最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

写真無断使用事件

東京地裁令和3.12.23令和3(ワ)6692損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 田中孝一
裁判官    小口五大
裁判官    稲垣雄大

*裁判所サイト公表 2022.3.24
*キーワード:写真、損害論、使用料規程

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■事案

職業写真家の写真をサイトで無断使用した際の損害論が争点となった事案

原告:職業写真家、写真会社
被告:サイト運営者(個人)

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法21条、23条、20条、114条3項

1 侵害論
2 損害論

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■事案の概要

『本件は,原告会社及びその代表者である原告Bが,被告の管理するウェブサイトに原告Bが撮影した写真が掲載され,原告会社の著作権(複製権,公衆送信権(送信可能化権を含む。))及び原告Bの著作者人格権(氏名表示権)が侵害された旨を主張して,(1)原告会社が,被告に対し,不法行為に基づき,損害賠償金128万7000円及びこれに対する令和2年7月29日(被告が上記写真を掲載していた期間の最終日)から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求め,(2)原告Bが,被告に対し,不法行為に基づき,損害賠償金16万5000円及び令和2年7月29日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(2頁)

<経緯>

H27.08 原告写真家が本件写真を撮影
    原告写真家が原告会社に著作権譲渡
H29.05 被告がウエブサイトに写真掲載
R02.11 内容証明郵便で通知

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■判決内容

<争点>

1 侵害論

原告写真家が撮影した本件写真の著作物性、原告が代表を務める原告会社への本件写真の著作権譲渡を前提に、被告による被告管理のウェブサイトへの本件写真の複製物の無断掲載が原告会社の複製権、公衆送信権を侵害すると裁判所は判断。
また、掲載時に原告写真家の氏名が表示されていなかったことから、原告写真家の氏名表示権を侵害することが認められています(4頁以下)。

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2 損害論

被告に少なくとも過失があることを前提に損害額について、裁判所は以下のように判断しています。

(1)原告会社の著作権の侵害に関する損害 10万円

裁判所は、協同組合日本写真家ユニオン作成の使用料規程を踏まえ、約39ヵ月間の使用期間などを勘案して損害額を判断しています(114条3項)。

(2)原告写真家の慰謝料(氏名表示権侵害) 5万円

(3)弁護士費用相当額損害 原告会社 1万円 原告写真家 5000円

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■コメント

写真がどのようなものか判決文からはわかりませんが、いずれにしても損害額算定が低廉で費用倒れの感が強く残念です。