最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
医療系アニメーション制作契約事件
東京地裁令和5.8.30令和3(ワ)12304損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官 間明宏充
裁判官 小川 暁
*裁判所サイト公表 2023.10.12
*キーワード:映画製作契約、映画製作者、氏名表示権、損害論
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■事案
医療系のアニメーション映像製作契約を巡って著作権の帰属などが争点となった事案
原告:アニメーション制作事業者
被告:出版社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、29条1項、19条
1 本件映像の著作物性
2 本件映像の著作者
3 本件映像の著作権者
4 著作者名表示の省略の可否
5 故意又は過失の有無
6 損害の有無及びその額
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■事案の概要
『本件は、原告が、被告に対し、被告がインターネット上の動画共有サイトにおいて別紙映像目録記載の映像(以下「本件映像」という。)を原告の氏名又は屋号を著作者名として表示することなく公開した行為により、本件映像についての原告の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権)が侵害されたと主張して、不法行為に基づく損害賠償として、損害金660万円(著作権法114条3項に基づく損害400万円、逸失利益100万円、慰謝料100万円及び弁護士費用60万円)及びこれに対する平成29年8月3日(不法行為の日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H26.02 被告が医師Cの紹介で原告に本件映像の制作を委託、原告が納品
H26.03 被告がDVDが付属する書籍を販売
H29.08 被告が映像をYouTubeに掲載
H30.08 被告が増補改訂版発行
本件映像:知っておきたい「てんかんの発作」アニメーションDVD
てんかん発作の13症例に関するそれぞれ1ないし2分程度の長さの独立した別個のアニメーション映像によって構成されたもの
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■判決内容
<争点>
1 本件映像の著作物性
本件映像の著作物性について、裁判所は、本件映像におけるてんかん発作の動きの表現やナレーションについては、著作物性を否定。反面、日常生活を送っている様子が描かれている部分や編集著作物として著作物性(著作権法2条1項1号)を肯定しています(28頁以下)。
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2 本件映像の著作者
裁判所は、本件映像が映画の著作物(2条3項)に当たるとした上で、原告は、少なくとも本件映像の監督、演出、美術等を担当して、その全体的形成に創作的に寄与した者と認めるのが相当であると判断。また、医師Cについても同様にその全体的形成に創作的に寄与した者と判断。
結論として、本件映像の著作者は、原告及び医師Cであると判断しています(30頁以下)。
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3 本件映像の著作権者
結論として、裁判所は、本件映像の著作権は29条1項により映画製作者である医師Cに帰属すると判断しています(33頁以下)。
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4 著作者名表示の省略の可否
裁判所は、結論として、被告が原告の実名又は変名を著作者名として表示することなく、本件サイトにおいて本件複製映像を公開していたとして、この行為により本件映像に係る原告の氏名表示権を侵害したと判断しています(38頁以下)。
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5 故意又は過失の有無
裁判所は、結論として、被告には本件映像に係る原告の氏名表示権を侵害したことについて、少なくとも過失があると判断しています(39頁)。
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6 損害の有無及びその額
・氏名表示権侵害に係る慰謝料 50万円
・弁護士費用相当額損害 5万円
(39頁以下)
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■コメント
アニメーション映像制作契約を巡り、映像の著作権の帰属や氏名表示権侵害侵害性が争点となった事案となります。
医療系アニメーション制作契約事件
東京地裁令和5.8.30令和3(ワ)12304損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官 間明宏充
裁判官 小川 暁
*裁判所サイト公表 2023.10.12
*キーワード:映画製作契約、映画製作者、氏名表示権、損害論
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■事案
医療系のアニメーション映像製作契約を巡って著作権の帰属などが争点となった事案
原告:アニメーション制作事業者
被告:出版社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、29条1項、19条
1 本件映像の著作物性
2 本件映像の著作者
3 本件映像の著作権者
4 著作者名表示の省略の可否
5 故意又は過失の有無
6 損害の有無及びその額
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■事案の概要
『本件は、原告が、被告に対し、被告がインターネット上の動画共有サイトにおいて別紙映像目録記載の映像(以下「本件映像」という。)を原告の氏名又は屋号を著作者名として表示することなく公開した行為により、本件映像についての原告の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権)が侵害されたと主張して、不法行為に基づく損害賠償として、損害金660万円(著作権法114条3項に基づく損害400万円、逸失利益100万円、慰謝料100万円及び弁護士費用60万円)及びこれに対する平成29年8月3日(不法行為の日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H26.02 被告が医師Cの紹介で原告に本件映像の制作を委託、原告が納品
H26.03 被告がDVDが付属する書籍を販売
H29.08 被告が映像をYouTubeに掲載
H30.08 被告が増補改訂版発行
本件映像:知っておきたい「てんかんの発作」アニメーションDVD
てんかん発作の13症例に関するそれぞれ1ないし2分程度の長さの独立した別個のアニメーション映像によって構成されたもの
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■判決内容
<争点>
1 本件映像の著作物性
本件映像の著作物性について、裁判所は、本件映像におけるてんかん発作の動きの表現やナレーションについては、著作物性を否定。反面、日常生活を送っている様子が描かれている部分や編集著作物として著作物性(著作権法2条1項1号)を肯定しています(28頁以下)。
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2 本件映像の著作者
裁判所は、本件映像が映画の著作物(2条3項)に当たるとした上で、原告は、少なくとも本件映像の監督、演出、美術等を担当して、その全体的形成に創作的に寄与した者と認めるのが相当であると判断。また、医師Cについても同様にその全体的形成に創作的に寄与した者と判断。
結論として、本件映像の著作者は、原告及び医師Cであると判断しています(30頁以下)。
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3 本件映像の著作権者
結論として、裁判所は、本件映像の著作権は29条1項により映画製作者である医師Cに帰属すると判断しています(33頁以下)。
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4 著作者名表示の省略の可否
裁判所は、結論として、被告が原告の実名又は変名を著作者名として表示することなく、本件サイトにおいて本件複製映像を公開していたとして、この行為により本件映像に係る原告の氏名表示権を侵害したと判断しています(38頁以下)。
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5 故意又は過失の有無
裁判所は、結論として、被告には本件映像に係る原告の氏名表示権を侵害したことについて、少なくとも過失があると判断しています(39頁)。
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6 損害の有無及びその額
・氏名表示権侵害に係る慰謝料 50万円
・弁護士費用相当額損害 5万円
(39頁以下)
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■コメント
アニメーション映像制作契約を巡り、映像の著作権の帰属や氏名表示権侵害侵害性が争点となった事案となります。