん物品」という。)を頒布したり、別紙原告著作物目録2記載の着ぐるみ(以下「ちぃたん着ぐるみ」という。)及びその複製物を用いたイベントの開催、動画の配信等をしたりしているところ、原告がちぃたんオリジナル、ちぃたん着ぐるみ及びちぃたん着ぐるみ写真を制作又は製作する行為は、しんじょう君オリジナルに係る被告の翻案権を侵害するとともに、原告がちぃたんイラスト、ちぃたん着ぐるみ及びちぃたん着ぐるみ写真を使用する行為は、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利として専有するちぃたんイラスト、ちぃたん着ぐるみ及びちぃたん着ぐるみ写真に係る被告の複製権、譲渡権、公衆送信権及び上映権を侵害する
イ 原告は、被告が有する別紙商標権目録記載の商標権(以下「本件被告商標権」という。)に係る登録商標(以下「本件被告商標」という。)と類似する写真、イラスト等を付したちぃたん物品を販売したり、ちぃたん着ぐるみ及びその複製物を用いたイベントの開催等をしたりしているところ、この原告の行為は、本件被告商標権を侵害する
ウ 原告は、被告の著名な商品等表示であり、かつ、商品等表示として需要者の間に広く認識されているしんじょう君オリジナル、別紙被告著作物目録2記載の着ぐるみ(以下「しんじょう君着ぐるみ」という。)、別紙被告著作物目録3記載の各写真(以下、総称して「しんじょう君着ぐるみ写真」という。)及び別紙被告イラスト目録記載の各イラスト(以下、総称して「しんじょう君イラスト」という。)と類似するちぃたん物品を頒布したり、ちぃたん着ぐるみ及びその複製物を用いたイベントの開催等をしたりしているところ、この原告の行為は、不競法2条1項2号及び1号の不正競争に該当する
と主張して、以下の請求をする事案である。(以下、略)』(4頁以下)
<経緯>
H24 被告がキャラクターデザイン公募
H25 D1がオリジナル制作、応募、被告に著作権譲渡
H29 被告が商標登録
H29 カワウソちぃたん出生
H29 原告がちぃたんデザインをD1に依頼、制作
H30 被告がカワウソちぃたんを須崎市観光大使に委嘱
H31 被告が原告にデザイン変更の通知
H31 被告が仮処分申立(平成31(ヨ)22022)、却下
即時抗告(令和1(ラ)10008)、棄却、確定
R03 原告が商標登録
R03 原告が本訴提起
R05 被告が反訴提起
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■判決内容
<争点>
1 本件被告行為についての民法及び不競法の適用の可否
本件被告行為が国賠法1条1項所定の「公権力の行使」に当たるか否か、また、不競法2条1項21号が国賠法4条所定の「民法」に当たるか否かについて、結論として、裁判所は、本件被告行為についての民法及び不競法の適用を肯定しています(63頁以下)。
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2 原告と被告との間の「競争関係」の有無
結論として、裁判所は、原告と被告は、被告が本件被告行為に及んだ平成31年の時点以降において、不競法2条1項21号所定の「競争関係にある」と認められると判断しています(79頁以下)。
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3 「事実を告知し、又は流布する行為」に当たるか
結論として、裁判所は、本件被告行為は、別紙営業誹謗行為主張対比表の「裁判所の判断」「不競法2条1項21号所定の「事実」」欄記載の各事実を告知又は流布するものと認められると判断しています(80頁以下)。
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4 キャラクターちぃたんに係る使用及び活動についての許諾の有無
結論として、裁判所は、被告は、原告に対してちぃたん着ぐるみのみならず、ちぃたんオリジナル、ちぃたん着ぐるみ写真及びちぃたんイラストの各使用を含め、キャラクターちぃたんが独自に商業活動をすることについて黙示に許諾していたというべきであると判断しています(85頁以下)。
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5 許諾に係る錯誤無効の成否
被告は、カワウソちぃたん及びキャラクターちぃたんのツイッターアカウントのフォロワー数に不正な水増し等がされていたところ、そのようなことがないと誤信して黙示の許諾をしたものであるから、この許諾は錯誤により無効であると主張しましたが、裁判所は認めていません(89頁以下)。
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6 許諾に係る詐欺取消しの成否
被告は、カワウソちぃたん及びキャラクターちぃたんのツイッターアカウントのフォロワー数に不正な水増し等がされていたところ、原告の詐欺により、キャラクターちぃたんに係る使用行為について黙示に許諾したのであるから、当該詐欺を理由として、この許諾を取り消すと主張しましたが、裁判所は認めていません(90頁)。
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7 許諾に係る合意の解除の成否
