最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

ファッション色彩能力検定テキスト法人著作事件

東京地裁令和6.3.25令和5(ワ)70315損害賠償等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第 47 部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官    久野雄平
裁判官    吉野弘子

*裁判所サイト公表 2024.5.14
*キーワード:職務著作、法人著作、学校法人、講師

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■事案

検定テキストの執筆にあたり職務著作(法人著作)の成否が争点となった事案

原告:被告講師
被告:学校法人

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法15条1項

1 本件書籍の著作権の帰属

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■事案の概要

『本件は、原告が、共同著作物である本件書籍の著作者の一人として本件書籍に係る著作権を有するところ、被告による本件書籍の複製は原告の著作権(複製権)を侵害すると主張して、被告に対し、本件書籍の複製の差止め及び損害賠償又は不当利得返還を求める事案である。』
(1頁)

<経緯>

H02-  原告が被告の講師就任
H18-  原告が検定委員会委員長就任
H13.11 原告が検定試案提出
H14.12 カラーコーディネート検定(色彩検定)検討委員会発足
H16   被告らが本件書籍執筆
H18.03 被告と日本ファッション教育振興協会が覚書締結
H18.03 本件書籍刊行
H18.05 被告が原告に原稿料47万1000円支払い
H19.07 被告と日本ファッション教育振興協会が覚書締結

本件書籍:ファッション色彩〔機優侫.奪轡腑鷽Ш滅塾聾…蟷邯械概藹犁
発行者 :被告理事長兼一般財団法人日本ファッション教育振興協会理事長
発売元 :一般財団法人日本ファッション協会振興協会
発行  :学校法人文化学園文化出版局

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■判決内容

<争点>

1 本件書籍の著作権の帰属

(1)被告の「発意」の有無

ファッション色彩能力検定は、被告理事長であるEの指示に基づき、原告を含む被告教職員を構成員とする「カラーコーディネート検定(色彩検定)検討委員会」及び「『ファッションカラー』グループ研究」において検討されたものといった経緯を踏まえ、本件検定は、被告が主導的立場から企画したものであると裁判所は判断。
結論として、本件検定と同時に検討されていた本件書籍の制作についても、被告が企画したもの(被告の発意によるもの)と認めるのが相当であると判断しています(14頁以下)。

(2)「職務上作成する著作物」かどうか

裁判所は、結論として、本件書籍は、原告が被告の業務に従事する者として「職務上作成する著作物」に当たると判断しています(15頁以下)。

(3)「著作の名義の下に公表するもの」かどうか

本件書籍の奥付には「cBunka Publishing Bureau 2006 Printed in Japan」との記載があり、「文化出版局」と和訳することが可能であると裁判所は判断。
被告において被告の名称を明示的に付すことなく「文化出版局」名義で書籍を出版している例があることなどから、結論として、本件書籍は、被告の著作の名義の下に公表されたものと判断しています(16頁以下)。

そのほか、「その作成時における契約、勤務規則その他に別段の定め」がないことは当事者間に争いがなく、本件書籍の著作者は被告と判断されています(15条1項)。
結論として、原告の主張は認められていません。

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■コメント

雇用関係にある講師の原稿による書籍の法人著作性が争点となりました。