最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
競艇予想比較サイト発信者情報開示請求事件
東京地裁令和3.9.3令和3(ワ)6718発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官 小川 暁
裁判官 矢野紀夫
*裁判所サイト公表 2021.9.22
*キーワード:写真、キャッチコピー、著作物性、引用、発信者情報開示請求
--------------------
■事案
競艇予想サイトの画像が比較サイトで無断で使用された事案の発信者情報開示請求案件
原告:競艇予想情報提供会社
被告:プロバイダ
--------------------
■結論
請求認容
--------------------
■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、23条、32条、プロバイダ責任制限法4条1項
1 権利侵害の明白性
2 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無
--------------------
■事案の概要
『本件は,原告が,インターネットの接続に関する業務等を行う被告に対し,氏名不詳者(以下「本件発信者」という。)が,被告が管理するサーバーコンピュータによりインターネット上に開設された,別紙1発信者情報目録記載のURLで特定されるウェブページ(以下「本件ウェブページ」という。)に別紙2発信者掲載画像目録記載の画像(以下「本件画像」という。)を掲載したことにより,別紙3原告画像目録記載の画像(以下「原告画像」という。)に係る原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことが明らかであり,本件発信者に対する本件画像の消去請求権及び損害賠償請求権の行使のため,被告が保有する別紙1発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を受けるべき正当な理由があると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,本件発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)
--------------------
■判決内容
<争点>
1 権利侵害の明白性
(1)原告画像一部の著作物性の有無
原告画像一部は、『最上部に,原告の会社名とともに「競艇予想のプロ集団」等と記載され,その直下に,原告画像一部の横幅全体にわたって原告写真が配置されており,原告写真は,机を囲んで着席し,会議中の様相を呈したスーツ姿の男女8名が,一斉にカメラの方向に顔及び視線を向けた状況を写したもの」で、カメラマンが撮影したものでした(5頁以下)。
結論として、裁判所は、原告写真とその原告画像一部の著作物性を肯定しています。
(2)原告画像の著作権の帰属
キャッチフレーズの制作と撮影を外注しており、外注先から原告は著作権譲渡を受けていると裁判所は認定。原告に原告画像の著作権が帰属していると判断しています(6頁)。
(3)適法な引用の成否
裁判所は、本件ウェブページにおいて批評の対象である原告ウェブサイトを示すために本件画像を掲載する必要性は乏しいなどと判断(6頁以下)。
結論として、社会通念に照らして合理的な範囲内のものであるとはいえないし,引用して利用することが公正な慣行に合致するともいえないとして、引用には該当しないと判断しています。
小括として、本件発信者の掲載行為によって、原告画像に係る原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことは明白であると裁判所は判断しています。
--------------------
2 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無
原告は、本件発信者に対して原告画像に係る原告の著作権が侵害されたことについて、本件画像の消去請求及び不法行為に基づく損害賠償請求をする意思を有しており、そのために被告が保有する本件発信者情報の開示を受ける必要があるものと裁判所は判断。
原告には本件発信者情報の「開示を受けるべき正当な理由がある」(プロバイダ責任制限法4条1項2号)と認められると判断しています(10頁)。
結論として、原告の請求が認容されています。
--------------------
■コメント
比較サイト、まとめサイトで無断で画像が使用されて、評判を落とすような使われ方をしていることからの提訴です。
まとめサイトで当該画像を掲載する必要性がないことから、引用の抗弁が否定されています。
判決文からは本件画像が分かりませんが、原告のサイトに別訴での判決文が掲載されていて、別紙4の部分に人物とキャッチコピーが掲載されている画像がありますので、画像がどのようなものだったのか参考になります。
--------------------
■参考サイト
悪徳競艇予想サイトに勝訴しました!(東京地裁判決文付き)
別訴判決文(東京地裁令和1.7.17平成31(ワ)99発信者情報開示請求事件)
競艇予想比較サイト発信者情報開示請求事件
東京地裁令和3.9.3令和3(ワ)6718発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官 小川 暁
裁判官 矢野紀夫
*裁判所サイト公表 2021.9.22
*キーワード:写真、キャッチコピー、著作物性、引用、発信者情報開示請求
--------------------
■事案
競艇予想サイトの画像が比較サイトで無断で使用された事案の発信者情報開示請求案件
原告:競艇予想情報提供会社
被告:プロバイダ
--------------------
■結論
請求認容
--------------------
■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、23条、32条、プロバイダ責任制限法4条1項
1 権利侵害の明白性
2 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無
--------------------
■事案の概要
『本件は,原告が,インターネットの接続に関する業務等を行う被告に対し,氏名不詳者(以下「本件発信者」という。)が,被告が管理するサーバーコンピュータによりインターネット上に開設された,別紙1発信者情報目録記載のURLで特定されるウェブページ(以下「本件ウェブページ」という。)に別紙2発信者掲載画像目録記載の画像(以下「本件画像」という。)を掲載したことにより,別紙3原告画像目録記載の画像(以下「原告画像」という。)に係る原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことが明らかであり,本件発信者に対する本件画像の消去請求権及び損害賠償請求権の行使のため,被告が保有する別紙1発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を受けるべき正当な理由があると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,本件発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)
--------------------
■判決内容
<争点>
1 権利侵害の明白性
(1)原告画像一部の著作物性の有無
原告画像一部は、『最上部に,原告の会社名とともに「競艇予想のプロ集団」等と記載され,その直下に,原告画像一部の横幅全体にわたって原告写真が配置されており,原告写真は,机を囲んで着席し,会議中の様相を呈したスーツ姿の男女8名が,一斉にカメラの方向に顔及び視線を向けた状況を写したもの」で、カメラマンが撮影したものでした(5頁以下)。
結論として、裁判所は、原告写真とその原告画像一部の著作物性を肯定しています。
(2)原告画像の著作権の帰属
キャッチフレーズの制作と撮影を外注しており、外注先から原告は著作権譲渡を受けていると裁判所は認定。原告に原告画像の著作権が帰属していると判断しています(6頁)。
(3)適法な引用の成否
裁判所は、本件ウェブページにおいて批評の対象である原告ウェブサイトを示すために本件画像を掲載する必要性は乏しいなどと判断(6頁以下)。
結論として、社会通念に照らして合理的な範囲内のものであるとはいえないし,引用して利用することが公正な慣行に合致するともいえないとして、引用には該当しないと判断しています。
小括として、本件発信者の掲載行為によって、原告画像に係る原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことは明白であると裁判所は判断しています。
--------------------
2 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無
原告は、本件発信者に対して原告画像に係る原告の著作権が侵害されたことについて、本件画像の消去請求及び不法行為に基づく損害賠償請求をする意思を有しており、そのために被告が保有する本件発信者情報の開示を受ける必要があるものと裁判所は判断。
原告には本件発信者情報の「開示を受けるべき正当な理由がある」(プロバイダ責任制限法4条1項2号)と認められると判断しています(10頁)。
結論として、原告の請求が認容されています。
--------------------
■コメント
比較サイト、まとめサイトで無断で画像が使用されて、評判を落とすような使われ方をしていることからの提訴です。
まとめサイトで当該画像を掲載する必要性がないことから、引用の抗弁が否定されています。
判決文からは本件画像が分かりませんが、原告のサイトに別訴での判決文が掲載されていて、別紙4の部分に人物とキャッチコピーが掲載されている画像がありますので、画像がどのようなものだったのか参考になります。
--------------------
■参考サイト
悪徳競艇予想サイトに勝訴しました!(東京地裁判決文付き)
別訴判決文(東京地裁令和1.7.17平成31(ワ)99発信者情報開示請求事件)