最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
生長の家著作物無断複製事件
東京地裁令和4.11.8令和4(ワ)2229損害賠償等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官 小川 暁
裁判官 バヒスバラン薫
*裁判所サイト公表 2022.11.11
*キーワード:名誉棄損、複製、私的使用
--------------------
■事案
無断複製して知人へ配布した行為が私的使用目的の複製にあたるかどうかが争点となった事案
原告:公益財団法人
被告:宗教法人退職者
--------------------
■結論
請求一部認容
--------------------
■争点
条文 著作権法21条、30条1項、114条3項
1 本件表現ア及びイにつき名誉毀損又は侮辱が成立するか(略)
2 真実性の抗弁の成否(略)
3 本件印刷物の配布が原告の業務を妨害するといえるか(略)
4 被告による本件著作物の複製が「私的使用のための複製」(30条1項)といえるか
5 名誉毀損、侮辱又は業務妨害による損害の有無及び損害額(略)
6 複製権侵害による損害の有無及び損害額
7 謝罪広告の必要性(略)
--------------------
■事案の概要
『本件は、原告が、被告に対し、(1)被告が、自ら執筆した記事を広報誌「B」に掲載し、これを不特定多数人に配布したことが、原告に対する名誉毀損、名誉感情の侵害又は業務妨害に当たると主張して、民法709条に基づき、その被った損害の賠償を請求するとともに、名誉毀損に関し、民法723条に基づき、謝罪広告の掲載を求め、(2)被告が、原告が著作権を有する別紙著作物目録記載の著作物(以下「本件著作物」という。)を複製し、本件著作物に係る原告の複製権を侵害したと主張して、民法709条に基づき、その被った損害の賠償を請求する事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
S05 生長の家創設
S21.01 原告財団法人設立
S27.05 生長の家宗教法人化
S43 被告が宗教法人勤務
R03.12 本件印刷物を被告が発行
被告が本件著作物を7部複製、知人に配布
*本件著作物の著作権をめぐる紛争
東京地方裁判所平成23年3月4日平成21(ワ)17073著作権侵害差止等請求事件
知財高裁平成24年1月31日平成23(ネ)10028損害賠償等、著作権侵害差止等、出版権確認等請求控訴事件
最高裁平成25年5月27日平成24(オ)830、平成24(受)1006
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■判決内容
<争点>
1 本件表現ア及びイにつき名誉毀損又は侮辱が成立するか(略)
2 真実性の抗弁の成否(略)
3 本件印刷物の配布が原告の業務を妨害するといえるか(略)
5 名誉毀損、侮辱又は業務妨害による損害の有無及び損害額(略)
7 謝罪広告の必要性(略)
上記争点について、省略。
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4 被告による本件著作物の複製が「私的使用のための複製」(30条1項)といえるか
被告は、令和3年12月21日頃、原告が著作権者である本件著作物を7部複製し、被告の古くからの知人であり、広報誌「B」を10部以上購読申込みしている者に対して、同複製物を本件印刷物と同封して送付していました。
被告は、複製が私的使用目的の複製(30条1項)にあたると反論しましたが、裁判所は、
『被告が本件著作物の複製物を配布した7名は、被告の古くからの友人であるものの、本件全証拠によっても、被告とこれら7名との間に、家庭に準じる程度の親密かつ閉鎖的な関係があったとは認められないから、著作物の使用範囲が「その他これに準ずる限られた範囲内」であるということはできない。』
と判断。
30条1項の適用を否定し、被告の反論を認めていません(16頁以下)。
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6 複製権侵害による損害の有無及び損害額
1部1000円×7部=7000円(18頁以下)
そのほか、弁護士費用相当額損害として1万円が認定されています。
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■コメント
生長の家に関連する訴訟で名誉棄損の成否が争点の中心となっている事案となります。
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■過去のブログ記事
関連訴訟:「生命の實相」書籍著作権事件
生長の家創始者谷口雅春氏(故人)の著作「生命の實相」に関する著作権の帰属や出版契約等を巡って争われた事案
知財高裁平成24.1.31平成23(ネ)10028損害賠償等、著作権侵害差止等、出版権確認等請求控訴事件
控訴審記事
生長の家著作物無断複製事件
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東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官 小川 暁
裁判官 バヒスバラン薫
*裁判所サイト公表 2022.11.11
*キーワード:名誉棄損、複製、私的使用
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■事案
無断複製して知人へ配布した行為が私的使用目的の複製にあたるかどうかが争点となった事案
原告:公益財団法人
被告:宗教法人退職者
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法21条、30条1項、114条3項
1 本件表現ア及びイにつき名誉毀損又は侮辱が成立するか(略)
2 真実性の抗弁の成否(略)
3 本件印刷物の配布が原告の業務を妨害するといえるか(略)
4 被告による本件著作物の複製が「私的使用のための複製」(30条1項)といえるか
5 名誉毀損、侮辱又は業務妨害による損害の有無及び損害額(略)
6 複製権侵害による損害の有無及び損害額
7 謝罪広告の必要性(略)
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■事案の概要
『本件は、原告が、被告に対し、(1)被告が、自ら執筆した記事を広報誌「B」に掲載し、これを不特定多数人に配布したことが、原告に対する名誉毀損、名誉感情の侵害又は業務妨害に当たると主張して、民法709条に基づき、その被った損害の賠償を請求するとともに、名誉毀損に関し、民法723条に基づき、謝罪広告の掲載を求め、(2)被告が、原告が著作権を有する別紙著作物目録記載の著作物(以下「本件著作物」という。)を複製し、本件著作物に係る原告の複製権を侵害したと主張して、民法709条に基づき、その被った損害の賠償を請求する事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
S05 生長の家創設
S21.01 原告財団法人設立
S27.05 生長の家宗教法人化
S43 被告が宗教法人勤務
R03.12 本件印刷物を被告が発行
被告が本件著作物を7部複製、知人に配布
*本件著作物の著作権をめぐる紛争
東京地方裁判所平成23年3月4日平成21(ワ)17073著作権侵害差止等請求事件
知財高裁平成24年1月31日平成23(ネ)10028損害賠償等、著作権侵害差止等、出版権確認等請求控訴事件
最高裁平成25年5月27日平成24(オ)830、平成24(受)1006
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■判決内容
<争点>
1 本件表現ア及びイにつき名誉毀損又は侮辱が成立するか(略)
2 真実性の抗弁の成否(略)
3 本件印刷物の配布が原告の業務を妨害するといえるか(略)
5 名誉毀損、侮辱又は業務妨害による損害の有無及び損害額(略)
7 謝罪広告の必要性(略)
上記争点について、省略。
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4 被告による本件著作物の複製が「私的使用のための複製」(30条1項)といえるか
被告は、令和3年12月21日頃、原告が著作権者である本件著作物を7部複製し、被告の古くからの知人であり、広報誌「B」を10部以上購読申込みしている者に対して、同複製物を本件印刷物と同封して送付していました。
被告は、複製が私的使用目的の複製(30条1項)にあたると反論しましたが、裁判所は、
『被告が本件著作物の複製物を配布した7名は、被告の古くからの友人であるものの、本件全証拠によっても、被告とこれら7名との間に、家庭に準じる程度の親密かつ閉鎖的な関係があったとは認められないから、著作物の使用範囲が「その他これに準ずる限られた範囲内」であるということはできない。』
と判断。
30条1項の適用を否定し、被告の反論を認めていません(16頁以下)。
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6 複製権侵害による損害の有無及び損害額
1部1000円×7部=7000円(18頁以下)
そのほか、弁護士費用相当額損害として1万円が認定されています。
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■コメント
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