最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

漫画村広告代理店事件(控訴審)

知財高裁令和4.6.29令和4(ネ)10005損害賠償請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 本多知成
裁判官    中島朋宏
裁判官    勝又来未子

*裁判所サイト公表 2022.7.5
*キーワード:漫画村、広告代理店、広告仲介業、幇助、注意義務、共同不法行為、損害論

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■事案

漫画村に広告掲載料を提供していたとして広告代理店の責任が争点となった事案の控訴審

控訴人(1審被告) :インターネット広告代理業者ら
被控訴人(1審原告):漫画家

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法23条、民法719条2項、709条

1 控訴人らの本件行為の幇助行為該当性等
2 控訴人らの故意又は過失の有無
3 被控訴人の損害額

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■事案の概要

『本件は、「漫画村」という名称のウェブサイト(本件ウェブサイト)上に原告漫画の少なくとも一部がアップロードされてその公衆送信権を侵害された被控訴人が、控訴人らに対し、本件ウェブサイトに広告を提供して本件ウェブサイトの管理運営者に広告料(広告費)を支払ったという控訴人らの一連の行為(以下「本件行為」ということがある。)は、上記侵害についての幇助行為に当たると主張して、不法行為(民法719条1項・2項、709条)に基づき、損害賠償金1100万円及びこれに対する上記アップロードがされた最後の日である平成29年11月18日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。』
『原判決は、被控訴人の請求をいずれも認容した。これを不服として、控訴人らが控訴を提起した。』
『損害賠償金1100万円について、被控訴人は、原審において、専ら売上減少額1000万円と弁護士費用100万円の合計額である旨を主張していたが、当審において、上記のうち1000万円について、著作権法114条1項による損害2億1125万8200円の内金(一部請求)である旨の主張を選択的に追加した。』
(2頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 控訴人らの本件行為の幇助行為該当性等
2 控訴人らの故意又は過失の有無

控訴人らは、本件ウェブサイトにおける被控訴人の著作権(公衆送信権)の侵害行為を幇助したものとして、共同して不法行為責任を負うというべきであるとして、原審の判断が控訴審でも維持されています(29頁以下)。

3 被控訴人の損害額

著作権法114条1項に基づく主張(控訴審における追加主張)について、控訴審は、損害金3086万6548円、また、弁護士費用相当額損害308万円と認定。
結論としては、著作権法114条1項に基づく損害金のうち1000万円及び弁護士費用100万円の合計である1100万円の支払を求める被控訴人の請求には理由があるとして、原審の判断が維持されています(45頁以下)。

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■コメント

控訴審でも原審の判断が維持されています。
なお、控訴審の意義について、原告代理人電羊法律事務所弁護士平野敬先生のツイッター記事(記者会見資料2022年7月4日付「赤松 vs 漫画村広告代理店 控訴審」)をご参照ください。

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■過去のブログ記事

東京地裁令和3.12.21令和3(ワ)1333損害賠償請求事件
原審記事

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■参考サイト

赤松健さんのTwitter記事(2022年6月29日午後5:10)
記事

電羊法律事務所 平野敬弁護士のTwitter記事

記者会見資料(2022年7月4日午後6:15)
記事
原告陳述書(2022年7月4日午後6:16)
記事