被告は、許諾条件違反や信頼関係破壊を理由として許諾に係る合意が解除されたと主張しましたが、裁判所は認めていません(90頁以下)。
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8 告知又は流布された事実が「虚偽」であるか
本件被告行為における事実は、いずれも不競法2条1項21号所定の「虚偽の事実」に当たると裁判所は判断しています(95頁)。
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9 告知又は流布された事実が原告の「営業上の信用を害する」ものであるか
裁判所は、告知又は流布された事実が原告の営業上の信用を低下させるものに当たることは明らかであると判断しています(95頁以下)。
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10 被告の故意又は過失の有無
裁判所は、公務員である被告代表者及び被告の職員には、少なくとも過失があったものと認定しています(96頁)。
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11 原告の損害の有無及びその額
(1)原告の営業に係る損害 515万2347円
(2)無形損害 200万円
(3)弁護士費用相当額損害 71万円
小計 786万2347円 (96頁以下)
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12 許諾に係る期間が満了したか
裁判所は、許諾に係る期間が満了したと認めることはできないと判断しています(104頁)。
結論として、
本訴請求については、フジテレビ宛書面送付行為及びテレビ東京書面送付行為を除く本件被告行為によって、原告に786万2347円の損害が生じたと認められることから、原告は、被告に対して国賠法1条1項に基づき、不競法2条1項21号所定の営業誹謗行為を理由として損害賠償請求をすることができると裁判所は判断。
反訴請求については、被告は、原告に対してキャラクターちぃたんが独自に商業活動をすることについて黙示に許諾していたと認められるところ、当該許諾について、錯誤無効、詐欺取消し及び合意の解除はいずれも成立せず、許諾に係る期間が満了したともいえないとしてその請求を認めていません。
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■コメント
同じデザイナーさんに似たキャラクターの着ぐるみ(しんじょう君の親友のコンセプト)のデザインを発注していたなかで、類似の2体で市と芸能事務所がコラボしながらイベントなどを進めており、こうした経緯などから著作権侵害性などについては、市側の黙示の許諾が認定されていて、侵害性の成立が否定されています。
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■参考サイト
「「ちぃたん☆」活動めぐり「しんじょう君」の須崎市に賠償命令」
2025年2月10日18時27分 NHK高知 NEWS WEB
記事
ちぃたん・しんじょう君キャラクター営業誹謗事件
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官 間明宏充
裁判官 塚田久美子
東京地裁令和7.2.7令和3(ワ)18479等損害賠償請求事件、使用差止め等反訴請求事件PDF
別紙1
別紙2
別紙3
別紙4
別紙5
別紙6
*裁判所サイト公表 2025.3.4
*キーワード:キャラクター、着ぐるみ、営業誹謗、契約、黙示の許諾
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■事案
キャラクターの利用関係を巡り、営業誹謗行為性などが争点となった事案
原告(反訴被告):芸能事務所
被告(反訴原告):須崎市
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■結論
本訴一部認容、反訴棄却
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■争点
条文 不正競争防止法2条1項21号、国賠法1条1項
1 本件被告行為についての民法及び不競法の適用の可否
2 原告と被告との間の「競争関係」の有無
3 「事実を告知し、又は流布する行為」に当たるか
4 キャラクターちぃたんに係る使用及び活動についての許諾の有無
5 許諾に係る錯誤無効の成否
6 許諾に係る詐欺取消しの成否
7 許諾に係る合意の解除の成否
8 告知又は流布された事実が「虚偽」であるか
9 告知又は流布された事実が原告の「営業上の信用を害する」ものであるか
10 被告の故意又は過失の有無
11 原告の損害の有無及びその額
12 許諾に係る期間が満了したか
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■事案の概要
本訴事件
