最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ネイル商品説明文事件
東京地裁令和3.8.18令和2(ワ)26567債務不存在確認等請求事件PDF
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官 吉野俊太郎
裁判官 小田誉太郎
*裁判所サイト公表 2021.10.11
*キーワード:商品説明文、著作物性、取扱説明書、テクニカルライター
--------------------
■事案
ネイル商品の説明文の著作物性が争点となった事案(確認の訴え)
原告:化粧品ネット販売会社
被告:化粧品ネット販売業者
--------------------
■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号
1 被告説明文の著作物性
--------------------
■事案の概要
『原告は,英国法人であるドクターショール社製の白癬菌(水虫)治療キット(以下「本件商品」という。)をインターネット上で販売したり,ユーチューブで宣伝したりするに際し,別紙原告説明文目録1及び2記載の商品説明文(以下,「原告説明文1」などといい,併せて「原告説明文」という。)を使用したところ,被告から,原告説明文は,被告が本件商品をインターネット上で販売する際に使用する別紙被告説明文目録記載の商品説明文(以下「被告説明文」という。)に係る被告の著作権及び著作者人格権を侵害するものであるとして,損害賠償金300万円の支払を請求された。
本件は,以上の事実関係を前提として,原告が,被告に対し,被告説明文に係る被告の著作権及び著作者人格権侵害に基づく損害賠償債務が存在しないことの確認を求める事案である。』(1頁以下)
<経緯>
H30.03 被告が被告説明文を使用
H30.05 原告が原告説明文1を使用
H31.04 原告が原告説明文2を使用
R2.02 被告が原告に損害賠償請求
本件商品:ドクターショール社が製造し欧米で販売する製品。爪の間に白癬菌が侵食し、爪が黄色や茶色に変色する爪白癬(爪水虫)を予防・治療するためのネイル及びヤスリのキット
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■判決内容
<争点>
1 被告説明文の著作物性
裁判所は、被告説明文の(ア)から(エ)の記載について、
(ア) 製品の出所、特性、効能の記載
(イ)〜(エ)テスト済み、症状、使用方法の記載
いずれも、
「客観的な事実をできる限り正確かつ明確に説明することが求められており,思想又は感情を創作的に表現する幅は狭く,表現の選択肢は限られたものとなると考えられる」
として、被告説明文には全体として著作物性は認められないと判断。
結論として、原告が被告に対して被告説明文に係る被告の著作権及び著作者人格権侵害に基づく損害賠償債務が存在しないことの確認請求が認容されています(3頁以下)。
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■コメント
被告が訴訟手続に対応していないため、原告の請求が全部認容されています。ですので、被告説明文に著作物性がないとの判断は、そのあたりも加味した上での事例判断になるかと思われます。
なお、原告の主張部分に、「被告説明文の大部分は,外国語で書かれた本件商品及びその取扱説明書の日本語訳と同一の内容であり,被告説明文は,それらに依拠して作成されたものであることからすれば,被告独自の創作性は認められない。」(3頁)とあります。仮にこれが事実であれば、また、被告説明文が日本語訳のオリジナルであったのか、そもそも被告が原告に日本語訳の説明文について、著作権侵害を請求できるだけの根拠を持っていたのかも疑問になります。
ネイル商品説明文事件
東京地裁令和3.8.18令和2(ワ)26567債務不存在確認等請求事件PDF
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官 吉野俊太郎
裁判官 小田誉太郎
*裁判所サイト公表 2021.10.11
*キーワード:商品説明文、著作物性、取扱説明書、テクニカルライター
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■事案
ネイル商品の説明文の著作物性が争点となった事案(確認の訴え)
原告:化粧品ネット販売会社
被告:化粧品ネット販売業者
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号
1 被告説明文の著作物性
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■事案の概要
『原告は,英国法人であるドクターショール社製の白癬菌(水虫)治療キット(以下「本件商品」という。)をインターネット上で販売したり,ユーチューブで宣伝したりするに際し,別紙原告説明文目録1及び2記載の商品説明文(以下,「原告説明文1」などといい,併せて「原告説明文」という。)を使用したところ,被告から,原告説明文は,被告が本件商品をインターネット上で販売する際に使用する別紙被告説明文目録記載の商品説明文(以下「被告説明文」という。)に係る被告の著作権及び著作者人格権を侵害するものであるとして,損害賠償金300万円の支払を請求された。
本件は,以上の事実関係を前提として,原告が,被告に対し,被告説明文に係る被告の著作権及び著作者人格権侵害に基づく損害賠償債務が存在しないことの確認を求める事案である。』(1頁以下)
<経緯>
H30.03 被告が被告説明文を使用
H30.05 原告が原告説明文1を使用
H31.04 原告が原告説明文2を使用
R2.02 被告が原告に損害賠償請求
本件商品:ドクターショール社が製造し欧米で販売する製品。爪の間に白癬菌が侵食し、爪が黄色や茶色に変色する爪白癬(爪水虫)を予防・治療するためのネイル及びヤスリのキット
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■判決内容
<争点>
1 被告説明文の著作物性
裁判所は、被告説明文の(ア)から(エ)の記載について、
(ア) 製品の出所、特性、効能の記載
(イ)〜(エ)テスト済み、症状、使用方法の記載
いずれも、
「客観的な事実をできる限り正確かつ明確に説明することが求められており,思想又は感情を創作的に表現する幅は狭く,表現の選択肢は限られたものとなると考えられる」
として、被告説明文には全体として著作物性は認められないと判断。
結論として、原告が被告に対して被告説明文に係る被告の著作権及び著作者人格権侵害に基づく損害賠償債務が存在しないことの確認請求が認容されています(3頁以下)。
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■コメント
被告が訴訟手続に対応していないため、原告の請求が全部認容されています。ですので、被告説明文に著作物性がないとの判断は、そのあたりも加味した上での事例判断になるかと思われます。
なお、原告の主張部分に、「被告説明文の大部分は,外国語で書かれた本件商品及びその取扱説明書の日本語訳と同一の内容であり,被告説明文は,それらに依拠して作成されたものであることからすれば,被告独自の創作性は認められない。」(3頁)とあります。仮にこれが事実であれば、また、被告説明文が日本語訳のオリジナルであったのか、そもそも被告が原告に日本語訳の説明文について、著作権侵害を請求できるだけの根拠を持っていたのかも疑問になります。