最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
#KuTooツイート引用事件
東京地裁令和3.5.26令和2(ワ)19351損害賠償等請求事件PDF
別紙
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官 齊藤 敦
裁判官 三井大有
*裁判所サイト公表 2021.7.15
*キーワード:ツイート、引用、侮辱、名誉棄損
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■事案
ツイート内容の書籍掲載が引用にあたるかどうかが争点となった事案
原告:ツイッター投稿者
被告:#KuTooの活動者、出版社
--------------------
■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法32条、20条
1 本件批評における本件ツイートの複製が引用に当たるか
2 同一性保持権侵害の成否
3 名誉感情毀損による不法行為の成否
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■事案の概要
『本件は,ソーシャル・ネットワーキング・サービス「Twitter」(以下「ツイッター」という。)に原告が投稿した別紙「原告ツイート」記載のツイート(以下「本件ツイート」という。)について,被告Yが,その全文を複製した上で,これを批判する文章を執筆し,被告会社が別紙書籍目録記載の書籍(以下「本件書籍」という。)に同文章を掲載して出版した行為が,原告の著作権(複製権又は翻案権),著作者人格権(同一性保持権)及び名誉感情を侵害すると主張し,原告が,被告らに対し,民法719条,709条,著作権法114条3項に基づく損害賠償として220万3300円及びこれに対する不法行為の日(出版日)である令和元年11月12日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,著作権法112条1項に基づく本件書籍の複製及び頒布の差止め並びに同条2項に基づく本件書籍の廃棄を求める事案である。』
<経緯>
H31.01 被告Yが「靴」と「苦痛」に「#MeToo」を掛け合わせた「#KuToo」(クートゥー)活動を始める
R1.06 原告が「#KuTooに反発する人へ」と題する引用ツイートをツイッターに掲載
R1.06 原告が「逆に言いますが 男性が海パンで出勤しても#kutooの賛同者はそれを容認するということでよろしいですか?」とツイート(本件ツイート)
R1.11 被告出版社が本件書籍刊行
本件書籍:「#KuToo(クートゥー)靴から考える本気のフェミニズム」
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■判決内容
<争点>
1 本件批評における本件ツイートの複製が引用に当たるか
被告らは、本件批評における本件ツイートの書籍掲載は著作権法32条1項の引用に当たるとして、著作権(複製権又は翻案権)侵害は成立しないと反論しました。
この点について、裁判所は、引用の意義、要件に言及した上で本件ツイートの複製掲載行為を検討。結論として引用に当たると判断しています(18頁以下)。
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2 同一性保持権侵害の成否
原告は、本件批評中において本件ツイートのハッシュタグ化されていない「#kutoo」を、本件書籍内でハッシュタグの意味で用いられている「#KuToo」に改変した行為は、原告の意に反して本件ツイートに係る原告の思想又は感情の創作的表現を改変する行為であるとして、原告の同一性保持権(20条)を侵害すると主張しました。
この点について、裁判所は、本件批評における「#KuToo」との表記は「#kutoo」の誤記であると認められ、その意味に実質的な変更はないと判断。本件書籍の読者も「#KuToo」を「#kutoo」と表記することによって本件ツイートの意味内容を誤解することはない点も勘案した上で、同一性保持権侵害性を否定しています(25頁以下)。
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3 名誉感情毀損による不法行為の成否
原告は、被告Yは本件ツイートの「#kutoo」を「#KuToo」に改変して、本件ツイートの趣旨を被告Yに対する「クソリプ」となるように歪めた上で、原告が現実社会では存在しないほど特異な人物であるとの印象を読者に与えるなどしたものであり、被告Yの行為は社会通念上許容される範囲を超えて原告の名誉感情を侵害するものであるとして、不法行為を構成すると主張しました(26頁以下)。
この点について、裁判所は、インターネット上の電子掲示板にされた書き込みの発信者情報開示請求事件に関する最高裁判例に言及した上で、人格的利益の侵害の有無を検討。
被告らの掲載行為に原告の名誉感情を侵害する部分があるとしても、これらの表現が社会通念上許される限度を超える侮辱行為に該当するということはできないと判断。原告の主張を認めていません。
結論として、原告の主張は認められず、棄却されています。
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■コメント
原告は、自身の一連のツイート行為は被告の活動を批判、非難しているわけではない、と反論しましたが、裁判所は認めていません。
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■参考サイト
#KuToo(クートゥー)――靴から考える本気のフェミニズム
書籍情報
「石川優実さん勝訴、本で紹介した「#KuToo」批判ツイートは「著作権侵害」にあたらず」
