最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「Yahoo!地図」類否事件(控訴審)

知財高裁令和5.10.12令和5(ネ)10059損害賠償請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 宮坂昌利
裁判官    本吉弘行
裁判官    頼 晋一

*裁判所サイト公表 2023.10.30
*キーワード:地図、著作物性、複製、翻案

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■事案

沖縄県糸満市周辺の地図の類否が争点となった事案の控訴審

控訴人(1審原告) :個人発明家
被控訴人(1審被告):ヤフー

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、10条1項6号、27条、19条、20条

1 控訴人地図1に関する著作権侵害の成否
2 控訴人地図1に関する著作者人格権侵害の成否
3 控訴人地図2に関する著作権及び著作者人格権侵害の成否

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■事案の概要

『本件は、控訴人が、その著作に係る地図の著作物である控訴人各地図に関し、下表のとおり、被控訴人の前身である被疑侵害者による下記著作権及び著作者人格権の侵害があったと主張して、その承継人である被控訴人に対し、損害賠償等を求める事案である。(以下、表は略)』
(1頁以下)

被疑侵害著作物:ヤフー地図、プロアトラス地図

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■判決内容

<争点>

1 控訴人地図1に関する著作権侵害の成否

控訴審は、まず地図の著作物の複製・翻案の判断枠組みと判断手法(検討手順)について言及。控訴人地図1の表現上の本質的特徴について分析した上で、プロアトラス地図とヤフー地図を比較検討。
結論として、控訴人地図1の表現上の本質的部分の特徴が被控訴人各地図から直接感得できるとは認めれないとして、被控訴人各地図は、いずれも控訴人地図1を複製又は翻案し、著作権侵害をしたものとは認められないと判断しています(12頁以下)。

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2 控訴人地図1に関する著作者人格権侵害の成否

争点1の通り、被控訴人各地図は、いずれも控訴人地図1の表現上の本質的特徴を感得させるものではなく、控訴人地図1に係る著作者人格権(同一性保持権・氏名表示権)を侵害したと認めることはできないと控訴審は判断しています(19頁)。

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3 控訴人地図2に関する著作権及び著作者人格権侵害の成否

被控訴人各地図は、いずれも控訴人地図2を複製又は翻案したものとは認められないとして、結論として、控訴審は、控訴人地図2に関する著作権侵害及び著作者人格権(同一性保持権・氏名表示権)侵害を認めていません(19頁以下)。

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■コメント

原審同様、控訴審でも棄却の判断となっています。

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■過去のブログ記事

東京地裁令和5.4.14令和3(ワ)17636損害賠償請求事件
原審記事