最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
フィジー国家防災政策策定業務委託契約事件
東京地裁令和5.1.12令和3(ワ)12669著作権侵害差止等請求事件PDF
別紙
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官 小口五大
裁判官 稲垣雄大
*裁判所サイト公表 2023.3.8
*キーワード:業務委託契約、不当利得
--------------------
■事案
政府開発援助専門家派遣業務委託契約での成果物の範囲が争点となった事案
原告:防災専門家
被告:独立行政法人
--------------------
■結論
請求棄却
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■争点
1 本件ポリシーに係る著作権の帰属
2 被告による 不当利得の有無
--------------------
■事案の概要
『本件は、原告が、被告との間で専門家業務委託契約(以下「本件委託契約」という。)を締結し、同契約に基づき、防災の専門家としてフィジー共和国(以下「フィジー」という。)に派遣された際に、同契約に基づく業務外で別紙著作物目録記載の文書(以下「本件ポリシー」という。ただし、確定稿以前の案を含めて総称することがある。)を作成し、その著作者として著作権を有するところ、被告が原告に無断で本件ポリシーの複製、譲渡、貸与等を行い、本件ポリシーに係る原告の著作権を侵害するおそれがある旨を主張して、著作権に基づき、本件ポリシーの複製、譲渡、貸与等の差止め(著作権法(以下「法」という。112条1項)及びその複製物の廃棄(同条2項)を求めると共に、本件ポリシーの作成に要する費用は3億円余に上るのに対し、本件委託契約により支払われた報酬は月額70万円余であり、原告がその差額相当額の損失を被り、被告が法律上の原因なく上記差額相当額の利益を得た旨を主張して、被告に対し、不当利得返還請求(一部請求)として、3000万円及びこれに対する令和3年9月15日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H28.05 原被告間で専門家業務委託契約締結、フィジー派遣
H29.03 フィジー共和国災害管理局が原告に本件ポリシー策定協力打診
H29.04 原告、作成チームが作成作業実施
R01.08 本件ポリシーがフィジー政府閣議承認
著作物:The Republic of Fiji National Disaster Risk Reduction Policy 2018-2030
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■判決内容
<争点>
1 本件ポリシーに係る著作権の帰属
裁判所は、業務計画書(案)の内容や本件ポリシー策定の経緯などを勘案した上で、本件ポリシー策定は、本件委託契約で定めた原告の業務の一環として行われることとなったものと理解するのが相当であると判断。本件ポリシー(ただし、原告の派遣期間満了までに作成された案)のうち、原告の創作に係る部分は、原告が本件委託契約に基づき業務上作成した成果品であると判断しています。
結論として、本件委託契約の成果品の著作権帰属条項により、被告に著作権が帰属する(最終的にはフィジーに帰属)と判断されています(7頁以下)。
なお、原告帰国後の本件ポリシー案修正部分についても、新たに創作性が付与された部分が存在することをうかがわせる具体的な事情は認められないとして、原告の主張は認められていません。
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2 被告による不当利得の有無
原告は、本件ポリシー作成の対価は3億円余に上るのに対し、本件委託契約により原告に支払われた報酬は月額70万円余であるとして、原告がその差額相当額の損失を被り、被告が法律上の原因なく上記差額相当額を利得した旨、主張しましたが、裁判所は認めていません(22頁以下)。
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■コメント
業務委託契約上の成果物の範囲が争点となった事案となります。
なお、フィジーの国家防災政策2018-2030はこちらに掲載されています。
国連防災機関 PreventionWeb
フィジー国家防災政策策定業務委託契約事件
東京地裁令和5.1.12令和3(ワ)12669著作権侵害差止等請求事件PDF
別紙
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官 小口五大
裁判官 稲垣雄大
*裁判所サイト公表 2023.3.8
*キーワード:業務委託契約、不当利得
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■事案
政府開発援助専門家派遣業務委託契約での成果物の範囲が争点となった事案
原告:防災専門家
被告:独立行政法人
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■結論
請求棄却
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■争点
1 本件ポリシーに係る著作権の帰属
2 被告による 不当利得の有無
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■事案の概要
『本件は、原告が、被告との間で専門家業務委託契約(以下「本件委託契約」という。)を締結し、同契約に基づき、防災の専門家としてフィジー共和国(以下「フィジー」という。)に派遣された際に、同契約に基づく業務外で別紙著作物目録記載の文書(以下「本件ポリシー」という。ただし、確定稿以前の案を含めて総称することがある。)を作成し、その著作者として著作権を有するところ、被告が原告に無断で本件ポリシーの複製、譲渡、貸与等を行い、本件ポリシーに係る原告の著作権を侵害するおそれがある旨を主張して、著作権に基づき、本件ポリシーの複製、譲渡、貸与等の差止め(著作権法(以下「法」という。112条1項)及びその複製物の廃棄(同条2項)を求めると共に、本件ポリシーの作成に要する費用は3億円余に上るのに対し、本件委託契約により支払われた報酬は月額70万円余であり、原告がその差額相当額の損失を被り、被告が法律上の原因なく上記差額相当額の利益を得た旨を主張して、被告に対し、不当利得返還請求(一部請求)として、3000万円及びこれに対する令和3年9月15日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H28.05 原被告間で専門家業務委託契約締結、フィジー派遣
H29.03 フィジー共和国災害管理局が原告に本件ポリシー策定協力打診
H29.04 原告、作成チームが作成作業実施
R01.08 本件ポリシーがフィジー政府閣議承認
著作物:The Republic of Fiji National Disaster Risk Reduction Policy 2018-2030
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■判決内容
<争点>
1 本件ポリシーに係る著作権の帰属
裁判所は、業務計画書(案)の内容や本件ポリシー策定の経緯などを勘案した上で、本件ポリシー策定は、本件委託契約で定めた原告の業務の一環として行われることとなったものと理解するのが相当であると判断。本件ポリシー(ただし、原告の派遣期間満了までに作成された案)のうち、原告の創作に係る部分は、原告が本件委託契約に基づき業務上作成した成果品であると判断しています。
結論として、本件委託契約の成果品の著作権帰属条項により、被告に著作権が帰属する(最終的にはフィジーに帰属)と判断されています(7頁以下)。
なお、原告帰国後の本件ポリシー案修正部分についても、新たに創作性が付与された部分が存在することをうかがわせる具体的な事情は認められないとして、原告の主張は認められていません。
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2 被告による不当利得の有無
原告は、本件ポリシー作成の対価は3億円余に上るのに対し、本件委託契約により原告に支払われた報酬は月額70万円余であるとして、原告がその差額相当額の損失を被り、被告が法律上の原因なく上記差額相当額を利得した旨、主張しましたが、裁判所は認めていません(22頁以下)。
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■コメント
業務委託契約上の成果物の範囲が争点となった事案となります。
なお、フィジーの国家防災政策2018-2030はこちらに掲載されています。
国連防災機関 PreventionWeb