最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
クスクス料理パンフレット画像事件
東京地裁令和4.10.31令和4(ワ)967損害賠償請求事件PDF
別紙
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 佐伯良子
裁判官 仲田憲史
*裁判所サイト公表 2022.12.12
*キーワード:パンフレット、写真、同意、改変、氏名表示、付随対象著作物
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■事案
クスクス料理の宣伝広告用パンフレットの使用同意の有無などが争点となった事案
原告:個人
被告:飲食店経営者
--------------------
■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法21条、23条、19条、20条、114条3項、30条の2
1 原告が被告との間で調理器具及び食材の代金を被告のために原告が立て替えて支払うとの合意をし、同代金を立替払したか
2 著作権侵害論、損害論
--------------------
■事案の概要
『本件は,原告が被告に対し、
(1)原告は、被告に頼まれて調理器具、食材を購入し、その代金を立て替えたと主張して、立替払契約に基づき、立替金5万8708円及びこれに対する請求より後の日である令和4年12月14日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、
(2)被告は、(ア)原告の著作物であるパンフレットの画像を被告のウェブサイトに掲載して表示し、原告の著作権(公衆送信権)を侵害したと主張して、不法行為による損害賠償請求権に基づき、57万円及びこれに対する不法行為より後の日である上記日から支払済みまで上記同様の遅延損害金の支払を求め、(イ)原告の著作物であるパンフレットの画像又はパンフレットを改変した画像を、原告の氏名を表示せずに、画像等投稿サイトに投稿して、原告の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権)を侵害したと主張して、不法行為による損害賠償請求権に基づき81万0348円及びこれに対する不法行為より後の日である上記日から支払済みまで上記同様の遅延損害金の支払を求め』た事案
(3)乃至(8) 略
(1頁以下)
<経緯>
R01 原告が被告に店舗間借りの申し入れ
原告がパンフレット作成、被告店舗、インスタグラム等に掲出
原告が料理を提供
R03 本訴提起
本件画像1:セピア色に変更されたパンフレット画像
本件画像2:宣伝文句が付されたパンフレット画像
本件画像3:被告店舗外観画像
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■判決内容
<争点>
1 原告が被告との間で調理器具及び食材の代金を被告のために原告が立て替えて支払うとの合意をし、同代金を立替払したか
裁判所は、原被告間における合意の存在を認定していません(15頁以下)。
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2 著作権侵害論、損害論
(1)本件画像1
(a)侵害論
被告が管理するインスタグラムのアカウントで本件画像1を投稿した点について、裁判所は、原告パンフレットの著作物性を前提に、被告が大きな改変をした画像を使用することについて、黙示的なものも含めて原告が許諾したとは認められないと判断。
本件画像1を少なくとも過失によりインスタグラムに投稿しているとして、原告の公衆送信権、同一性保持権を侵害したものと認めています。
なお、インスタグラムに投稿された文章の中に、原告パンフレットで記載されていたのと同じ原告の氏名が記載されていないからといって、本件画像1が原告の氏名が表示されないで公衆に提示されたとはいえず、被告が原告の原告パンフレットについての氏名表示権を侵害したとは認められていません(17頁以下)。
(b)損害論
使用料相当額損害3000円(114条3項)
同一性保持権侵害慰謝料3万円
小計3万3000円
(2)本件画像2
原告パンフレットは原告の著作物であると認められるところ、被告が被告ウェブサイトに原告パンフレットを使用した本件画像2を表示したことには原告の承諾があり、原告の著作権(公衆送信権)を侵害したとは認められないと裁判所は判断しています(16頁以下)。
(3)本件画像3
裁判所は、本件画像3については原告パンフレットにおける創作的な表現部分が再製されているとはいえないと判断。被告が、本件画像3をインスタグラムに投稿したことについて、原告パンフレットについての原告の公衆送信権を侵害したものであるとはいえず、また、著作物としての原告パンフレットが公衆へ提示(19条1項)されたとも認められないと判断してます(18頁以下)。
なお、仮に本件画像3において、不鮮明ながらもその写真の大まかな構図が判明するなどとして原告パンフレットの創作的な表現が再製されていて、その本質的特徴が感得できるとしても、付随対象著作物として、正当な範囲内で用いられたものとして、原告の公衆送信権を侵害したいものとはいえないと説示しています(30条の2)。
*その他の争点については、略。
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■コメント
画像3がどのような画像であったかが添付資料からわかりますが、店舗入口の左下にポスターとして原告パンフレットが掲出されていたようです。
原告パンフレットの画像が添付されておらず、詳しい対比ができませんが、再現性という点からしますと、写真素材集無断イラストトレース事件を思い出します。
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■過去のブログ記事
写真素材集無断イラストトレース事件