『本訴事件は、「ちぃたん☆」という名称のキャラクター(以下「キャラクターちぃたん」という。)を使用する原告が、被告に対し、被告による原告の取引先への通知及び被告代表者による記者会見における発言等が、(1)不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項21号所定の営業誹謗行為、(2)信義則上の義務違反を理由とする不法行為及び(3)名誉毀損を理由とする不法行為に当たり、原告は、これらの行為によってキャラクターちぃたんに係る各種活動を取り止めざるを得なくなり、出演料及びロイヤリティに係る逸失利益合計1695万7379円、放送できなくなったアニメの制作費に係る損害金1728万円、名誉毀損に係る損害金500万円及び弁護士費用相当損害金393万円の合計4316万7379円の損害を被ったとして、主位的に民法709条、予備的に国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき、同額及びこれに対する令和3年8月20日(不法行為後の日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(上記逸失利益の支払請求は上記(1)を理由とする請求であり、上記アニメの制作費に係る損害金の支払請求は上記(1)及び(2)を理由とする各請求の選択的併合、上記名誉毀損に係る損害金の支払請求は上記(1)及び(3)を理由とする各請求の選択的併合)事案である。(以下、略)』(3頁以下)
反訴事件
『反訴事件は、「しんじょう君」という名称のキャラクター(以下「キャラクターしんじょう君」という。)を使用する被告が、原告に対し、
ア 原告は、被告が著作権を有する別紙被告著作物目録1記載の著作物(以下「しんじょう君オリジナル」という。)を翻案して別紙原告著作物目録1記載の各イラスト(以下、総称して「ちぃたんオリジナル」という。)を制作し、これに基づいて制作した別紙原告著作物目録3記載の各写真(以下、総称して「ちぃたん着ぐるみ写真」という。)及び別紙原告イラスト目録記載の各イラスト(以下、総称して「ちぃたんイラスト」という。)を付した別紙物品目録記載の各物品(以下、総称して「ちぃたん物品」という。)を頒布したり、別紙原告著作物目録2記載の着ぐるみ(以下「ちぃたん着ぐるみ」という。)及びその複製物を用いたイベントの開催、動画の配信等をしたりしているところ、原告がちぃたんオリジナル、ちぃたん着ぐるみ及びちぃたん着ぐるみ写真を制作又は製作する行為は、しんじょう君オリジナルに係る被告の翻案権を侵害するとともに、原告がちぃたんイラスト、ちぃたん着ぐるみ及びちぃたん着ぐるみ写真を使用する行為は、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利として専有するちぃたんイラスト、ちぃたん着ぐるみ及びちぃたん着ぐるみ写真に係る被告の複製権、譲渡権、公衆送信権及び上映権を侵害する
イ 原告は、被告が有する別紙商標権目録記載の商標権(以下「本件被告商標権」という。)に係る登録商標(以下「本件被告商標」という。)と類似する写真、イラスト等を付したちぃたん物品を販売したり、ちぃたん着ぐるみ及びその複製物を用いたイベントの開催等をしたりしているところ、この原告の行為は、本件被告商標権を侵害する
ウ 原告は、被告の著名な商品等表示であり、かつ、商品等表示として需要者の間に広く認識されているしんじょう君オリジナル、別紙被告著作物目録2記載の着ぐるみ(以下「しんじょう君着ぐるみ」という。)、別紙被告著作物目録3記載の各写真(以下、総称して「しんじょう君着ぐるみ写真」という。)及び別紙被告イラスト目録記載の各イラスト(以下、総称して「しんじょう君イラスト」という。)と類似するちぃたん物品を頒布したり、ちぃたん着ぐるみ及びその複製物を用いたイベントの開催等をしたりしているところ、この原告の行為は、不競法2条1項2号及び1号の不正競争に該当する
と主張して、以下の請求をする事案である。(以下、略)』(4頁以下)
<経緯>
H24 被告がキャラクターデザイン公募
H25 D1がオリジナル制作、応募、被告に著作権譲渡
H29 被告が商標登録
H29 カワウソちぃたん出生
H29 原告がちぃたんデザインをD1に依頼、制作
H30 被告がカワウソちぃたんを須崎市観光大使に委嘱
H31 被告が原告にデザイン変更の通知
H31 被告が仮処分申立(平成31(ヨ)22022)、却下
即時抗告(令和1(ラ)10008)、棄却、確定
R03 原告が商標登録
R03 原告が本訴提起
R05 被告が反訴提起
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■判決内容
<争点>
1 本件被告行為についての民法及び不競法の適用の可否
本件被告行為が国賠法1条1項所定の「公権力の行使」に当たるか否か、また、不競法2条1項21号が国賠法4条所定の「民法」に当たるか否かについて、結論として、裁判所は、本件被告行為についての民法及び不競法の適用を肯定しています(63頁以下)。
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2 原告と被告との間の「競争関係」の有無
結論として、裁判所は、原告と被告は、被告が本件被告行為に及んだ平成31年の時点以降において、不競法2条1項21号所定の「競争関係にある」と認められると判断しています(79頁以下)。
