最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

編物動画YouTube削除事件(控訴審)

大阪高裁令和4.10.14令和4(ネ)265等損害賠償請求控訴事件、同附帯控訴事件PDF

大阪高等裁判所第8民事部
裁判長裁判官 森崎英二
裁判官    渡部佳寿子
裁判官    植田智彦

*裁判所サイト公表 2022.10.31
*キーワード:YouTube、contentsID、動画削除、異議申立、編み物、編物、ユーチューバー、損害軽減義務

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■事案

YouTubeに対して侵害通知をして他人のコンテンツの配信を停止させた行為が不法行為にあたるかどうかが争点となった事案の控訴審

控訴人・附帯被控訴人(1審被告) :編物動画投稿者、古美術商
被控訴人・附帯控訴人(1審原告) :編物動画投稿者

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■結論

控訴棄却、附帯控訴一部認容

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■争点

条文 民法709条

1 控訴人Bの本件侵害通知による不法行為の成否
2 控訴人Dについての共同不法行為の成否
3 損害の発生及びその額

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■事案の概要

『本件は、被控訴人が、控訴人らに対し、控訴人らが共謀して、被控訴人が動画共有サービス「YouTube」に投稿した動画を対象とする著作権侵害通知をYouTubeに提出し、YouTubeをして上記動画を削除させた行為が、共同不法行為に当たると主張して、共同不法行為に基づく損害賠償として、連帯して118万7227円(精神的損害100万円、経済的損害7万9297円、弁護士費用10万7930円)及びこれに対する不法行為の日である令和2年2月6日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』

『原審は、被控訴人の控訴人らに対する請求を、7万4721円及びこれに対する上記同様の遅延損害金の限度で認容したため、これを不服とする控訴人らが本件控訴を提起した。他方、被控訴人は、原判決に対し敗訴部分を不服として本件附帯控訴を提起した。』
(2頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 控訴人Bの本件侵害通知による不法行為の成否

結論として、控訴人Bが本件侵害通知を提出した行為は、被控訴人の法律上保護される利益を違法に侵害したものとして不法行為を構成すると控訴審でも判断されています(11頁以下)。

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2 控訴人Dについての共同不法行為の成否

本侵害通知による不法行為について、控訴人Dも共同不法行為者として、控訴人Bと同様の責任を負うべきものと控訴審は判断しています (22頁以下)。

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3 損害の発生及びその額

(1)精神的損害(慰謝料)

20万円

(2)広告収益に関する経済的損害

1万7929円

(3)弁護士費用相当額損害

4万3585円

合計26万1514円(24頁以下)

なお、控訴人らは、被控訴人には、YouTubeに対し速やかに異議申立通知を行うことなく、漫然と被控訴人動画が削除されている状態を放置していたことによる損害軽減義務違反があり、被控訴人が軽減できたはずの損害は、民法416条1項類推適用による通常生ずべき損害に当たらないから、控訴人らにおいて賠償責任を負わない旨主張しましたが、結論として、控訴審は控訴人らの主張を認めていません(27頁以下)。

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■コメント

原審では慰謝料5万円の損害額の認定でしたが、控訴審では20万円と損害額が増える方向での認定となっています。

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■過去のブログ記事

京都地裁令和3.12.21令和2(ワ)1874損害賠償請求事件
原審記事

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2022/07/29「編み物ユーチューバー著作権裁判 控訴審の結審」C’s Condo 
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