最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
CCライセンス違反損害賠償請求事件
東京地裁令和3.10.12令和3(ワ)5285著作権侵害差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 佐伯良子
裁判官 仲田憲史
*裁判所サイト公表 2022.4.12
*キーワード:写真、CCライセンス、クリエイティブコモンズ、利用許諾違反、ライセンス料
--------------------
■事案
CCライセンスに違反して写真を利用した事案
原告:写真家
被告:起業家養成セミナー運営会社
--------------------
■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法23条、19条、114条3項
1 被告に対する損害賠償請求権の存否
2 損害額
--------------------
■事案の概要
『本件は,原告が,著作者名等を表示すること等を条件に無償での利用を許諾するライセンスを付して自身が撮影した写真を写真共有サイトに投稿したところ,被告が,原告の氏名等を表示せずに自身の運営するウェブサイトに掲載したことについて,不法行為に基づく損害賠償として,複製権及び公衆送信権侵害によるライセンス料相当額,氏名表示権侵害による慰謝料及び弁護士費用並びに不法行為の日以降の日である,平成28年10月30日から支払済みまでの平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求する事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H26.12 原告が本件写真を撮影
原告が写真共有サイトFlickrに投稿(BY−SAライセンス)
H28.10 被告が本件写真を複製、公衆送信
R03.01 被告が削除
--------------------
■判決内容
<争点>
1 被告に対する損害賠償請求権の存否
本件写真について、CCライセンス(BY−SAライセンス)が付され、著作者名表示が求められていたところ、被告は本件著作者名を示すことなく被告運営のサイトなどで利用をしていました。
この点について、被告は、BY−SAライセンスを付した権利者が違反行為に対して請求できるのは利用の差止のみであり、損害賠償請求はできないなどと反論をしていました。
この点について、裁判所は、ライセンス条件が満たされていない場合は、原告は許諾していなかったものと認定。そのため、本件写真の公衆送信権と氏名表示権の侵害があったと判断。
また、BY−SAライセンスが付された著作物について、付した条件に違反して著作物が利用された場合に、著作権者が損害賠償請求権を行使することができない慣行があることを裏付けるに足りる証拠はないなどとして、被告の反論を容れていません。
結論として、原告の損害賠償請求権が肯定されています(6頁以下)。
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2 損害額
(1)公衆送信権侵害損害額 1万円(114条3項)
(2)氏名表示権侵害(慰謝料) 3万円
(3)弁護士費用相当額損害 1万円
合計5万円が損害額として認定されています(9頁以下)。
--------------------
■コメント
クリエイティブコモンズライセンス違反の利用での損害賠償請求の事案となりまして、裁判例としては先例となるのではないでしょうか。原告代理人弁護士は山本隆司先生です。
BY−SAライセンスは、「表示 - 継承 3.0 非移植」を見てみると、翻案や再配布が自由ですが、条件として、クレジット表記と改変部分は以降も同じライセンスに従う、という2つの約束事を守る必要があります。
Creative Commons - 表示 - 継承 3.0 非移植 - CC BY-SA 3.0
CCライセンス違反損害賠償請求事件
東京地裁令和3.10.12令和3(ワ)5285著作権侵害差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 佐伯良子
裁判官 仲田憲史
*裁判所サイト公表 2022.4.12
*キーワード:写真、CCライセンス、クリエイティブコモンズ、利用許諾違反、ライセンス料
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■事案
CCライセンスに違反して写真を利用した事案
原告:写真家
被告:起業家養成セミナー運営会社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法23条、19条、114条3項
1 被告に対する損害賠償請求権の存否
2 損害額
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■事案の概要
『本件は,原告が,著作者名等を表示すること等を条件に無償での利用を許諾するライセンスを付して自身が撮影した写真を写真共有サイトに投稿したところ,被告が,原告の氏名等を表示せずに自身の運営するウェブサイトに掲載したことについて,不法行為に基づく損害賠償として,複製権及び公衆送信権侵害によるライセンス料相当額,氏名表示権侵害による慰謝料及び弁護士費用並びに不法行為の日以降の日である,平成28年10月30日から支払済みまでの平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求する事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H26.12 原告が本件写真を撮影
原告が写真共有サイトFlickrに投稿(BY−SAライセンス)
H28.10 被告が本件写真を複製、公衆送信
R03.01 被告が削除
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■判決内容
<争点>
1 被告に対する損害賠償請求権の存否
本件写真について、CCライセンス(BY−SAライセンス)が付され、著作者名表示が求められていたところ、被告は本件著作者名を示すことなく被告運営のサイトなどで利用をしていました。
この点について、被告は、BY−SAライセンスを付した権利者が違反行為に対して請求できるのは利用の差止のみであり、損害賠償請求はできないなどと反論をしていました。
この点について、裁判所は、ライセンス条件が満たされていない場合は、原告は許諾していなかったものと認定。そのため、本件写真の公衆送信権と氏名表示権の侵害があったと判断。
また、BY−SAライセンスが付された著作物について、付した条件に違反して著作物が利用された場合に、著作権者が損害賠償請求権を行使することができない慣行があることを裏付けるに足りる証拠はないなどとして、被告の反論を容れていません。
結論として、原告の損害賠償請求権が肯定されています(6頁以下)。
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2 損害額
(1)公衆送信権侵害損害額 1万円(114条3項)
(2)氏名表示権侵害(慰謝料) 3万円
(3)弁護士費用相当額損害 1万円
合計5万円が損害額として認定されています(9頁以下)。
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■コメント
クリエイティブコモンズライセンス違反の利用での損害賠償請求の事案となりまして、裁判例としては先例となるのではないでしょうか。原告代理人弁護士は山本隆司先生です。
BY−SAライセンスは、「表示 - 継承 3.0 非移植」を見てみると、翻案や再配布が自由ですが、条件として、クレジット表記と改変部分は以降も同じライセンスに従う、という2つの約束事を守る必要があります。
Creative Commons - 表示 - 継承 3.0 非移植 - CC BY-SA 3.0