最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

漫画村損害賠償請求事件

東京地裁令和6.4.18令和4(ワ)18776損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官    久野雄平
裁判官    吉野弘子

*裁判所サイト公表 2024.4.23
*キーワード:海賊版、漫画村、損害論

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■事案

漫画コンテンツ違法配信サイト「漫画村」運営者に対する損害賠償請求の事案

原告:出版社ら
被告:サイト運営者

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法114条3項

1 被告による権利侵害の有無
2 被告の故意の有無
3 損害額
4 消滅時効の成否

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■事案の概要

『本件は、出版社である原告らが、本件作品の各著作権者から本件作品を出版及び公衆送信することにつき出版権又は独占的利用権の設定を受けているところ、被告が、本件サイトにおいて、本件作品の画像データを自動公衆送信(送信可能化を含む。)したことは、本件作品に係る原告らの出版権又は独占的利用権を侵害すると主張して、被告に対し、損害賠償を求める事案である。』
(1頁)

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■判決内容

<争点>

1 被告による権利侵害の有無

被告は、他の関係者と共同して、本件サイト(net)本件サイト(org)において、本件作品の画像データを公衆送信(送信可能化)したものであり、これにより原告らの本件作品に係る出版権又は独占的利用権が侵害されたものであると裁判所は認定しています(24頁以下)。

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2 被告の故意の有無

原告らが有する本件作品に係る出版権又は独占的利用権の侵害について、被告に故意があると裁判所は認定しています(28頁)。
結論として、被告は、原告らに対して権利侵害の不法行為に基づく損害賠償責任を負うと裁判所は判断しています。

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3 損害額

(1)著作権法114条3項に基づく損害(28頁以下)

・原告KADOKAWAにつき3億6886万9059円
・原告集英社につき3億 9020万9859円
・原告小学館につき8億1968万6790円

(2)弁護士費用相当損害金

・原告KADOKAWAにつき3688万6905円
・原告集英社につき3902万0985円
・原告小学館につき8196万8679円

上記の合計
・原告KADOKAWAにつき4億0575万5964円
・原告集英社につき4億2923万0844円
・原告小学館につき9億0165万5469円

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4 消滅時効の成否

結論として、本件における原告らの被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権については、いずれも消滅時効は完成していないと判断されています(民法150条、147条1項1号)(32頁以下)。

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■コメント

漫画村事件の民事訴訟となります。17億円余りの損害額が認定されていますが、被告であるサイト元運営者は、取材に対して支払うつもりはないと強弁しています。

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■参考サイト

『「漫画村」元運営者に17億円の賠償命令 人気漫画を無断ネット公開』
米田優人 2024年4月18日 14時18分
朝日新聞デジタル記事