最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「放置少女」放置系RPGアプリゲーム類否事件(控訴審)

知財高裁令和3.9.29令和3(ネ)10028損害賠償等請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官    小林康彦
裁判官    小川卓逸

*裁判所サイト公表 2021.10.01
*キーワード:ゲーム、複製、翻案、編集著作権、一般不法行為論

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■事案

歴史をテーマとする美少女育成型の放置系RPG(スマホアプリ)の類否が争点となった事案の控訴審

控訴人(1審原告) :ネットサービス会社
被控訴人(1審被告):スマホアプリ企画制作会社

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法21条、27条、民法709条

1 控訴人が本件著作権の共有持分権を有するか
2 被控訴人ゲームの制作・配信行為が本件著作権を侵害するか
3 被控訴人の被告ゲームの制作及び配信による一般不法行為の成否

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■事案の概要

『本件は,控訴人が,被控訴人が別紙被告ゲーム目録記載のゲーム(以下「被告ゲーム」という。)を制作及び配信する行為が,控訴人が関連会社2社(北京COM4LOVES及び香港COM4LOVES)と共有する別紙原告ゲーム目録記載のゲーム(以下「原告ゲーム」という。)に係る著作物(ゲームの構成,機能,画面配置等及びこれらの組合せ,プログラム)の著作権(複製権,翻案権及び公衆送信権)の侵害に当たる旨主張して,被控訴人に対し,著作権法112条1項及び2項に基づき,被告ゲームの複製等の差止め及び記録媒体からの記録の削除を求めるとともに,著作権侵害の不法行為による損害賠償として5760万円及びうち480万円に対する平成30年10月2日(訴状送達の日の翌日)から,うち5280万円に対する令和2年2月5日(同年1月22日付け訴えの変更申立書送達の日の翌日)から各支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定(以下「改正前民法所定」という。)の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 』

『原審は,控訴人が原告ゲームの著作権(以下「本件著作権」という。)の共有持分権を有することは認められるが,被告ゲームは原告ゲームの構成,機能,画面配置等及びこれらの組合せを複製又は翻案したものであるとはいえず,被告ゲームに係るソースコードは原告ゲームに係るソースコードを複製又は翻案したものであるともいえないとして,控訴人の請求をいずれも棄却した。』

『そこで,控訴人は,原判決中,著作権侵害の不法行為による損害賠償請求を棄却した部分のみを不服として本件控訴を提起した。
 また,控訴人は,当審において,被控訴人による上記行為により控訴人の法的保護に値する営業上の利益の侵害を被った旨主張して,一般不法行為による損害賠償請求を選択的に追加する旨の訴えの変更をした。』
(2頁)

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■判決内容

<争点>

1 控訴人が本件著作権の共有持分権を有するか

控訴人(1審原告)が本件著作権の共有持分権(翻案権を含む)を有しているとの原審の判断が控訴審でも維持されています(9頁)。

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2 被控訴人ゲームの制作・配信行為が本件著作権を侵害するか

結論として、控訴人の著作権侵害(複製権、翻案権、公衆送信権、編集著作権)の主張は認められていません(9頁以下)。

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3 被控訴人の被告ゲームの制作及び配信による一般不法行為の成否

控訴人は、控訴審において追加請求として、多大な費用、時間と労力をかけて控訴人はゲームを制作し、これを配信して営業活動を行っており、被控訴人は控訴人のゲームの各種データをほぼ全面的にデッドコピーしており、控訴人に対する一般不法行為を構成する旨主張しました(12頁以下)。
この点について、控訴審は、被控訴人による被告ゲームの制作及び配信行為が自由競争の範囲を逸脱し、又は控訴人の営業を妨害して、控訴人に損害を加えることを目的とするなどの特段の事情は認められないなどとして、控訴人の一般不法行為の成立の主張を認めていません。

結論として、控訴棄却となっています。

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■コメント

原審の判断が控訴審でも維持されています。また、控訴審で追加請求の一般不法行為論についても認められていません。

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■過去のブログ記事

東京地裁令和3.2.18平成30(ワ)28994損害賠償等請求事件
原審記事