最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「生命の實相」引用事件

東京地裁令和4.12.19令和4(ワ)5740著作権等に基づく差止等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 中島基至
裁判官    小田誉太郎
裁判官    古賀千尋

*裁判所サイト公表 2023.2.7
*キーワード:引用、法律上の争訟

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■事案

著作物の利用が引用にあたるかどうかが争点となった事案

原告:財団法人、出版社
被告:宗教法人元役員

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法32条、裁判所法3条

1 本件出版物に関する原告らの著作権・出版権の有無
2 司法審査の対象性
3 本件著作物に対する著作権法の適用の可否
4 引用の成否

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■事案の概要

『原告事業団は、別紙著作物目録記載の著作物(以下「本件著作物」という。)に係る著作権を有し、原告光明思想社は、本件著作物に係る出版権を有している。他方、被告は、別紙出版物目録記載の出版物(以下「本件出版物」という。)を出版した。
 本件は、原告らが、被告が本件出版物に本件著作物を掲載して発行した行為は、原告事業団の複製権及び原告光明思想社の出版権を侵害すると主張して、被告に対し、本件出版物の発行等の差止め及び謝罪広告の送付を求めるとともに、原告光明思想社が、被告に対し、民法709条及び著作権法114条3項に基づき、出版権侵害に係る損害金2万7900円及び弁護士費用50万円の合計52万7900円の支払を求める事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

R04.01 被告が本件出版物を発行

本件著作物:声字即実相の神示

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■判決内容

<争点>

1 本件出版物に関する原告らの著作権・出版権の有無

被告は、原告事業団は著作権を有していないし、原告光明思想社が出版権を有していないと反論しましたが、裁判所は認めていません(7頁以下)。

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2 司法審査の対象性

被告は、神示という宗教上の教義の位置付けが問題となっており、同一宗教団体内の教義に関わる紛争であるから、宗教団体という部分社会内部の争いとして、司法審査になじまないものであり、訴え却下とされるべきと主張しましたが、裁判所は認めていません(8頁以下)。

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3 本件著作物に対する著作権法の適用の可否

被告は、本件著作物は「生長の家」の教義の根幹である「神示」に関するものであり、宗教文化の発展や信仰の自由等を考慮すれば、当該「神示」を宗教活動のために利用しても、著作権侵害に当たらないと反論しましたが、裁判所は認めていません(9頁)。

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4 引用の成否

「声字即実相の神示」の全文の掲載が引用に該当するかどうかについて、裁判所は、結論として引用に該当すると判断しています(9頁以下)。

結論として、原告らの主張は認められていません。

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■コメント

「生命の實相」に関連する紛争となります。