最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
騒音振動測定プログラム事件(控訴審)
知財高裁令和6.11.21令和6(ネ)10017等損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 本多知成
裁判官 遠山敦士
裁判官 天野研司
*裁判所サイト公表 2024.11.29
*キーワード:プログラム、著作物性、氏名表示権、業務委託契約、黙示の合意
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■事案
騒音振動監視システムのプログラム制作業務委託契約上の紛争の控訴審
控訴人兼附帯被控訴人(1審原告):プログラム制作者
被控訴人兼附帯控訴人(1審被告):土木コンサル会社
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■結論
控訴棄却、附帯控訴原判決一部変更
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、19条
1 本件各プログラムの著作物性
2 本件プログラム3を複製・改変したプログラムがサイレントロボのプログラムであるか
3 複製又は改変に対する1審原告の承諾(黙示の合意)があったか
4 氏名表示権が侵害されたか及び1審被告に故意又は過失があったか
5 消滅時効が完成したか
6 損害の有無及び額
7 1審原告による文書提出命令の申立てについて
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■事案の概要
『本件は、1審原告が、自らが著作権を有するとする原判決別紙「プログラム目録」記載1〜6の各プログラム(以下、「本件プログラム1」などといい、併せて「本件各プログラム」という。)を1審被告が無断で複製等し、次のとおり1審原告の著作権又は著作者人格権が侵害されたと主張して、1審被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として、1億2245万2000円及びこれに対する不法行為後の日である令和元年12月16日(訴状送達の日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。(以下、略)』
『原判決は、本件各プログラムはいずれも著作物と認められるとした上で、その複製又は改変につき黙示の合意があったことなどから複製権及び同一性保持権の侵害は認められないとしたが、本件プログラム3及び本件プログラム5についての氏名表示権侵害を理由として、1審原告の1審被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権を一部認め、11万円及びこれに対する令和元年12月16日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で請求を認容した。これに対し、1審原告は敗訴部分について不服があるとして控訴を提起し、他方、1審被告は敗訴部分につき不服であるとして附帯控訴を提起した。』
(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件各プログラムの著作物性
原判決と同じく、控訴審でも本件各プログラムはいずれも著作物と認められると判断されています(12頁以下)。
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2 本件プログラム3を複製・改変したプログラムがサイレントロボのプログラムであるか
控訴審は、サイレントロボのプログラムにおいて、本件プログラム3を複製・改変したプログラムを使用したものと推認することはできないなどとして、1審原告の主張を認めていません(13頁以下)。
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3 複製又は改変に対する1審原告の承諾(黙示の合意)があったか
原判決と同じく、控訴審でも本件各プログラムの複製又は改変に対する黙示の合意があったと判断されています(15頁以下)。
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4 氏名表示権が侵害されたか及び1審被告に故意又は過失があったか
本件プログラム3について、原判決と同じく、控訴審でも1審被告には氏名表示権の侵害があり、損害賠償義務があると判断されています(17頁以下)。
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5 消滅時効が完成したか
本件プログラム3について、原判決と同じく、控訴審でも氏名表示権の侵害に基づく損害賠償請求権は時効により消滅していないと判断されています(18頁)。
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6 損害の有無及び額
1審被告の行為による本件プログラム3についての氏名表示権侵害によって、1審原告の被った損害(慰謝料額)は、本件に現れた一切の事情を考慮すると5万円と認められ、1審被告は、相当因果関係のある弁護士費用5000円を加えた5万5000円及びこれに対する遅延損害金を支払う義務を負うと控訴審は判断しています(18頁以下)。
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7 1審原告による文書提出命令の申立てについて
いずれの文書も本件において証拠調べの必要性があるとはいえなとして、同申立ては却下されています(19頁)。
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■コメント
退職従業員との間の業務委託契約上の紛争の控訴審となります。
結論としては、原審で認定されていた損額額11万円が5万5000円に減額されています。
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■過去のブログ記事
