最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「うたスキ」使用料分配事件
知財高裁令和4.12.22令和4(ネ)10040著作物使用料分配金等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官 小川卓逸
裁判官 遠山敦士
*裁判所サイト公表 2023.1.11
*キーワード:約款、ジャスラック、業務用通信カラオケ使用料、インタラクティブ配信使用料
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■事案
ジャスラック管理楽曲の使用料の取扱いの見直しに伴い分配請求の可否が争点となった事案
控訴人(1審原告) :ジャスラック楽曲管理委託者
被控訴人(1審被告):ジャスラック
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■結論
控訴棄却
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■争点
1 控訴人の被控訴人に対する本件管理委託契約に基づく「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配請求権の存否
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■事案の概要
『本件は、音楽著作物の著作権を有する者から委託を受けてその利用許諾等の音楽著作権の管理を行う事業者である被控訴人との間で、控訴人の著作物である楽曲(以下「本件各楽曲」という。)に係る著作権の管理を委託する旨の著作権等管理事業法所定の管理委託契約を締結した控訴人が、被控訴人が本件各楽曲の利用者から徴収した「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金(令和元年12月から令和2年6月までに分配期が到来するもの)に未払があるとして、上記管理委託契約に基づき、被控訴人に対し、合計546万6584円並びにうち214万6532円(令和元年12月分配期分)に対する同月26日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定(以下「改正前民法所定」という。)の年5分の割合による遅延損害金、うち274万8288円(令和2年3月分配期分)に対する同月26日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金及びうち57万1764円(同年6月分配期分)に対する同月26日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。』
『原判決は、控訴人の請求を棄却したため、控訴人は、これを不服として、本件控訴を提起した。』
(1頁以下)
<経緯>
H26.04 1審原被告間で楽曲管理委託契約締結
R02.07 被控訴人とエクシングが業務用通信カラオケのユーザー投稿型サービスをインタラクティブ配信としての取扱い変更で合意
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■判決内容
<争点>
1 控訴人の被控訴人に対する本件管理委託契約に基づく「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配請求権の存否
(1)「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金請求の可否
被控訴人とエクシングは、令和2年7月20日、エクシングが提供する「うたスキ」において、一般ユーザーが制作・投稿した音源(ユーザー投稿)をJOYSOUND端末に配信及び複製する方法による管理著作物の利用に対する許諾に関して、2019年(平成31年)4月1日以降の上記利用については「インタラクティブ配信」の権利関係として許諾することに合意する旨の覚書(本件覚書)を締結していたことを裁判所は認定。
また、控訴人による「うたスキ」への本件各楽曲の投稿は、ユーザー投稿に該当することも踏まえ、2022年8月24日付けのエクシング作成のメールの内容からは直ちに、被控訴人が、エクシングから本件各楽曲の「うたスキ」における2019年4月1日以降の利用について、「業務用通信カラオケ使用料」を徴収したことを認めることはできないと裁判所は判断。
この点についての控訴人の主張を認めていません(11頁以下)。
(2)分配規程59条に基づき、分配補償資金から分配を受けることの可否
控訴人は、被控訴人が誤った取扱いの変更をして、本来分配がされるべき控訴人への「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金の分配を怠ったものというべきであるから、控訴人は被控訴人に対して本来受けるべき「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金相当額を、分配規程59条に基づいて分配補償資金から分配を受けることができる旨主張しましたが、裁判所は認めていません(12頁以下)。
結論として、原審の棄却の判断を維持しています。
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■コメント
本件は、業務用通信カラオケのユーザー投稿型サービスの許諾取扱いの見直しが契機となった事案です。
エクシングの「うたスキ」サービスは、2006年11月から開始されており、2014年9月8日のプレスリリースをみると、「うたスキ」の機能(SNS連携など)がよくわかります。なお、2022年3月28日のプレスリリースでは、システム改修でサービスの一部終了がアナウンスされています。
「歌う楽しさを広げる、カラオケ・ソーシャルメディア「うたスキ」会員数1,000万人を突破!」(2014.09.08)
