最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

夜景写真発信者情報開示請求事件(対ヤフー等)

東京地裁令和4.7.7令和3(ワ)21717発信者情報開示請求事件PDF
別紙1

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官    小口五大
裁判官    稲垣雄大

*裁判所サイト公表 2022.12.5
*キーワード:夜景写真、引用、権利濫用

   --------------------

■事案

夜景写真家岩崎拓哉さんの発信者情報開示請求事案(対ヤフー、LINE、エキサイト)

原告:写真家
被告:プロバイダ

   --------------------

■結論

請求認容

   --------------------

■争点

条文 著作権法32条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 著作権(複製権、公衆送信権)侵害の有無
2 引用の抗弁の成否
3 権利侵害の明白性、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無

   --------------------

■事案の概要

『本件は,原告が,氏名不詳者らによりウェブページに投稿された別紙2「侵害情報目録」記載の各画像(以下、同別紙の「画像URL」欄及び「画像」欄各記載のとおり、「本件画像1」などといい、これらを併せて「本件各画像」という。)は、原告が著作権を有する別紙3「原告写真著作物目録」記載の各写真(以下、同別紙記載の番号順に「原告写真1」などといい、これらを併せて「原告各写真」という。)を無断で複製したものであり、氏名不詳者らによる本件各画像の投稿は、原告の原告各写真に係る著作権(複製権、公衆送信権を侵害するものであることが明らかであると主張して,上記各投稿のされた各ウェブページを運営する被告らに対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,別紙1「発信者情報目録」記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。の開示を求める事案である。』
(2頁)

   --------------------

■判決内容

<争点>

1 著作権(複製権、公衆送信権)侵害の有無

プロバイダ各社との関係で原告写真の著作権(複製権、公衆送信権)侵害性が肯定されています(17頁以下)。

   --------------------

2 引用の抗弁の成否

裁判所は、プロバイダ各社の引用の抗弁を認めていません(17頁以下)。

   --------------------

3 権利侵害の明白性、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無

裁判所は、権利侵害の明白性、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由(プロバイダ責任制限法4条1項)を肯定しています。
なお、エキサイトは権利濫用の抗弁を主張しましたが、裁判所は認めていません(29頁以下)。

   --------------------

■コメント

岩崎さんから判決文をいただいていて、裁判所サイトで公開された判決文では省略されている別紙掲載の岩崎さんの写真がどのようなものであったかがわかります。
岩崎さんからは、「引用の出所表記の必要性の有無について激しく争いました。」といったコメントをいただいていました。