最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
りんごイラスト無断掲載事件
東京地裁令和3.6.30令和3(レ)128著作権侵害損害賠償請求控訴事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官 吉野俊太郎
裁判官 齊藤 敦
原審:東京簡易裁判所令和元年(ハ)25881
*裁判所サイト公表 2021.7.29
*キーワード:イラスト、損害論
--------------------
■事案
リンゴのイラストが無断でお菓子販売会社のサイトに掲載された事案
控訴人兼被控訴人(1審原告):イラストレーター
被控訴人兼控訴人(1審被告):洋菓子製造販売会社
--------------------
■結論
原判決変更
--------------------
■争点
条文 著作権法114条
1 損害論
--------------------
■事案の概要
『本件は,一審原告が,一審被告に対し,一審被告が,一審原告が著作権を有する別紙1著作物目録記載のりんごのイラスト画像(以下「本件イラスト」という。)を,一審原告に無断で一審被告のウェブサイト(以下「被告ウェブサイト」という。)に掲載したことにより,本件イラストに係る一審原告の著作権(複製権,公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権,同一性保持権)を侵害したとして,不法行為に基づき,損害賠償金93万4000円(使用料相当損害金34万4000円,慰謝料50万円及び弁護士費用9万円の合計額)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和元年7月3日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
『原審は,一審原告の請求のうち,53万3500円(使用料相当損害金8万5000円,慰謝料40万円及び弁護士費用4万8500円の合計額)及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で一審原告の請求を認容し,その余の請求を棄却したところ,一審原告及び一審被告は,いずれも,原判決を不服として控訴した。』
『なお,原審では,(1)著作権及び著作者人格権の侵害の成否及び(2)損害額が争点になったが,一審被告は,当審において,著作権侵害及び著作者人格権侵害の点については争っていないため,当審における争点は,損害額のみである。』
(2頁)
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■判決内容
<争点>
1 損害論
(1)使用料相当損害金
控訴審は、本件においては一審原告がオリジナルイラストの使用を過去に許諾した契約例などを示す証拠はないとして、本件イ
ラストの使用期間、使用箇所、使用態様、類似のイラストの使用許諾例などを総合して使用料相当損害金を定めるのが相当であると説示。
その上で、本件イラストの使用料相当額を1回当たり4万3000円と認定。使用回数5回を乗じた21万5000円を使用料相当損害金と判断しています(6頁以下)。
(2)慰謝料
控訴審は、
・本件イラストが掲載されたのは被告ウェブサイト内にとどまっていること
・掲載箇所も大別すれば5か所である
・その表示態様や大きさもことさらに目立つ態様ではない
・改変も同サイトに所定の大きさで本件イラストを表示するためにされたもの
・掲載期間
など諸事情を勘案して一審被告による著作者人格権に基づく一審原告の精神的苦痛に対する慰謝料を20万円と判断しています。
(3)弁護士費用相当損害金
弁護士費用相当額は4万1500円と認定されています。
結論として、45万6500円が損害額として認定されています。
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■コメント
原審に当たっていないので、詳しい経緯がわかりませんが、イラスト使用許諾といった契約関係上の問題ではなく、無断使用の事案のようです。
原審が簡裁で裁判所サイトに公開された著作権事件で事件番号が(レ)のものは珍しいかもしれません。
結論としては、使用料相当損害金は増額、慰謝料が減額で、合計では減額の結果となっています。
りんごイラスト無断掲載事件
東京地裁令和3.6.30令和3(レ)128著作権侵害損害賠償請求控訴事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官 吉野俊太郎
裁判官 齊藤 敦
原審:東京簡易裁判所令和元年(ハ)25881
*裁判所サイト公表 2021.7.29
*キーワード:イラスト、損害論
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■事案
リンゴのイラストが無断でお菓子販売会社のサイトに掲載された事案
控訴人兼被控訴人(1審原告):イラストレーター
被控訴人兼控訴人(1審被告):洋菓子製造販売会社
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■結論
原判決変更
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■争点
条文 著作権法114条
1 損害論
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■事案の概要
『本件は,一審原告が,一審被告に対し,一審被告が,一審原告が著作権を有する別紙1著作物目録記載のりんごのイラスト画像(以下「本件イラスト」という。)を,一審原告に無断で一審被告のウェブサイト(以下「被告ウェブサイト」という。)に掲載したことにより,本件イラストに係る一審原告の著作権(複製権,公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権,同一性保持権)を侵害したとして,不法行為に基づき,損害賠償金93万4000円(使用料相当損害金34万4000円,慰謝料50万円及び弁護士費用9万円の合計額)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和元年7月3日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
『原審は,一審原告の請求のうち,53万3500円(使用料相当損害金8万5000円,慰謝料40万円及び弁護士費用4万8500円の合計額)及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で一審原告の請求を認容し,その余の請求を棄却したところ,一審原告及び一審被告は,いずれも,原判決を不服として控訴した。』
『なお,原審では,(1)著作権及び著作者人格権の侵害の成否及び(2)損害額が争点になったが,一審被告は,当審において,著作権侵害及び著作者人格権侵害の点については争っていないため,当審における争点は,損害額のみである。』
(2頁)
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■判決内容
<争点>
1 損害論
(1)使用料相当損害金
控訴審は、本件においては一審原告がオリジナルイラストの使用を過去に許諾した契約例などを示す証拠はないとして、本件イ
ラストの使用期間、使用箇所、使用態様、類似のイラストの使用許諾例などを総合して使用料相当損害金を定めるのが相当であると説示。
その上で、本件イラストの使用料相当額を1回当たり4万3000円と認定。使用回数5回を乗じた21万5000円を使用料相当損害金と判断しています(6頁以下)。
(2)慰謝料
控訴審は、
・本件イラストが掲載されたのは被告ウェブサイト内にとどまっていること
・掲載箇所も大別すれば5か所である
・その表示態様や大きさもことさらに目立つ態様ではない
・改変も同サイトに所定の大きさで本件イラストを表示するためにされたもの
・掲載期間
など諸事情を勘案して一審被告による著作者人格権に基づく一審原告の精神的苦痛に対する慰謝料を20万円と判断しています。
(3)弁護士費用相当損害金
弁護士費用相当額は4万1500円と認定されています。
結論として、45万6500円が損害額として認定されています。
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■コメント
原審に当たっていないので、詳しい経緯がわかりませんが、イラスト使用許諾といった契約関係上の問題ではなく、無断使用の事案のようです。
原審が簡裁で裁判所サイトに公開された著作権事件で事件番号が(レ)のものは珍しいかもしれません。
結論としては、使用料相当損害金は増額、慰謝料が減額で、合計では減額の結果となっています。