プレスリリース
「うたスキ」使用料分配事件
知財高裁令和4.12.22令和4(ネ)10040著作物使用料分配金等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官 小川卓逸
裁判官 遠山敦士
*裁判所サイト公表 2023.1.11
*キーワード:約款、ジャスラック、業務用通信カラオケ使用料、インタラクティブ配信使用料
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■事案
ジャスラック管理楽曲の使用料の取扱いの見直しに伴い分配請求の可否が争点となった事案
控訴人(1審原告) :ジャスラック楽曲管理委託者
被控訴人(1審被告):ジャスラック
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■結論
控訴棄却
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■争点
1 控訴人の被控訴人に対する本件管理委託契約に基づく「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配請求権の存否
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■事案の概要
『本件は、音楽著作物の著作権を有する者から委託を受けてその利用許諾等の音楽著作権の管理を行う事業者である被控訴人との間で、控訴人の著作物である楽曲(以下「本件各楽曲」という。)に係る著作権の管理を委託する旨の著作権等管理事業法所定の管理委託契約を締結した控訴人が、被控訴人が本件各楽曲の利用者から徴収した「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金(令和元年12月から令和2年6月までに分配期が到来するもの)に未払があるとして、上記管理委託契約に基づき、被控訴人に対し、合計546万6584円並びにうち214万6532円(令和元年12月分配期分)に対する同月26日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定(以下「改正前民法所定」という。)の年5分の割合による遅延損害金、うち274万8288円(令和2年3月分配期分)に対する同月26日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金及びうち57万1764円(同年6月分配期分)に対する同月26日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。』
『原判決は、控訴人の請求を棄却したため、控訴人は、これを不服として、本件控訴を提起した。』
(1頁以下)
<経緯>
H26.04 1審原被告間で楽曲管理委託契約締結
R02.07 被控訴人とエクシングが業務用通信カラオケのユーザー投稿型サービスをインタラクティブ配信としての取扱い変更で合意
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■判決内容
<争点>
1 控訴人の被控訴人に対する本件管理委託契約に基づく「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配請求権の存否
(1)「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金請求の可否
被控訴人とエクシングは、令和2年7月20日、エクシングが提供する「うたスキ」において、一般ユーザーが制作・投稿した音源(ユーザー投稿)をJOYSOUND端末に配信及び複製する方法による管理著作物の利用に対する許諾に関して、2019年(平成31年)4月1日以降の上記利用については「インタラクティブ配信」の権利関係として許諾することに合意する旨の覚書(本件覚書)を締結していたことを裁判所は認定。
また、控訴人による「うたスキ」への本件各楽曲の投稿は、ユーザー投稿に該当することも踏まえ、2022年8月24日付けのエクシング作成のメールの内容からは直ちに、被控訴人が、エクシングから本件各楽曲の「うたスキ」における2019年4月1日以降の利用について、「業務用通信カラオケ使用料」を徴収したことを認めることはできないと裁判所は判断。
この点についての控訴人の主張を認めていません(11頁以下)。
(2)分配規程59条に基づき、分配補償資金から分配を受けることの可否
控訴人は、被控訴人が誤った取扱いの変更をして、本来分配がされるべき控訴人への「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金の分配を怠ったものというべきであるから、控訴人は被控訴人に対して本来受けるべき「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金相当額を、分配規程59条に基づいて分配補償資金から分配を受けることができる旨主張しましたが、裁判所は認めていません(12頁以下)。
結論として、原審の棄却の判断を維持しています。
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■コメント
本件は、業務用通信カラオケのユーザー投稿型サービスの許諾取扱いの見直しが契機となった事案です。
エクシングの「うたスキ」サービスは、2006年11月から開始されており、2014年9月8日のプレスリリースをみると、「うたスキ」の機能(SNS連携など)がよくわかります。なお、2022年3月28日のプレスリリースでは、システム改修でサービスの一部終了がアナウンスされています。
「歌う楽しさを広げる、カラオケ・ソーシャルメディア「うたスキ」会員数1,000万人を突破!」(2014.09.08)
プレスリリース