最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

1万円札画像CCライセンス違反使用事件

東京地裁令和4.5.19令和3(ワ)18876著作権侵害差止等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官    仲田憲史
裁判官    棚井 啓

*裁判所サイト公表 2022.12.8
*キーワード:写真、CCライセンス

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■事案

1万円札と千円札を撮影した写真のCCライセンス違反使用の事案

原告:個人(スウェーデン国籍)
被告:人材派遣会社

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法21条、23条、19条、20条、114条3項、112条1項

1 被告が被告写真の掲載に当たり著作権者から許諾を得ていたか
2 損害論
3 差止めの必要性

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■事案の概要

『本件は、原告が、被告に対し、原告が撮影した写真を写真共有サイトに投稿し、被告がその写真を加工等して被告の運営するウェブサイトに掲載したことについて、原告の複製権及び公衆送信権の侵害に当たると主張して著作権法112条1項に基づく差止めを求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償として、複製権及び公衆送信権侵害によるライセンス料相当額、氏名表示権侵害及び同一性保持権侵害による慰謝料、弁護士費用並びに不法行為の日以降の日である平成30年2月8日から支払済みまでの平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求する事案である。』
(2頁)

<経緯>

H26.12 原告が写真撮影、Flickrに投稿
H30.02 被告が運営するサイトに写真を掲載
H30.10 サイトから表示を消去

原告写真:「Japanese 10000 and 1000 Yen Bills 一万円札千円札」
CCライセンス:表示−継承

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■判決内容

<争点>

1 被告が被告写真の掲載に当たり著作権者から許諾を得ていたか

被告は、正当な権利者から許諾されたフリー素材であることを確認して被告サイトに掲載したなどと反論しましたが、裁判所は認めていません。
また、裁判所は、原告は原告写真の掲載についてCCライセンスを付していたところ、被告はその許諾条件を満たしておらず、被告が被告ウェブサイトに被告写真を掲載することについてCCライセンスに基づき許諾を得ていたと認めることもできないと判断しています(6頁以下)。

結論として、被告が原告写真を複製し、それを公衆送信することについて許諾を得ていたとは認められていません。

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2 損害論

・使用料相当額損害 4万円
・氏名表示権、同一性保持権侵害に基づく慰謝料 1万円
・弁護士費用相当額損害 1万円

合計6万円(7頁以下)

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3 差止めの必要性

裁判所は、被告に対して原告写真の複製、公衆送信の差止めを命じる必要性はないと判断しています(9頁以下)。

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■コメント

判決文の末尾に原告写真の画像が掲載されていますので、どのような写真だったかが分かります。
なお、写真の著作物性は争点になっていません。