最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
北野天満宮梅の木写真無断使用事件
東京地裁令和4.4.14令和3(ワ)13623著作権侵害差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 仲田憲史
裁判官 棚井 啓
*裁判所サイト公表 2022.10.27
*キーワード:写真、サイト運営者、侵害主体性
--------------------
■事案
旅行情報サイトの会員が投稿した画像に関するサイト運営者の責任などが争点となった事案
原告:写真家(スウェーデン国籍)
被告:旅行情報提供サービス会社
--------------------
■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法21条、23条、19条、20条、114条3項
1 複製、公衆送信等の主体
2 差止めの必要性
3 不法行為の成否及び損害額
--------------------
■事案の概要
『本件は、原告が著作権を有する写真がインターネット上のウェブサイトに無断でアップロードされ、原告の著作権(複製権及び公衆送信権)、著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)が侵害されたとして、同ウェブサイトを管理運営等している被告に対し、原告写真の複製・自動公衆送信等の差止め並びに損害賠償金33万9092円及びこれに対する不法行為日である平成30年10月6日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(2頁)
<経緯>
H26.03 原告写真撮影
H30.10 被告各写真が被告サイトに掲出
R02.10 警告文、写真削除
原告著作物
題名:「Plum trees at the Kitano Tenmangu」
米国著作権登録番号:VA 2209450
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■判決内容
<争点>
1 複製、公衆送信等の主体
本件ウェブサイト(被告が運営するサイト)の会員であるAによって被告写真が投稿されていましたが、本件ウェブサイトでは、会員が被告に送信した記事を被告地域パートナーが承認して、初めてその記事を本件ウェブサイトの一般の閲覧者が閲覧できるようになるしくみでした。
この点について、裁判所は、本件投稿者が被告に送信した被告各写真を含む本件記事についても、被告の地域パートナーが、その内容等を審査してそれを承認したことにより、その承認後、被告各写真や本件記事を本件ウェブサイトの一般の閲覧者が閲覧できるようになったと推認することができると判断。
そのうえで、本件ウェブサイトが被告の旅行関連事業の営業のために設けられているといった性質なども勘案して、本件投稿者が被告に送信した被告各写真は、被告の履行補助者である被告地域パートナーが被告の営業のために内容を広く審査して承認という作業をしたことによって、サーバーに蔵置、記録され、送信可能化されるに至り、公衆送信されたと判断。
結論として、被告が被告各写真の複製、公衆送信をしたと認めることが相当であると裁判所は判断しています(10頁以下)。
また、原告の氏名(ペンネーム)が表示されておらず、さらに左右のサイズが切除された写真もあったことから、原告の氏名表示権及び同一性保持権の侵害主体性についても被告であると裁判所は判断しています(13頁)。
結論として、被告が原告保有の原告写真の複製権及び公衆送信権を侵害し、また、原告の氏名表示権及び同一性保持権を侵害したと裁判所は判断しています。
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2 差止めの必要性
裁判所は、原告の被告に対する原告写真の複製、自動公衆送信等の差止請求は理由があると判断しています(13頁以下)。
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3 不法行為の成否及び損害額
裁判所は、被告の過失を認め不法行為を肯定した上で、損害額として以下の通り認定しています(14頁以下)。
(1)著作権(複製権及び公衆送信権)侵害(著作権法114条3項) 4万円
(2)著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)侵害 2万円
(3)弁護士費用相当額損害 1万円
合計7万円
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■コメント
被告が運営するサイトは訪日外国人向けで、英語を主体とした15か国語での展開をしているようです。質の高いサイトの運営方針のもと、投稿される記事について運営側で編集を行っていたという事情がありました。
写真は判決文末尾に掲載されていますが、北野天満宮で梅の季節に和装の女性2名の後ろ姿入れ込みの画像です。
北野天満宮梅の木写真無断使用事件
東京地裁令和4.4.14令和3(ワ)13623著作権侵害差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 仲田憲史
裁判官 棚井 啓
*裁判所サイト公表 2022.10.27
*キーワード:写真、サイト運営者、侵害主体性
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■事案
旅行情報サイトの会員が投稿した画像に関するサイト運営者の責任などが争点となった事案
原告:写真家(スウェーデン国籍)
被告:旅行情報提供サービス会社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法21条、23条、19条、20条、114条3項
1 複製、公衆送信等の主体
2 差止めの必要性
3 不法行為の成否及び損害額
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■事案の概要
『本件は、原告が著作権を有する写真がインターネット上のウェブサイトに無断でアップロードされ、原告の著作権(複製権及び公衆送信権)、著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)が侵害されたとして、同ウェブサイトを管理運営等している被告に対し、原告写真の複製・自動公衆送信等の差止め並びに損害賠償金33万9092円及びこれに対する不法行為日である平成30年10月6日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(2頁)
<経緯>
H26.03 原告写真撮影
H30.10 被告各写真が被告サイトに掲出
R02.10 警告文、写真削除
原告著作物
題名:「Plum trees at the Kitano Tenmangu」
米国著作権登録番号:VA 2209450
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■判決内容
<争点>
1 複製、公衆送信等の主体
本件ウェブサイト(被告が運営するサイト)の会員であるAによって被告写真が投稿されていましたが、本件ウェブサイトでは、会員が被告に送信した記事を被告地域パートナーが承認して、初めてその記事を本件ウェブサイトの一般の閲覧者が閲覧できるようになるしくみでした。
この点について、裁判所は、本件投稿者が被告に送信した被告各写真を含む本件記事についても、被告の地域パートナーが、その内容等を審査してそれを承認したことにより、その承認後、被告各写真や本件記事を本件ウェブサイトの一般の閲覧者が閲覧できるようになったと推認することができると判断。
そのうえで、本件ウェブサイトが被告の旅行関連事業の営業のために設けられているといった性質なども勘案して、本件投稿者が被告に送信した被告各写真は、被告の履行補助者である被告地域パートナーが被告の営業のために内容を広く審査して承認という作業をしたことによって、サーバーに蔵置、記録され、送信可能化されるに至り、公衆送信されたと判断。
結論として、被告が被告各写真の複製、公衆送信をしたと認めることが相当であると裁判所は判断しています(10頁以下)。
また、原告の氏名(ペンネーム)が表示されておらず、さらに左右のサイズが切除された写真もあったことから、原告の氏名表示権及び同一性保持権の侵害主体性についても被告であると裁判所は判断しています(13頁)。
結論として、被告が原告保有の原告写真の複製権及び公衆送信権を侵害し、また、原告の氏名表示権及び同一性保持権を侵害したと裁判所は判断しています。
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2 差止めの必要性
裁判所は、原告の被告に対する原告写真の複製、自動公衆送信等の差止請求は理由があると判断しています(13頁以下)。
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3 不法行為の成否及び損害額
裁判所は、被告の過失を認め不法行為を肯定した上で、損害額として以下の通り認定しています(14頁以下)。
(1)著作権(複製権及び公衆送信権)侵害(著作権法114条3項) 4万円
(2)著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)侵害 2万円
(3)弁護士費用相当額損害 1万円
合計7万円
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■コメント
被告が運営するサイトは訪日外国人向けで、英語を主体とした15か国語での展開をしているようです。質の高いサイトの運営方針のもと、投稿される記事について運営側で編集を行っていたという事情がありました。
写真は判決文末尾に掲載されていますが、北野天満宮で梅の季節に和装の女性2名の後ろ姿入れ込みの画像です。