最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
新聞記事無断クリッピング事件(日経新聞社)
東京地裁令和4.11.30令和2(ワ)12348損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官 小口五大
裁判官 稲垣雄大
*裁判所サイト公表 2022.12.5
*キーワード:時事の報道、新聞記事、クリッピング、イントラネット、損害論
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■事案
新聞記事を無断でクリッピングして社内イントラネットで利用した事案
原告:新聞社
被告:鉄道会社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、10条2項、21条、23条、114条3項
1 平成30年3月以前に被告イントラネットに掲載された記事の件数等
2 本件各記事の著作物性 等
3 被告による著作権(複製権 及び公衆送信権)侵害
4 損害論
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■事案の概要
『本件は、原告が著作権を有する別紙一覧表記載の新聞記事(以下「本件各記事」という。につき、被告が、これらの画像データを作成して記録媒体に保存した上、当該画像データを被告社内のイントラネット(以下「被告イントラネット」という。)上にアップロードして被告従業員等が閲覧できる状態に置いたことは、原告の本件各記事に係る 著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害する旨を主張して、原告が、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求民法709条。損害額につき、著作権法(以下「法」という。)114条3項)として、その使用料相当損害金の一部及び弁護士費用相当損害額の合計4414万6971円の賠償並びにこれに対する不法行為後の日である平成31年4月17日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「平成29年改正前の民法」という。)所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(2頁)
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■判決内容
<争点>
1 平成30年3月以前に被告イントラネットに掲載された記事の件数等
記事合計829本の画像データが作成されて記録媒体へ保存し、イントラネットへアップロードした上で被告従業員等が閲覧できる状態に置かれたことが認定されています(11頁以下)。
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2 本件各記事の著作物性 等
裁判所は、本件各記事はいずれも著作物性があり、事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道(著作権法10条2項)には該当しないと判断しています(13頁以下)。
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3 被告による著作権(複製権 及び公衆送信権)侵害
裁判所は、被告の行為が原告の本件各記事に係る著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害するものであると判断しています(14頁以下)。
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4 損害論
裁判所は、被告による侵害態様等を総合的に勘案して、原告が本件各記事に係る著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額(114条3項)は、それぞれの記事の掲載の時期及び期間にかかわらず、記事1件当たり5000円とするのが相当と判断しています(15頁以下)。
829件×5000円=414万5000円
そのほか、弁護士費用相当額損害として45万円が認定されています。
合計 459万5000円
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■コメント
つくばエクスプレス運営会社が14年間に亘り、日本経済新聞に掲載された800本余りの記事を無許諾で画像データ化し、全従業員が閲覧できる社内イントラネットに掲載した事案です。
中日新聞社が提訴した事案に続く日経新聞社による提訴の事案となります。
ちなみに、中日新聞事案では記事1本あたり3000円の損害額の認定でしたが、日経新聞事案では1本5000円の損害額の算定となっています。
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■過去のブログ記事
新聞記事無断クリッピング事件(中日新聞社)
東京地裁令和4.10.6令和2(ワ)3931損害賠償請求事件
記事
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■参考サイト
「つくばエクスプレス側に賠償命令 本社記事を無断使用」(2022年11月30日 18:30)
日経新聞記事
新聞記事無断クリッピング事件(日経新聞社)
東京地裁令和4.11.30令和2(ワ)12348損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官 小口五大
裁判官 稲垣雄大
*裁判所サイト公表 2022.12.5
*キーワード:時事の報道、新聞記事、クリッピング、イントラネット、損害論
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■事案
新聞記事を無断でクリッピングして社内イントラネットで利用した事案
原告:新聞社
被告:鉄道会社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、10条2項、21条、23条、114条3項
1 平成30年3月以前に被告イントラネットに掲載された記事の件数等
2 本件各記事の著作物性 等
3 被告による著作権(複製権 及び公衆送信権)侵害
4 損害論
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■事案の概要
『本件は、原告が著作権を有する別紙一覧表記載の新聞記事(以下「本件各記事」という。につき、被告が、これらの画像データを作成して記録媒体に保存した上、当該画像データを被告社内のイントラネット(以下「被告イントラネット」という。)上にアップロードして被告従業員等が閲覧できる状態に置いたことは、原告の本件各記事に係る 著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害する旨を主張して、原告が、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求民法709条。損害額につき、著作権法(以下「法」という。)114条3項)として、その使用料相当損害金の一部及び弁護士費用相当損害額の合計4414万6971円の賠償並びにこれに対する不法行為後の日である平成31年4月17日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「平成29年改正前の民法」という。)所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(2頁)
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■判決内容
<争点>
1 平成30年3月以前に被告イントラネットに掲載された記事の件数等
記事合計829本の画像データが作成されて記録媒体へ保存し、イントラネットへアップロードした上で被告従業員等が閲覧できる状態に置かれたことが認定されています(11頁以下)。
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2 本件各記事の著作物性 等
裁判所は、本件各記事はいずれも著作物性があり、事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道(著作権法10条2項)には該当しないと判断しています(13頁以下)。
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3 被告による著作権(複製権 及び公衆送信権)侵害
裁判所は、被告の行為が原告の本件各記事に係る著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害するものであると判断しています(14頁以下)。
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4 損害論
裁判所は、被告による侵害態様等を総合的に勘案して、原告が本件各記事に係る著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額(114条3項)は、それぞれの記事の掲載の時期及び期間にかかわらず、記事1件当たり5000円とするのが相当と判断しています(15頁以下)。
829件×5000円=414万5000円
そのほか、弁護士費用相当額損害として45万円が認定されています。
合計 459万5000円
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■コメント
つくばエクスプレス運営会社が14年間に亘り、日本経済新聞に掲載された800本余りの記事を無許諾で画像データ化し、全従業員が閲覧できる社内イントラネットに掲載した事案です。
中日新聞社が提訴した事案に続く日経新聞社による提訴の事案となります。
ちなみに、中日新聞事案では記事1本あたり3000円の損害額の認定でしたが、日経新聞事案では1本5000円の損害額の算定となっています。
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■過去のブログ記事
新聞記事無断クリッピング事件(中日新聞社)
東京地裁令和4.10.6令和2(ワ)3931損害賠償請求事件
記事
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■参考サイト
「つくばエクスプレス側に賠償命令 本社記事を無断使用」(2022年11月30日 18:30)
日経新聞記事