最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

JN95マスク写真無断使用事件

大阪地裁令和4.6.23令和4(ワ)2064著作権侵害差止等請求事件PDF

大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 松阿彌隆
裁判官    杉浦一輝
裁判官    布目真利子

*裁判所サイト公表 2022.7.12
*キーワード:写真、営業誹謗行為

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■事案

マスクの商品写真の無断使用が争点となった事案

原告:医療関係用品等製造販売会社
被告:服飾雑貨販売会社

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法21条、23条、19条、不正競争防止法2条1項21号

1 原告各写真の著作権侵害
2 営業誹謗行為
3 損害論

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■事案の概要

『本件は、マスクの製造・販売等を行う株式会社である原告(以下、原告の製造販売に係るマスクを「原告マスク」という。)が、マスクの販売等を行う株式会社である被告に対し、次の各請求をする事案である。
1 被告が別紙写真目録記載の各写真(以下「被告各写真」といい、個別には同目録の番号に従い「被告写真1の1」などという。)を別紙URL目録記載の各ウェブサイト(以下「被告各サイト」といい、個別には同目録の番号に従い「被告サイト1」などという。)において掲載する行為が、原告の著作物である別紙原告写真目録記載の各写真(以下「原告各写真」といい、個別には同目録の番号に従い「原告写真1」などという。)に係る著作権(自動公衆送信権及び送信可能化権)を侵害するものであるとする、
(1) 著作権法112条1項及び同条2項に基づく、被告各写真の自動公衆送信又は送信可能化の差止請求及び被告各サイトからの抹消請求
(2) 不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求として著作権法114条3項による損害額143万円及び弁護士費用相当額14万3000円並びにこれらの合計額157万3000円に対する不法行為の後日(訴状送達の日の翌日)である令和4年3月26日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払請求
(本項の各請求を総称して「本件請求1」という。)
以下、略』

<経緯>

R03.04 原告が13点の原告各写真を撮影
R03.10 被告がマスク販売

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■判決内容

<争点>

1 原告各写真の著作権侵害

被告は、公示送達以外の方法による適式の呼出しを受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出していないことから、原告の主張する請求原因事実を自白したものとみなされています(10頁以下)。

その上で、原告が原告各写真を創作したこと、被告が原告が管理運営するウェブサイト等から原告各写真のデータを取り込み、当該データの画像ファイルを被告各サイトのサーバーに複製して保存して、被告各写真の態様で被告各サイトに掲載していることは争いがないと認定。
結論として、被告は、原告著作権を侵害したものとして、被告に対して著作権法112条1項に基づき、被告各写真の自動公衆送信及び送信可能化行為の差止め、同条2項に基づき、被告各サイトから被告各写真の抹消を命ずるのが相当であると裁判所は判断しています。

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2 営業誹謗行為

別紙信用毀損事実目録にある被告の告知行為が、原告が品質の劣るマスクを製造していたり、あるいは知的財産権侵害を行ったりするような会社であるとの印象を抱かせるものであり、原告の営業上の信用を害するものであるなどとして、不正競争防止法2条1項21号該当性を裁判所は肯定しています(10頁以下)。

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3 損害論

(1)使用料相当損害(著作権法114条3項による損害)

3000円×12点+4000円×1点 合計4万4000円(税込)

(2)その他の損害

営業誹謗行為、著作者人格権侵害による損害 80万円

(3)弁護士費用相当額損害

8万4400円

合計 92万8400円

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■コメント

原告写真が掲載されていないので、どのような写真かわかりませんが、マスクを着用した様子、見た目を撮影したもののようです。
(原告商品名と原告会社名でAmazonサイトで画像が出ますが、本件写真かどうかは、わかりませんでした。)