最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

自然保護センター展示システム事件(控訴審)

知財高裁令和4.7.13令和4(ネ)10023損害賠償等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 本多知成
裁判官    中島朋宏
裁判官    勝又来未子

*裁判所サイト公表 2022.8.25
*キーワード:システム開発契約、自治体、著作物性、業務委託契約

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■事案

インターネット展示システムの著作物性や契約違反性が争点となった事案の控訴審

控訴人(1審原告) :環境政策コンサル会社
被控訴人(1審被告):福井県

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号

1 本件展示システムの著作物性
2 本件使用許諾契約の成否及び債務不履行の有無等
3 国家賠償法上の違法行為の有無等

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■事案の概要

『(1) 被控訴人(原審被告)は、福井県自然保護センター(本件センター)を運営する地方公共団体であり、控訴人(原審原告)は、平成22年に導入された本件センターのインターネット展示システム(以下「本件展示システム」という。なお、本件展示システムは、サーバやルータ等のハードウェア、各種ソフトウェア(OS、ミドルウェア、アプリケーション等)及びネットワークにより構成されている。)を構築等したものである。』

『(2) 本件は、控訴人が被控訴人に対し、次のア及びイの各請求をする事案である。
 ア 差止め及び廃棄の請求(次の(ア)及び(イ)は選択的な請求と解される。)
(ア)被控訴人において本件展示システムに使用されているルータ(本件ルータ)の80番ポートを閉鎖した行為(本件閉鎖行為)及び本件ルータのADSL回線用のモジュラージャックからモジュラーケーブルを取り外した行為(以下「本件引抜行為」という。)が本件展示システム全体に係る控訴人の著作者人格権(同一性保持権)の侵害に当たると主張して、(1)著作権法(以下「法」ということがある。)112条1項に基づき、本件展示システムを構成する原判決別紙目録1記載のハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク及びアプリケーションシステムの使用の差止め(なお、前記第1の2の請求の対象は、ネットワークを含めて同目録1に記載されたもの全てを含む趣旨である。)並びに本件展示システムに係るサーバ設計書(原判決別紙目録2記載のサーバ設計書。以下「本件サーバ設計書」という。)の第三者への開示の差止めを求めるとともに、(2)同条2項に基づき、本件サーバ設計書の廃棄を求める請求
 (イ) 本件閉鎖行為及び本件引抜行為(本件閉鎖行為等)並びに被控訴人において本件サーバ設計書の少なくとも一部を第三者に開示した行為(以下「本件開示行為」という。)が控訴人と被控訴人との間の本件展示システムに係る使用許諾契約(本件使用許諾契約)の債務不履行(同一性保持義務違反及び秘密保持義務違反)に当たると主張して、(1)本件使用許諾契約に基づく使用停止請求権の行使として、本件展示システムのうち本件使用許諾契約の直接の対象となる部分(原告著作物部分)の使用の差止め及び本件サーバ設計書の第三者への開示の差止めを求めるとともに、(2)本件使用許諾契約に基づく廃棄請求権の行使として、本件サーバ設計書の廃棄を求める請求
 イ 損害賠償請求
 本件開示行為が、(1)本件使用許諾契約に基づく秘密保持義務の違反に当たるとして平成29年法律第44号による改正前の民法415条に基づき、又は(2)秘密情報を保持するという控訴人の営業活動上の権利ないし利益を侵害する違法行為に当たるとして国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金8569万円及びこれに対する平成28年3月26日(控訴人が主張する本件使用許諾契約に基づく許諾の撤回等の意思表示の日)から支払済みまで上記改正前の民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払請求』

『(3) 原判決は、控訴人の請求をいずれも棄却した。これを不服として、控訴人が控訴を提起した。』
(2頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 本件展示システムの著作物性
2 本件使用許諾契約の成否及び債務不履行の有無等
3 国家賠償法上の違法行為の有無等

控訴審での控訴人の補充主張を含め、結論として原審の判断が控訴審でも維持されています。

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■コメント

結論として原審の判断が控訴審でも維持されています。

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■過去のブログ記事

大阪地裁令和3.11.11平成31(ワ)2534損害賠償等請求事件
原審記事