最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
YouTube動画テロップ事件
大阪地裁令和3.9.6令和3(ワ)2526発信者情報開示請求事件PDF
別紙
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官 杉浦一輝
裁判官 峯健一郎
*裁判所サイト公表 2021.9.9
*キーワード:テロップ、ナレーション、著作物性、複製、翻案、発信者情報開示
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■事案
YouTube動画のテロップ部分のブログへの無断複製が争点となった事案
原告:動画配信チャンネル運営者
被告:プロバイダ
--------------------
■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、27条、プロバイダ責任制限法4条1項
1 本件テロップの著作物性の有無
2 著作権侵害の成否
3 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無
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■事案の概要
『本件は,別紙著作物目録記載の著作物である動画テロップ(以下「本件テロップ」という。)を創作したとする原告が,氏名不詳者(以下「本件投稿者」という。)が別紙投稿記事目録記載の記事(以下「本件記事」という)を被告の管理するサーバ(以下「被告サーバ」という。)を使用してウェブサイトに投稿したことにより原告の著作権(複製権,翻案権,公衆送信権)及び営業権が侵害されたことは明らかであると主張し,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,別紙発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
R2.06 原告が動画を本件チャンネルに投稿、公開
R2.07 本件投稿者が本件サイトに記事を投稿
原告サイト名(チャンネル名) :感動アニマルズ〜動物たちの感動物語
動画タイトル:幼いライオンを救った男性。野生に戻した1年後の再会に涙が溢れる【感動】
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■判決内容
<争点>
1 本件テロップの著作物性の有無
本件テロップは、男性2名と野生のライオンとのエピソードに関して、出来事や登場人物の感情についてのナレーションを字幕で表示しているというものでした(5頁以下)。
このテロップの著作物性について、被告は、閲覧者の理解を助ける程度の簡潔な表現であり、既存のストーリーに沿って映像の内容を説明しているものに過ぎず、本件テロップに独自性や創作性は認められないと反論しました。
この点について、裁判所は、映像とBGMのみでは動画の内容を正しく把握することはできず、その意味で本件テロップ及びこれを朗読したナレーションは、その余の構成部分に比しても本件動画の中で重要な役割を担うものであると判断。
結論として、本件テロップはその作成者である原告の思想及び感情を創作的に表現したものであり、言語の著作物にあたると判断しています。
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2 著作権侵害の成否
裁判所は、本件テロップと本件記事の各内容を比較した上で、内容的には本件テロップの表現を若干修正したり、要約又は省略したり、前後の表現を入れ替えるなどしているにとどまり、実質的にほぼ同一の内容を表現したものであると判断。
結論として、本件投稿は、少なくとも原告の本件テロップに係る複製権又は翻案権を侵害すると判断しています(6頁以下)。
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3 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無
裁判所は、不法行為に基づく損害賠償請求等をする意思を原告が有していること、また、その権利行使のために被告が保有する本件発信者情報の開示を受ける必要があると認定。原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると判断しています(8頁以下)。
結論として、原告の発信者情報開示請求が認容されています。
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■コメント
別紙に詳しく内容が記載されており、YouTubeのリンクもありましたので、7分ほどの動画コンテンツを観てみました。原告動画自体は、他者のコンテンツの画像や事実を素材に再構成したものかと思われます。
そういう意味では、ライオンの保護活動のサイトやBBC、有料配信などのオリジナルのコンテンツに付されていたであろうナレーションや説明文と原告のナレーション(テロップ)がどのくらい違うものなのかも関心を引くところです。
YouTube動画テロップ事件
大阪地裁令和3.9.6令和3(ワ)2526発信者情報開示請求事件PDF
別紙
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官 杉浦一輝
裁判官 峯健一郎
*裁判所サイト公表 2021.9.9
*キーワード:テロップ、ナレーション、著作物性、複製、翻案、発信者情報開示
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■事案
YouTube動画のテロップ部分のブログへの無断複製が争点となった事案
原告:動画配信チャンネル運営者
被告:プロバイダ
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、27条、プロバイダ責任制限法4条1項
1 本件テロップの著作物性の有無
2 著作権侵害の成否
3 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無
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■事案の概要
『本件は,別紙著作物目録記載の著作物である動画テロップ(以下「本件テロップ」という。)を創作したとする原告が,氏名不詳者(以下「本件投稿者」という。)が別紙投稿記事目録記載の記事(以下「本件記事」という)を被告の管理するサーバ(以下「被告サーバ」という。)を使用してウェブサイトに投稿したことにより原告の著作権(複製権,翻案権,公衆送信権)及び営業権が侵害されたことは明らかであると主張し,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,別紙発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
R2.06 原告が動画を本件チャンネルに投稿、公開
R2.07 本件投稿者が本件サイトに記事を投稿
原告サイト名(チャンネル名) :感動アニマルズ〜動物たちの感動物語
動画タイトル:幼いライオンを救った男性。野生に戻した1年後の再会に涙が溢れる【感動】
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■判決内容
<争点>
1 本件テロップの著作物性の有無
本件テロップは、男性2名と野生のライオンとのエピソードに関して、出来事や登場人物の感情についてのナレーションを字幕で表示しているというものでした(5頁以下)。
このテロップの著作物性について、被告は、閲覧者の理解を助ける程度の簡潔な表現であり、既存のストーリーに沿って映像の内容を説明しているものに過ぎず、本件テロップに独自性や創作性は認められないと反論しました。
この点について、裁判所は、映像とBGMのみでは動画の内容を正しく把握することはできず、その意味で本件テロップ及びこれを朗読したナレーションは、その余の構成部分に比しても本件動画の中で重要な役割を担うものであると判断。
結論として、本件テロップはその作成者である原告の思想及び感情を創作的に表現したものであり、言語の著作物にあたると判断しています。
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2 著作権侵害の成否
裁判所は、本件テロップと本件記事の各内容を比較した上で、内容的には本件テロップの表現を若干修正したり、要約又は省略したり、前後の表現を入れ替えるなどしているにとどまり、実質的にほぼ同一の内容を表現したものであると判断。
結論として、本件投稿は、少なくとも原告の本件テロップに係る複製権又は翻案権を侵害すると判断しています(6頁以下)。
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3 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無
裁判所は、不法行為に基づく損害賠償請求等をする意思を原告が有していること、また、その権利行使のために被告が保有する本件発信者情報の開示を受ける必要があると認定。原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると判断しています(8頁以下)。
結論として、原告の発信者情報開示請求が認容されています。
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■コメント
別紙に詳しく内容が記載されており、YouTubeのリンクもありましたので、7分ほどの動画コンテンツを観てみました。原告動画自体は、他者のコンテンツの画像や事実を素材に再構成したものかと思われます。
そういう意味では、ライオンの保護活動のサイトやBBC、有料配信などのオリジナルのコンテンツに付されていたであろうナレーションや説明文と原告のナレーション(テロップ)がどのくらい違うものなのかも関心を引くところです。