(弁護士ドットコムニュース 5/26(水) 22:52配信)
記事
#KuTooツイート引用事件
東京地裁令和3.5.26令和2(ワ)19351損害賠償等請求事件PDF
別紙
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官 齊藤 敦
裁判官 三井大有
*裁判所サイト公表 2021.7.15
*キーワード:ツイート、引用、侮辱、名誉棄損
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■事案
ツイート内容の書籍掲載が引用にあたるかどうかが争点となった事案
原告:ツイッター投稿者
被告:#KuTooの活動者、出版社
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法32条、20条
1 本件批評における本件ツイートの複製が引用に当たるか
2 同一性保持権侵害の成否
3 名誉感情毀損による不法行為の成否
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■事案の概要
『本件は,ソーシャル・ネットワーキング・サービス「Twitter」(以下「ツイッター」という。)に原告が投稿した別紙「原告ツイート」記載のツイート(以下「本件ツイート」という。)について,被告Yが,その全文を複製した上で,これを批判する文章を執筆し,被告会社が別紙書籍目録記載の書籍(以下「本件書籍」という。)に同文章を掲載して出版した行為が,原告の著作権(複製権又は翻案権),著作者人格権(同一性保持権)及び名誉感情を侵害すると主張し,原告が,被告らに対し,民法719条,709条,著作権法114条3項に基づく損害賠償として220万3300円及びこれに対する不法行為の日(出版日)である令和元年11月12日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,著作権法112条1項に基づく本件書籍の複製及び頒布の差止め並びに同条2項に基づく本件書籍の廃棄を求める事案である。』
<経緯>
H31.01 被告Yが「靴」と「苦痛」に「#MeToo」を掛け合わせた「#KuToo」(クートゥー)活動を始める
R1.06 原告が「#KuTooに反発する人へ」と題する引用ツイートをツイッターに掲載
R1.06 原告が「逆に言いますが 男性が海パンで出勤しても#kutooの賛同者はそれを容認するということでよろしいですか?」とツイート(本件ツイート)
R1.11 被告出版社が本件書籍刊行
本件書籍:「#KuToo(クートゥー)靴から考える本気のフェミニズム」
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■判決内容
<争点>
1 本件批評における本件ツイートの複製が引用に当たるか
被告らは、本件批評における本件ツイートの書籍掲載は著作権法32条1項の引用に当たるとして、著作権(複製権又は翻案権)侵害は成立しないと反論しました。
この点について、裁判所は、引用の意義、要件に言及した上で本件ツイートの複製掲載行為を検討。結論として引用に当たると判断しています(18頁以下)。
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2 同一性保持権侵害の成否
原告は、本件批評中において本件ツイートのハッシュタグ化されていない「#kutoo」を、本件書籍内でハッシュタグの意味で用いられている「#KuToo」に改変した行為は、原告の意に反して本件ツイートに係る原告の思想又は感情の創作的表現を改変する行為であるとして、原告の同一性保持権(20条)を侵害すると主張しました。
この点について、裁判所は、本件批評における「#KuToo」との表記は「#kutoo」の誤記であると認められ、その意味に実質的な変更はないと判断。本件書籍の読者も「#KuToo」を「#kutoo」と表記することによって本件ツイートの意味内容を誤解することはない点も勘案した上で、同一性保持権侵害性を否定しています(25頁以下)。
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3 名誉感情毀損による不法行為の成否
原告は、被告Yは本件ツイートの「#kutoo」を「#KuToo」に改変して、本件ツイートの趣旨を被告Yに対する「クソリプ」となるように歪めた上で、原告が現実社会では存在しないほど特異な人物であるとの印象を読者に与えるなどしたものであり、被告Yの行為は社会通念上許容される範囲を超えて原告の名誉感情を侵害するものであるとして、不法行為を構成すると主張しました(26頁以下)。
この点について、裁判所は、インターネット上の電子掲示板にされた書き込みの発信者情報開示請求事件に関する最高裁判例に言及した上で、人格的利益の侵害の有無を検討。
被告らの掲載行為に原告の名誉感情を侵害する部分があるとしても、これらの表現が社会通念上許される限度を超える侮辱行為に該当するということはできないと判断。原告の主張を認めていません。
結論として、原告の主張は認められず、棄却されています。
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■コメント
原告は、自身の一連のツイート行為は被告の活動を批判、非難しているわけではない、と反論しましたが、裁判所は認めていません。
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■参考サイト
#KuToo(クートゥー)――靴から考える本気のフェミニズム
書籍情報
「石川優実さん勝訴、本で紹介した「#KuToo」批判ツイートは「著作権侵害」にあたらず」
(弁護士ドットコムニュース 5/26(水) 22:52配信)
記事