最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

ヘアスタイル写真利用許諾契約違反事件

東京地裁令和3.8.27令和2(ワ)29009損害賠償等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官    吉野俊太郎
裁判官    斉藤 敦

*裁判所サイト公表 2021.11.18
*キーワード:写真、レンタル、利用許諾契約、美容室、ヘアサロン

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■事案

ヘアサロン向けレンタル画像の利用許諾契約違反の事案

原告:ヘアサロン向けレンタルサービス会社
被告:美容室経営者

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法23条

1 著作権侵害の成否等
2 損害額

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■事案の概要

『本件は,インターネット上で美容室の広告サイト用のヘアースタイル写真の利用サービスを提供する原告が,同サービスの利用登録をした被告に対し,被告が,上記サービスの利用契約に反し,登録店舗以外の店舗の広告サイトにヘアースタイル写真を掲載した上,同契約解除後も,広告サイト(登録店舗のものを含む。)にヘアースタイル写真を掲載し続け,ヘアースタイル写真に係る原告の著作権(公衆送信権)を侵害しているとして,上記サービスの利用契約又は著作権に基づき,別紙広告サイトの赤枠で囲まれた写真の削除を求めるとともに,登録手数料相当損害金1万円及び令和3年6月までの利用料相当損害金195万円の合計196万円及びこれに対する不法行為後の日である同年7月1日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金並びに同日以降の1か月3万円の割合による利用料相当損害金の支払を求める事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

R01.07 原被告間で利用契約締結(本件契約)
R01.09 被告が利用開始、4店舗で利用
R01.10 被告が手続不備
R01.12 原告が解除通知

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■判決内容

<争点>

1 著作権侵害の成否等

裁判所は、被告が本件契約に適用される原告レンタルサイトの利用規約に違反しており、原告の契約解除の意思表示は有効と判断。
被告が契約解除後も被告各店舗の広告サイトに、原告に著作権が帰属する写真著作物を掲載していることは、原告の公衆送信権を侵害すると判断しています(9頁以下)。

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2 損害額

写真の1店舗の利用料相当額は1か月あたり3万円として、4店舗分の合計196万円が損害額として認定されています(11頁以下)。
また、現在でも掲載されているものがあるとして、原告は被告に対して令和3年7月1日から同写真が削除されるまでの間、1か月3万円の割合による利用料相当損害金の支払を求めることができると裁判所は判断しています。

結論として、原告の主張は全部認容されています。

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■コメント

美容室、ヘアサロン向けヘアスタイルのレンタル画像の利用許諾契約違反の事例となります。
被告は代理人を付けずに対応していますが、判決文を読む限り、利用許諾契約違反が明らかな事案です。
原告のサイトを拝見すると、写真の技術のほかに、スタイリングの提案もしており、今回の事件では写真の著作物の取り扱いだけを考えれば十分な訳ですが、ヘアやスタイリスト、メイクといった創作者の仕事の重要性も再認識させられるところです。