東京地裁平成30.3.29平成29(ワ)672等損害賠償請求事件
記事
クスクス料理パンフレット画像事件
東京地裁令和4.10.31令和4(ワ)967損害賠償請求事件PDF
別紙
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 佐伯良子
裁判官 仲田憲史
*裁判所サイト公表 2022.12.12
*キーワード:パンフレット、写真、同意、改変、氏名表示、付随対象著作物
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■事案
クスクス料理の宣伝広告用パンフレットの使用同意の有無などが争点となった事案
原告:個人
被告:飲食店経営者
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法21条、23条、19条、20条、114条3項、30条の2
1 原告が被告との間で調理器具及び食材の代金を被告のために原告が立て替えて支払うとの合意をし、同代金を立替払したか
2 著作権侵害論、損害論
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■事案の概要
『本件は,原告が被告に対し、
(1)原告は、被告に頼まれて調理器具、食材を購入し、その代金を立て替えたと主張して、立替払契約に基づき、立替金5万8708円及びこれに対する請求より後の日である令和4年12月14日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、
(2)被告は、(ア)原告の著作物であるパンフレットの画像を被告のウェブサイトに掲載して表示し、原告の著作権(公衆送信権)を侵害したと主張して、不法行為による損害賠償請求権に基づき、57万円及びこれに対する不法行為より後の日である上記日から支払済みまで上記同様の遅延損害金の支払を求め、(イ)原告の著作物であるパンフレットの画像又はパンフレットを改変した画像を、原告の氏名を表示せずに、画像等投稿サイトに投稿して、原告の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権)を侵害したと主張して、不法行為による損害賠償請求権に基づき81万0348円及びこれに対する不法行為より後の日である上記日から支払済みまで上記同様の遅延損害金の支払を求め』た事案
(3)乃至(8) 略
(1頁以下)
<経緯>
R01 原告が被告に店舗間借りの申し入れ
原告がパンフレット作成、被告店舗、インスタグラム等に掲出
原告が料理を提供
R03 本訴提起
本件画像1:セピア色に変更されたパンフレット画像
本件画像2:宣伝文句が付されたパンフレット画像
本件画像3:被告店舗外観画像
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■判決内容
<争点>
1 原告が被告との間で調理器具及び食材の代金を被告のために原告が立て替えて支払うとの合意をし、同代金を立替払したか
裁判所は、原被告間における合意の存在を認定していません(15頁以下)。
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2 著作権侵害論、損害論
(1)本件画像1
(a)侵害論
被告が管理するインスタグラムのアカウントで本件画像1を投稿した点について、裁判所は、原告パンフレットの著作物性を前提に、被告が大きな改変をした画像を使用することについて、黙示的なものも含めて原告が許諾したとは認められないと判断。
本件画像1を少なくとも過失によりインスタグラムに投稿しているとして、原告の公衆送信権、同一性保持権を侵害したものと認めています。
なお、インスタグラムに投稿された文章の中に、原告パンフレットで記載されていたのと同じ原告の氏名が記載されていないからといって、本件画像1が原告の氏名が表示されないで公衆に提示されたとはいえず、被告が原告の原告パンフレットについての氏名表示権を侵害したとは認められていません(17頁以下)。
(b)損害論
使用料相当額損害3000円(114条3項)
同一性保持権侵害慰謝料3万円
小計3万3000円
(2)本件画像2
原告パンフレットは原告の著作物であると認められるところ、被告が被告ウェブサイトに原告パンフレットを使用した本件画像2を表示したことには原告の承諾があり、原告の著作権(公衆送信権)を侵害したとは認められないと裁判所は判断しています(16頁以下)。
(3)本件画像3
裁判所は、本件画像3については原告パンフレットにおける創作的な表現部分が再製されているとはいえないと判断。被告が、本件画像3をインスタグラムに投稿したことについて、原告パンフレットについての原告の公衆送信権を侵害したものであるとはいえず、また、著作物としての原告パンフレットが公衆へ提示(19条1項)されたとも認められないと判断してます(18頁以下)。
なお、仮に本件画像3において、不鮮明ながらもその写真の大まかな構図が判明するなどとして原告パンフレットの創作的な表現が再製されていて、その本質的特徴が感得できるとしても、付随対象著作物として、正当な範囲内で用いられたものとして、原告の公衆送信権を侵害したいものとはいえないと説示しています(30条の2)。
*その他の争点については、略。
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■コメント
画像3がどのような画像であったかが添付資料からわかりますが、店舗入口の左下にポスターとして原告パンフレットが掲出されていたようです。
原告パンフレットの画像が添付されておらず、詳しい対比ができませんが、再現性という点からしますと、写真素材集無断イラストトレース事件を思い出します。
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■過去のブログ記事
写真素材集無断イラストトレース事件
東京地裁平成30.3.29平成29(ワ)672等損害賠償請求事件
記事