最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

特定健診事務処理ソフトライセンス事件(控訴審)

知財高裁令和3.11.29令和3(ネ)10035著作権侵害差止等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判官 東海林保
裁判官 中平 健
裁判官 都野道紀

*裁判所サイト公表 2021.12.16
*キーワード:プログラム著作物、ライセンス契約、債務不履行、違約金合意

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■事案

特定健診事務代行業者が提出用XML変換ソフトをライセンス契約に違反して利用していた事案の控訴審

控訴人(1審被告) :健康診断データ作成会社
被控訴人(1審原告):健康診断システム開発会社

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法21条

1 控訴人に対する本件平成20年契約に係る債務不履行に基づく損害賠償請求の可否など

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■事案の概要

『(1) 本件は,原判決別紙1プログラム目録記載1及び2の各プログラム(以下「本件プログラム」という。)の著作権者である被控訴人が,医師会等からの委託を受けて保険請求を代行する業者である控訴人に対し,控訴人が本件プログラムをその使用許諾契約に反する態様により使用したと主張して,次の各請求をする事案である。
ア 控訴人による本件プログラムの複製及び使用が,本件プログラムの著作権侵害(複製権侵害又は著作権法113条2項(令和2年法律第48号による改正前のもの。以下,同項については同じ。)による侵害)に該当すると主張して,著作権法112条1項に基づく本件プログラムの複製及び使用の差止め並びに同条2項に基づく複製物等の廃棄を求める請求
イ 平成20年9月分ないし平成30年3月分の控訴人による本件プログラムの使用行為について,被控訴人と控訴人との間の本件プログラムに係る使用許諾契約の債務不履行に基づく損害賠償請求又は不法行為に基づく損害賠償請求(選択的請求)として,損害金1億0903万2000円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成31年1月22日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求
ウ 平成30年7月分ないし同年11月分の控訴人による本件プログラムの使用行為について,違約金合意に基づく請求として,違約金7530万6000円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成31年1月22日から支払済みまで商法(平成29年法律第45号による改正前のもの。以下同じ。)514条の年6分の利率(以下「商事法定利率」という。)による遅延損害金の支払を求める請求』

『(2) 原審は,上記各請求につき,次のとおりの各限度で,被控訴人の請求を認容した。
ア 上記(1)アの請求について,控訴人による複製権侵害及び著作権法113条2項によるみなし侵害があったとして,本件プログラムの複製又は使用の禁止及び本件プログラムを格納した記録媒体の廃棄又は同記録媒体からの各プログラムの消去を求める限度
イ 上記(1)イの請求について,控訴人による債務不履行があり,不法行為も成立するが,債務不履行による損害額が上回るなどとして,債務不履行に基づく損害賠償として6609万5820円及びこれに対する平成31年1月22日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度
ウ 上記(1)ウの請求について,被控訴人が主張する違約金合意は有効であるなどとして,違約金7393万6800円及びこれに対する平成31年1月22日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度』

『(3) また,原審において,被控訴人は,上記(1)イの損害賠償請求につき,控訴人の代表取締役であるA(以下「控訴人代表者」という。)に対しても,主位的に会社法429条1項に基づく損害賠償請求として,予備的に控訴人との共同不法行為に基づく損害賠償請求として,控訴人と同額の連帯支払を求めたが,原審は,これらの請求をいずれも棄却した。』

『(4) 控訴人は,原判決のうち上記(2)イ及びウの判断(上記(1)イ及びウの金銭請求に係る判断)に不服があるとして,本件控訴を提起した。』
(2頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 控訴人に対する本件平成20年契約に係る債務不履行に基づく損害賠償請求の可否など

控訴審での控訴人の補充主張も容れられず、原審の判断が控訴審でも維持されています。

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■コメント

原審の一部認容の判断が控訴審でも維持されています。

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■過去のブログ記事

原審記事