最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

アダルト動画ビットトレント損害賠償事件

大阪地裁令和5.8.31令和4(ワ)9660債務不存在確認請求事件PDF

大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 武宮英子
裁判官    阿波野右起
裁判官    峯健一郎

*裁判所サイト公表 2023.9.6
*キーワード:損害論、共同不法行為性

   --------------------

■事案

ビットトレントによる違法配信者が損害額を争った事案

原告:ビットトレント使用者
被告:ビデオ映像製作会社

   --------------------

■結論

請求一部認容

   --------------------

■争点

条文 著作権法23条、民法719条1項前段

1 損害論

   --------------------

■事案の概要

『原告は、BitTorrent(以下「ビットトレント」という。)と呼ばれるファイル共有ネットワーク及びビットトレントを利用するためのクライアントソフトを使用したところ、別紙著作物目録記載の動画(以下「本件著作物」という。)の著作権者である被告から、原告が本件著作物の動画ファイル(以下「本件ファイル」という。)をビットトレントのシステムを使用して、違法にダウンロードし、また、第三者に本件ファイルをダウンロードさせた(第三者によってダウンロードができる状態にすることを含めて、以下「アップロード」ということがある。)ことにより、本件著作物に係る著作権が侵害されたとして、20万円を超える損害賠償請求を受けた。本件は、原告が、被告に対し、本件著作物に係る著作権侵害に基づく損害賠償債務は3万円を超えて存在しないことの確認を求める債務不存在確認請求訴訟である。』

<経緯>

R03.10 原告がビットトレント使用による著作権侵害
R03.12 被告がプロバイダに発信者情報開示請求書送付
R04.04 原告がプロバイダから意見照会書受領

   --------------------

■判決内容

<争点>

1 損害論

ビットトレント使用による共同不法行為の成否について、裁判所は、原告が本件著作物に係る著作権侵害について賠償責任を負う範囲は、令和3年10月25日の3時間に発生した侵害行為による損害に限られると判断。
ダウンロード回数、販売価格、利益率から原告が本件の共同不法行為により負うべき損害の範囲は、3万7675円と認定しています(7頁以下)。

   --------------------

■コメント

ビットトレントを使用した違法配信について、共同不法行為に基づく損害の範囲が争点となった事案となります。