最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

徳冨蘆花記念文学館解説パネル編集著作物事件(控訴審)

知財高裁令和5.6.13令和4(ネ)10120著作権確認及び使用差止等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 菅野雅之
裁判官    本吉弘行
裁判官    岩井直幸

*裁判所サイト公表 2023.6.21
*キーワード:確認の利益、著作者性、職務著作、徳富蘆花

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■事案

文学館の展示物の著作者性、著作権の帰属などが争点となった事案の控訴審

控訴人(1審原告) :個人
被控訴人(1審被告):渋川市

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法15条1項

1 訴えの適法性について
2 本件解説文及び本件脚本の著作権の帰属について

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■事案の概要

『本件は、被控訴人の職員として本件文学館に勤務していた控訴人が、本件解説文及び本件脚本の著作者として著作権を有する旨を主張して、被控訴人に対し、以下の請求をした事案である。
ア 本件確認の訴え(1)
 編集著作物である本件パネルに係る被控訴人の著作権は、本件解説文又は本件図録の著作者の権利には影響を及ぼさないことの確認
イ 本件確認の訴え(2)
 本件解説文が本件図録の文章と同一であることの確認
ウ 本件確認の訴え(3)
 編集著作物である本件映像作品に係る被控訴人の著作権は、本件脚本の著作者の権利には影響しないこと及び控訴人が本件脚本の著作権を有することの確認
エ 本件確認の訴え(4)
 被控訴人は、本件パネル及び本件映像作品を継続使用するために、控訴人との間で、本件解説文及び本件脚本につき、著作権譲渡契約又は利用許諾契約を締結する必要があることの確認
オ 本件差止請求
 被控訴人による本件パネル及び本件映像作品の使用が控訴人の本件解説文及び本件脚本に係る著作権を侵害するとして、法112条1項に基づき、本件パネル及び本件映像作品の使用の差止め
カ 本件損害賠償請求
 本件パネルの使用が本件解説文に係る控訴人の著作権を侵害するとして、不法行為(民法709条、損害額につき法114条3項)に基づき、使用料相当損害金100万円の損害賠償(一部請求)』

『原判決は、本件各確認の訴えはいずれも確認の利益を欠き不適法であるとして却下し、その余の請求はいずれも理由がないとして棄却したので、控訴人がこれを不服として控訴を提起した。』
(2頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 訴えの適法性について
2 本件解説文及び本件脚本の著作権の帰属について

本件確認の訴え(1)及び(2)は、確認の利益を欠き不適法であって却下すべきであり、本件差止請求及び本件損害賠償請求は理由がないから棄却すべきところ、これと同旨の原判決は相当であるから本件控訴は理由がなく、また、当審における拡張請求に係る訴えは不適法であって却下すべきであると控訴審は判断。
結論として、本件控訴棄却、当審における拡張請求に係る訴え却下となっています。

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■コメント

基本的に控訴審でも原告が展示物の解説文などの著作者、著作権者にはあたらないとの原審の判断が維持されています。

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■原審

東京地裁令和4.11.10令和4(ワ)4676著作権確認及び使用差止め等請求事件
判決文

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■過去のブログ記事

(関連訴訟)徳冨蘆花記念文学館展示物事件
知財高裁令和3.6.29令和3(ネ)10027使用差止等請求控訴事件
記事
(原審 前橋地方裁判所平成31(ワ)215)