最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ワインボトル画像無断使用事件
東京地裁令和4.6.7令和3(ワ)10569著作権侵害差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 佐伯良子
裁判官 仲田憲史
*裁判所サイト公表 2022.12.7
*キーワード:写真、著作物性
--------------------
■事案
ワインボトルを撮影した写真の著作物性などが争点となった事案
原告:個人(アメリカ国籍)
被告:美術情報サイト運営会社
--------------------
■結論
請求一部認容
--------------------
■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、23条、19条、114条3項、112条1項
1 原告写真の著作物性
2 本件記録が送信可能化に当たるといえるか
3 原告が原告写真の複製、公衆送信に同意していたか
4 差止めの必要性
5 損害論
--------------------
■事案の概要
『本件は、原告が、原告が撮影した写真を被告が被告の運営するウェブサイトに掲載したことについて、原告の複製権及び公衆送信権の侵害に当たるとして著作権法112条1項に基づく差止めを求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償として、複製権及び公衆送信権侵害によるライセンス料相当額、氏名表示権侵害による慰謝料及び弁護士費用並びに不法行為の日以降の日である、平成30年5月18日から支払済みまでの平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求する事案である。』
(2頁)
<経緯>
H30.02 原告がflickrに掲載
H30.05 被告サイトに写真掲載(480×640ピクセル)
R03.05 被告が削除
原告写真:「トロケにて1982年シャトー・ムートン・ロスチャイルド
(1982 Chateau Mouton Rothschild at Troquet)」
--------------------
■判決内容
<争点>
1 原告写真の著作物性
原告写真の著作物性(著作権法2条1項1号)が肯定されています(7頁)。
--------------------
2 本件記録が送信可能化に当たるといえるか
被告は、noindex設定することで直接URLを知っている人しか閲覧できない状態にあり、被告が被告写真を公衆送信したとはいえず、著作権の侵害に当たらないと反論しましたが、裁判所は認めていません(7頁以下)。
--------------------
3 原告が原告写真の複製、公衆送信に同意していたか
原告は写真投稿サイトflickrに「All rights reserved」の文言を付して投稿をしていましたが、裁判所は、原告がflickrに掲載したことをもって、原告が被告による複製及び公衆送信を許諾していたと認めることはできないと判断しています(8頁)。
--------------------
4 差止めの必要性
被告に対する原告写真の複製及び公衆送信の差止めの必要性は否定されています(8頁以下)。
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5 損害論
・ライセンス料相当損害6万円(114条3項)
・氏名表示権侵害に基づく慰謝料3万円
・弁護士費用相当額損害1万円
合計10万円(9頁以下)
--------------------
■コメント
ワイン画像が判決文末尾に掲載されていますので、どのような写真であったかがよくわかります。
写真の著作物性についての最近の裁判所の判断としては、スマホ自撮り写真やブツ撮り写真も含めて著作物性を肯定しています(例外は、一竹辻が花美術館グッズ事件くらいです。弊事務所サイト「写真の著作権」)。
被告は美術関連の情報サイトを運営していて、株主も美術に精通している企業が参加しています。
そうした会社が写真の著作物性を全否定するような主張(4頁参照)を訴訟の場とはいえ、するというのは、美術、芸術文化振興を社会的使命として標榜する自社の存在意義自体を否定するような振る舞いとなり、極めて残念です(被告は本人訴訟)。
ワインボトル画像無断使用事件
東京地裁令和4.6.7令和3(ワ)10569著作権侵害差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 佐伯良子
裁判官 仲田憲史
*裁判所サイト公表 2022.12.7
*キーワード:写真、著作物性
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■事案
ワインボトルを撮影した写真の著作物性などが争点となった事案
原告:個人(アメリカ国籍)
被告:美術情報サイト運営会社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、23条、19条、114条3項、112条1項
1 原告写真の著作物性
2 本件記録が送信可能化に当たるといえるか
3 原告が原告写真の複製、公衆送信に同意していたか
4 差止めの必要性
5 損害論
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■事案の概要
『本件は、原告が、原告が撮影した写真を被告が被告の運営するウェブサイトに掲載したことについて、原告の複製権及び公衆送信権の侵害に当たるとして著作権法112条1項に基づく差止めを求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償として、複製権及び公衆送信権侵害によるライセンス料相当額、氏名表示権侵害による慰謝料及び弁護士費用並びに不法行為の日以降の日である、平成30年5月18日から支払済みまでの平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求する事案である。』
(2頁)
<経緯>
H30.02 原告がflickrに掲載
H30.05 被告サイトに写真掲載(480×640ピクセル)
R03.05 被告が削除
原告写真:「トロケにて1982年シャトー・ムートン・ロスチャイルド
(1982 Chateau Mouton Rothschild at Troquet)」
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■判決内容
<争点>
1 原告写真の著作物性
原告写真の著作物性(著作権法2条1項1号)が肯定されています(7頁)。
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2 本件記録が送信可能化に当たるといえるか
被告は、noindex設定することで直接URLを知っている人しか閲覧できない状態にあり、被告が被告写真を公衆送信したとはいえず、著作権の侵害に当たらないと反論しましたが、裁判所は認めていません(7頁以下)。
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3 原告が原告写真の複製、公衆送信に同意していたか
原告は写真投稿サイトflickrに「All rights reserved」の文言を付して投稿をしていましたが、裁判所は、原告がflickrに掲載したことをもって、原告が被告による複製及び公衆送信を許諾していたと認めることはできないと判断しています(8頁)。
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4 差止めの必要性
被告に対する原告写真の複製及び公衆送信の差止めの必要性は否定されています(8頁以下)。
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5 損害論
・ライセンス料相当損害6万円(114条3項)
・氏名表示権侵害に基づく慰謝料3万円
・弁護士費用相当額損害1万円
合計10万円(9頁以下)
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■コメント
ワイン画像が判決文末尾に掲載されていますので、どのような写真であったかがよくわかります。
写真の著作物性についての最近の裁判所の判断としては、スマホ自撮り写真やブツ撮り写真も含めて著作物性を肯定しています(例外は、一竹辻が花美術館グッズ事件くらいです。弊事務所サイト「写真の著作権」)。
被告は美術関連の情報サイトを運営していて、株主も美術に精通している企業が参加しています。
そうした会社が写真の著作物性を全否定するような主張(4頁参照)を訴訟の場とはいえ、するというのは、美術、芸術文化振興を社会的使命として標榜する自社の存在意義自体を否定するような振る舞いとなり、極めて残念です(被告は本人訴訟)。