最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
関ケ原検定事件
東京地裁令和5.8.30令和4(ワ)70145著作権侵害(不法行為)による請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 杉田時基
裁判官 仲田憲史
*裁判所サイト公表 2024.1.10
*キーワード:国賠法1条1項、被告適格
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■事案
町が企画したご当地検定の実施に当たってデザインの利用許諾関係が争点となった事案
原告:個人
被告:歴史民俗学習館館長、町役場係長、町長
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 国賠法1条1項
1 損害賠償請求について
2 差止め等の請求について
3 名誉回復措置について
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■事案の概要
『被告らは、関ケ原検定を実施するにあたり、令和2年12月から令和3年8月にかけて、別紙原告著作物目録記載1の著作物については、ジャンパーにおいてそのまま使用し、別紙原告著作物目録記載2の著作物については、別紙被告の改変部分記載1のとおりの追記をしてポスターを作成して大垣城等の公共施設に掲載し、別紙原告著作物目録記載3の著作物については、別紙被告の改変部分記載2のとおりの追記をして募集要項を作成して配布し、別紙原告著作物目録記載4の著作物については、別紙被告の改変部分記載3のとおりの改変をした上で合格証書を作成し、別紙原告著作物目録記載5の合格カードについては、そのまま複製して配布し、受験生を募集するホームページにも原告の著作物を掲載し、これらによって、原告の著作物を複製し原告の複製権を侵害した。
また、被告らは本件各商標を前記ポスター、募集要項、合格証書及び別紙原告著作物目録記載5のデザインの合格カードに記載して使用した。』(2頁)
として原告が公務員である被告らに対して損害賠償請求などをした事案
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■判決内容
<争点>
1 損害賠償請求について
原告は、令和3年に関ケ原町で実施された関ケ原検定に関連して、被告らが令和2年12月から令和3年8月にかけて行ったとする関ケ原検定のポスターや合格証書等の作成、配布等の不法行為性を争点としました。
この点について、裁判所は、関ケ原検定は関ケ原町が実施したもので、公権力の行使としてしたものであると認定。また、被告らは関ケ原町の公務員であることから、国賠法1条1項に関する最高裁判例(最高裁昭和30年4月19日昭和28年(オ)第625号第三小法廷判決、最高裁昭和53年10月20日昭和49年(オ)第419号第二小法廷判決)を踏まえ、関ケ原町のみが賠償の責めを負い、被告ら個人は損害賠償責任を負わないと判断。
原告の主張を裁判所は認めていません(5頁以下)。
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2 差止め等の請求について
令和3年4月に関ケ原検定が実施された際に原告から知的財産の侵害があるとの警告があり、関ケ原町は同年7月には、関ケ原検定事業を中止した。その後、関ケ原検定は実施されていないことから、現時点において、関ケ原町において、本件で原告が自身の著作物であると主張する著作物や原告が有する商標等を利用する事業を行うおそれがあると認めるには足りないと裁判所は判断。
原告が被告らに対して関ケ原検定に関する行為の差止め等を求める必要性はなく、裁判所は、原告の請求は認められないと判断しています(6頁以下)。
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3 名誉回復措置について
原告は著作権法115条に基づく名誉回復等の措置を請求するものの、同措置の前提となる著作者人格権侵害に関する主張がないとして、裁判所は、同措置を命じる前提を欠くとして原告の請求には理由がないと判断しています(6頁)。
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■コメント
本人訴訟となります。原告がどのような立場で検定の運営に関与していたかは判決文からはわかりません。
2014年に開催された第1回の検定の概要をウェイブサイトで見てみると、企画運営には事業者が入っていて、町は後援名義を与え、そして関ケ原、東京、大阪の3会場で実施されていたことが分かります。
関ケ原検定事件
東京地裁令和5.8.30令和4(ワ)70145著作権侵害(不法行為)による請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 杉田時基
裁判官 仲田憲史
*裁判所サイト公表 2024.1.10
*キーワード:国賠法1条1項、被告適格
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■事案
町が企画したご当地検定の実施に当たってデザインの利用許諾関係が争点となった事案
原告:個人
被告:歴史民俗学習館館長、町役場係長、町長
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 国賠法1条1項
1 損害賠償請求について
2 差止め等の請求について
3 名誉回復措置について
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■事案の概要
『被告らは、関ケ原検定を実施するにあたり、令和2年12月から令和3年8月にかけて、別紙原告著作物目録記載1の著作物については、ジャンパーにおいてそのまま使用し、別紙原告著作物目録記載2の著作物については、別紙被告の改変部分記載1のとおりの追記をしてポスターを作成して大垣城等の公共施設に掲載し、別紙原告著作物目録記載3の著作物については、別紙被告の改変部分記載2のとおりの追記をして募集要項を作成して配布し、別紙原告著作物目録記載4の著作物については、別紙被告の改変部分記載3のとおりの改変をした上で合格証書を作成し、別紙原告著作物目録記載5の合格カードについては、そのまま複製して配布し、受験生を募集するホームページにも原告の著作物を掲載し、これらによって、原告の著作物を複製し原告の複製権を侵害した。
また、被告らは本件各商標を前記ポスター、募集要項、合格証書及び別紙原告著作物目録記載5のデザインの合格カードに記載して使用した。』(2頁)
として原告が公務員である被告らに対して損害賠償請求などをした事案
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■判決内容
<争点>
1 損害賠償請求について
原告は、令和3年に関ケ原町で実施された関ケ原検定に関連して、被告らが令和2年12月から令和3年8月にかけて行ったとする関ケ原検定のポスターや合格証書等の作成、配布等の不法行為性を争点としました。
この点について、裁判所は、関ケ原検定は関ケ原町が実施したもので、公権力の行使としてしたものであると認定。また、被告らは関ケ原町の公務員であることから、国賠法1条1項に関する最高裁判例(最高裁昭和30年4月19日昭和28年(オ)第625号第三小法廷判決、最高裁昭和53年10月20日昭和49年(オ)第419号第二小法廷判決)を踏まえ、関ケ原町のみが賠償の責めを負い、被告ら個人は損害賠償責任を負わないと判断。
原告の主張を裁判所は認めていません(5頁以下)。
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2 差止め等の請求について
令和3年4月に関ケ原検定が実施された際に原告から知的財産の侵害があるとの警告があり、関ケ原町は同年7月には、関ケ原検定事業を中止した。その後、関ケ原検定は実施されていないことから、現時点において、関ケ原町において、本件で原告が自身の著作物であると主張する著作物や原告が有する商標等を利用する事業を行うおそれがあると認めるには足りないと裁判所は判断。
原告が被告らに対して関ケ原検定に関する行為の差止め等を求める必要性はなく、裁判所は、原告の請求は認められないと判断しています(6頁以下)。
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3 名誉回復措置について
原告は著作権法115条に基づく名誉回復等の措置を請求するものの、同措置の前提となる著作者人格権侵害に関する主張がないとして、裁判所は、同措置を命じる前提を欠くとして原告の請求には理由がないと判断しています(6頁)。
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■コメント
本人訴訟となります。原告がどのような立場で検定の運営に関与していたかは判決文からはわかりません。
2014年に開催された第1回の検定の概要をウェイブサイトで見てみると、企画運営には事業者が入っていて、町は後援名義を与え、そして関ケ原、東京、大阪の3会場で実施されていたことが分かります。