大阪地裁令和6.1.29令和1(ワ)10940損害賠償請求事件
原審記事
騒音振動測定プログラム事件(控訴審)
知財高裁令和6.11.21令和6(ネ)10017等損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 本多知成
裁判官 遠山敦士
裁判官 天野研司
*裁判所サイト公表 2024.11.29
*キーワード:プログラム、著作物性、氏名表示権、業務委託契約、黙示の合意
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■事案
騒音振動監視システムのプログラム制作業務委託契約上の紛争の控訴審
控訴人兼附帯被控訴人(1審原告):プログラム制作者
被控訴人兼附帯控訴人(1審被告):土木コンサル会社
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■結論
控訴棄却、附帯控訴原判決一部変更
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、19条
1 本件各プログラムの著作物性
2 本件プログラム3を複製・改変したプログラムがサイレントロボのプログラムであるか
3 複製又は改変に対する1審原告の承諾(黙示の合意)があったか
4 氏名表示権が侵害されたか及び1審被告に故意又は過失があったか
5 消滅時効が完成したか
6 損害の有無及び額
7 1審原告による文書提出命令の申立てについて
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■事案の概要
『本件は、1審原告が、自らが著作権を有するとする原判決別紙「プログラム目録」記載1〜6の各プログラム(以下、「本件プログラム1」などといい、併せて「本件各プログラム」という。)を1審被告が無断で複製等し、次のとおり1審原告の著作権又は著作者人格権が侵害されたと主張して、1審被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として、1億2245万2000円及びこれに対する不法行為後の日である令和元年12月16日(訴状送達の日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。(以下、略)』
『原判決は、本件各プログラムはいずれも著作物と認められるとした上で、その複製又は改変につき黙示の合意があったことなどから複製権及び同一性保持権の侵害は認められないとしたが、本件プログラム3及び本件プログラム5についての氏名表示権侵害を理由として、1審原告の1審被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権を一部認め、11万円及びこれに対する令和元年12月16日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で請求を認容した。これに対し、1審原告は敗訴部分について不服があるとして控訴を提起し、他方、1審被告は敗訴部分につき不服であるとして附帯控訴を提起した。』
(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件各プログラムの著作物性
原判決と同じく、控訴審でも本件各プログラムはいずれも著作物と認められると判断されています(12頁以下)。
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2 本件プログラム3を複製・改変したプログラムがサイレントロボのプログラムであるか
控訴審は、サイレントロボのプログラムにおいて、本件プログラム3を複製・改変したプログラムを使用したものと推認することはできないなどとして、1審原告の主張を認めていません(13頁以下)。
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3 複製又は改変に対する1審原告の承諾(黙示の合意)があったか
原判決と同じく、控訴審でも本件各プログラムの複製又は改変に対する黙示の合意があったと判断されています(15頁以下)。
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4 氏名表示権が侵害されたか及び1審被告に故意又は過失があったか
本件プログラム3について、原判決と同じく、控訴審でも1審被告には氏名表示権の侵害があり、損害賠償義務があると判断されています(17頁以下)。
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5 消滅時効が完成したか
本件プログラム3について、原判決と同じく、控訴審でも氏名表示権の侵害に基づく損害賠償請求権は時効により消滅していないと判断されています(18頁)。
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6 損害の有無及び額
1審被告の行為による本件プログラム3についての氏名表示権侵害によって、1審原告の被った損害(慰謝料額)は、本件に現れた一切の事情を考慮すると5万円と認められ、1審被告は、相当因果関係のある弁護士費用5000円を加えた5万5000円及びこれに対する遅延損害金を支払う義務を負うと控訴審は判断しています(18頁以下)。
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7 1審原告による文書提出命令の申立てについて
いずれの文書も本件において証拠調べの必要性があるとはいえなとして、同申立ては却下されています(19頁)。
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■コメント
退職従業員との間の業務委託契約上の紛争の控訴審となります。
結論としては、原審で認定されていた損額額11万円が5万5000円に減額されています。
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■過去のブログ記事
大阪地裁令和6.1.29令和1(ワ)10940損害賠償請求事件
原審記事