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3 「事実を告知し、又は流布する行為」に当たるか
結論として、裁判所は、本件被告行為は、別紙営業誹謗行為主張対比表の「裁判所の判断」「不競法2条1項21号所定の「事実」」欄記載の各事実を告知又は流布するものと認められると判断しています(80頁以下)。
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4 キャラクターちぃたんに係る使用及び活動についての許諾の有無
結論として、裁判所は、被告は、原告に対してちぃたん着ぐるみのみならず、ちぃたんオリジナル、ちぃたん着ぐるみ写真及びちぃたんイラストの各使用を含め、キャラクターちぃたんが独自に商業活動をすることについて黙示に許諾していたというべきであると判断しています(85頁以下)。
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5 許諾に係る錯誤無効の成否
被告は、カワウソちぃたん及びキャラクターちぃたんのツイッターアカウントのフォロワー数に不正な水増し等がされていたところ、そのようなことがないと誤信して黙示の許諾をしたものであるから、この許諾は錯誤により無効であると主張しましたが、裁判所は認めていません(89頁以下)。
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6 許諾に係る詐欺取消しの成否
被告は、カワウソちぃたん及びキャラクターちぃたんのツイッターアカウントのフォロワー数に不正な水増し等がされていたところ、原告の詐欺により、キャラクターちぃたんに係る使用行為について黙示に許諾したのであるから、当該詐欺を理由として、この許諾を取り消すと主張しましたが、裁判所は認めていません(90頁)。
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7 許諾に係る合意の解除の成否
被告は、許諾条件違反や信頼関係破壊を理由として許諾に係る合意が解除されたと主張しましたが、裁判所は認めていません(90頁以下)。
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8 告知又は流布された事実が「虚偽」であるか
本件被告行為における事実は、いずれも不競法2条1項21号所定の「虚偽の事実」に当たると裁判所は判断しています(95頁)。
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9 告知又は流布された事実が原告の「営業上の信用を害する」ものであるか
裁判所は、告知又は流布された事実が原告の営業上の信用を低下させるものに当たることは明らかであると判断しています(95頁以下)。
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10 被告の故意又は過失の有無
裁判所は、公務員である被告代表者及び被告の職員には、少なくとも過失があったものと認定しています(96頁)。
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11 原告の損害の有無及びその額
(1)原告の営業に係る損害 515万2347円
(2)無形損害 200万円
(3)弁護士費用相当額損害 71万円
小計 786万2347円 (96頁以下)
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12 許諾に係る期間が満了したか
裁判所は、許諾に係る期間が満了したと認めることはできないと判断しています(104頁)。
結論として、
本訴請求については、フジテレビ宛書面送付行為及びテレビ東京書面送付行為を除く本件被告行為によって、原告に786万2347円の損害が生じたと認められることから、原告は、被告に対して国賠法1条1項に基づき、不競法2条1項21号所定の営業誹謗行為を理由として損害賠償請求をすることができると裁判所は判断。
反訴請求については、被告は、原告に対してキャラクターちぃたんが独自に商業活動をすることについて黙示に許諾していたと認められるところ、当該許諾について、錯誤無効、詐欺取消し及び合意の解除はいずれも成立せず、許諾に係る期間が満了したともいえないとしてその請求を認めていません。
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■コメント
同じデザイナーさんに似たキャラクターの着ぐるみ(しんじょう君の親友のコンセプト)のデザインを発注していたなかで、類似の2体で市と芸能事務所がコラボしながらイベントなどを進めており、こうした経緯などから著作権侵害性などについては、市側の黙示の許諾が認定されていて、侵害性の成立が否定されています。
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■参考サイト
「「ちぃたん☆」活動めぐり「しんじょう君」の須崎市に賠償命令」
2025年2月10日18時27分 NHK高知 NEWS WEB
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