最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ユーチューバータレントマネジメント契約解除事件
東京地裁令和6.7.8令和5(ワ)70722妨害禁止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 中島基至
裁判官 坂本達也
裁判官 尾池悠子
*裁判所サイト公表 2024.7.16
*キーワード:タレントマネジメント契約、専属契約、委任、解除、放棄、権利濫用
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■事案
原告:ユーチューバーら
被告:タレントマネジメント会社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 民法651条1項、656条
1 原告らが本件契約の解除権を放棄したといえるか
2 本件契約の解除権の行使が権利の濫用に当たるか
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■事案の概要
『本件は、いわゆるカップルユーチューバーである原告らが、タレントのマネジメント会社である被告に対し、被告との間で締結した令和4年4月16日付けマネジメント契約が終了していることの確認を求める事案である。
なお、原告らは、被告においてマネージャー募集に関するウエブサイト広告(別紙参照)に原告らの肖像及びグループ名を使用する行為が、原告らのパブリシティ権侵害等を構成すると主張して、上記肖像及びグループ名の削除を求める請求をしていたところ、被告は、争点整理の一環として、任意に削除したことから、原告らは、上記請求を取り下げ、被告もこれに同意した。したがって、本件の争点は、上記マネジメント契約の解除の成否のみである。』
(1頁以下)
<経緯>
R4.4 専属マネジメント契約締結
R5.7 原告らが解除の意思表示
R5.10 原告らが仮処分申立、認容決定
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■判決内容
<争点>
1 原告らが本件契約の解除権を放棄したといえるか
裁判所は、最高裁昭和54年(オ)第353号昭和56年1月19日第二小法廷判決(*1)に言及した上で、委任者は、明らかに解除権を放棄したと認められる特段の事情がない限り、いつでも委任契約の解除をすることができるものと解するのが相当である旨説示。
そして、本件についてみると、本件契約12条2項は、契約当事者は契約期間内であっても合意により解除することができる旨規定するところ、上記の規定内容は、合意解除を定めたものにすぎず、原告らが本件契約の解除権を放棄する旨を明記するものとはいえないと判断。
上記の事情の下においては、上記特段の事情を認めることはできず、原告らは、民法656条が準用する651条1項の規定により、いつでも本件契約を解除することができるというべきであるとして、原告らにおいて明らかに解除権を放棄したものと認めることはできないと判断しています(6頁以下)。
(*1)裁判要旨
「受任者の利益のためにも締結された委任契約であつても、その契約において委任者が委任契約の解除権自体を放棄したものとは解されない事情がある場合は、委任者は、やむをえない事由がなくても、民法六五一条に則り右契約を解除することができる。」
最高裁判所判例集 昭和54(オ)353
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2 本件契約の解除権の行使が権利の濫用に当たるか
被告は、原告らにおいて本件契約の解除権が認められるとしても、原告らは本件契約の契約期間中に別のエージェントと交渉等をしていた事実を踏まえると、原告らが解除権を行使することは、権利の濫用に当たり許されない旨反論しましたが、裁判所は認めていません(8頁)。
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■コメント
芸能人、タレントの専属契約書を巡る紛争となります。契約書の全体が分からないので、事例判断だったかとは思われます。
ユーチューバータレントマネジメント契約解除事件
東京地裁令和6.7.8令和5(ワ)70722妨害禁止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 中島基至
裁判官 坂本達也
裁判官 尾池悠子
*裁判所サイト公表 2024.7.16
*キーワード:タレントマネジメント契約、専属契約、委任、解除、放棄、権利濫用
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■事案
原告:ユーチューバーら
被告:タレントマネジメント会社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 民法651条1項、656条
1 原告らが本件契約の解除権を放棄したといえるか
2 本件契約の解除権の行使が権利の濫用に当たるか
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■事案の概要
『本件は、いわゆるカップルユーチューバーである原告らが、タレントのマネジメント会社である被告に対し、被告との間で締結した令和4年4月16日付けマネジメント契約が終了していることの確認を求める事案である。
なお、原告らは、被告においてマネージャー募集に関するウエブサイト広告(別紙参照)に原告らの肖像及びグループ名を使用する行為が、原告らのパブリシティ権侵害等を構成すると主張して、上記肖像及びグループ名の削除を求める請求をしていたところ、被告は、争点整理の一環として、任意に削除したことから、原告らは、上記請求を取り下げ、被告もこれに同意した。したがって、本件の争点は、上記マネジメント契約の解除の成否のみである。』
(1頁以下)
<経緯>
R4.4 専属マネジメント契約締結
R5.7 原告らが解除の意思表示
R5.10 原告らが仮処分申立、認容決定
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■判決内容
<争点>
1 原告らが本件契約の解除権を放棄したといえるか
裁判所は、最高裁昭和54年(オ)第353号昭和56年1月19日第二小法廷判決(*1)に言及した上で、委任者は、明らかに解除権を放棄したと認められる特段の事情がない限り、いつでも委任契約の解除をすることができるものと解するのが相当である旨説示。
そして、本件についてみると、本件契約12条2項は、契約当事者は契約期間内であっても合意により解除することができる旨規定するところ、上記の規定内容は、合意解除を定めたものにすぎず、原告らが本件契約の解除権を放棄する旨を明記するものとはいえないと判断。
上記の事情の下においては、上記特段の事情を認めることはできず、原告らは、民法656条が準用する651条1項の規定により、いつでも本件契約を解除することができるというべきであるとして、原告らにおいて明らかに解除権を放棄したものと認めることはできないと判断しています(6頁以下)。
(*1)裁判要旨
「受任者の利益のためにも締結された委任契約であつても、その契約において委任者が委任契約の解除権自体を放棄したものとは解されない事情がある場合は、委任者は、やむをえない事由がなくても、民法六五一条に則り右契約を解除することができる。」
最高裁判所判例集 昭和54(オ)353
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2 本件契約の解除権の行使が権利の濫用に当たるか
被告は、原告らにおいて本件契約の解除権が認められるとしても、原告らは本件契約の契約期間中に別のエージェントと交渉等をしていた事実を踏まえると、原告らが解除権を行使することは、権利の濫用に当たり許されない旨反論しましたが、裁判所は認めていません(8頁)。
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■コメント
芸能人、タレントの専属契約書を巡る紛争となります。契約書の全体が分からないので、事例判断だったかとは思われます。