最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

YouTube配信停止申立通知事件

東京地裁令和5.8.25令和4(ワ)7920損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官    杉田時基
裁判官    仲田憲史

*裁判所サイト公表 2023.10.17
*キーワード:YouTube、通知、権利侵害申立

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■事案

YouTubeの権利侵害申立フォームの利用を巡り申立の不法行為性が争点となった事案

原告:情報提供サービス会社
被告:人材育成教育事業会社、代表者A

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■結論

請求棄却

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■争点

1 本件通知は、本件動画が被告らの著作権を侵害した旨の通知をしたものであり、被告らに著作権侵害の有無を事前に確認する義務があったか

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■事案の概要

『本件は、原告が、インターネット上の動画共有サイトであるYouTube(以下「ユーチューブ」という。)に投稿した動画について、被告A(以下「被告A」という。)が、同動画投稿によって著作権が侵害されたか否かについて調査することなく、著作権が侵害された旨の虚偽の通知をしたとして、被告Aに対しては不法行為に基づき、被告株式会社東京カモガシラランド(以下「被告会社」という。)に対しては会社法350条に基づき、連帯して165万円及び同動画が削除された日である令和3年11月10日から支払済みまで、年3分の割合による金員の支払を請求する事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

R03.11 原告が本件動画投稿
R03.11 被告AがGoogleに本件通知を行う
R03.11 Googleが本件動画を削除
R04.01 被告Aが原告が投稿した別動画について削除依頼通知を行う
R04.01 Googleが被告Aに通知

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■判決内容

<争点>

1 本件通知は、本件動画が被告らの著作権を侵害した旨の通知をしたものであり、被告らに著作権侵害の有無を事前に確認する義務があったか

原告は、被告Aが著作権侵害の有無を調査すべき義務があったと主張しましたが、裁判所は、被告Aがパブリシティ権侵害を理由に通知をしているとして、被告Aに著作権侵害の有無を事前に確認する義務があったとは認められないと判断。
結論として、同義務違反により原告の法律上保護された利益が侵害されたことを理由とする原告の請求には理由がないと判断されています(4頁以下)。

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■コメント

YouTubeの権利侵害申立フォームが利用される場面は増加すると思われ、実際の処理の一端に触れることができる事案です。なお、本人訴訟ではありません。