最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
壁掛けデザイン時計無断製品化事件
大阪地裁令和3.6.24令和2(ワ)9992著作権侵害差止等請求事件PDF
別紙1
別紙2
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官 杉浦一輝
裁判官 布目真利子
*裁判所サイト公表 2021.7.9
*キーワード:美術の著作物、応用美術、時計
--------------------
■事案
時計の原画から無断で製品が製作された事案
原告:デザイン雑貨販売会社
被告:雑貨販売会社
--------------------
■結論
請求棄却
--------------------
■争点
条文 著作権法2条1項1号、2条2項
1 本件原画の著作物性
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■事案の概要
『本件は,原告が,被告が販売する別紙対象製品目録記載の時計(以下「被告製品」という。)は原告が著作権を有する著作物である別紙写真目録記載の原画(以下「本件原画」という。)を複製したものであるから,被告による被告製品の販売行為は本件原画に係る原告の著作権(複製権)を侵害していると主張して,被告に対し,著作権に基づく被告製品の頒布差止め(著作権法112条1項)及び廃棄(同条2項)を求めると共に,民法709条に基づく損害賠償として525万3660円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(令和2年11月25日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(2頁以下)
<経緯>
H26.02 原告が本件原画を制作。原告製品を販売
H30 被告製品販売
--------------------
■判決内容
<争点>
1 本件原画の著作物性
本件原画は一般向けの販売を目的とする時計のデザインを記載した原画でした。本件原画の美術の著作物性について、裁判所は、応用美術論について言及。
そのうえで結論として、本件原画は実用目的に必要な構成と分離して美的鑑賞の対象となる美的特性を備えている部分を把握することができないものであると判断。これを純粋美術の著作物と客観的に同一なものと見ることはできず著作物とは認められないとしています。
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■コメント
デザイン壁掛時計の原画から無断製品化した事案です。
原告は、この原画をもとに商品として時計を量産しているので、不正競争防止法での対応がまず考えられますが、その点は別訴でしょうか。
添付別紙があり、被告製品と原告の原画といわれるものがわかりますが、原画というのは、写真でしょうか、CGでしょうか。なぜ、この画像自体の美術の著作物性を争点とするのか、状況がよくわかりませんが、原告と思われるウェブサイトをみてみると、原告はデザイン企画会社のようでして、デザインに関する著作権者ではあるが、製品販売はデザイン制作発注先の別会社といった事情でもあったのでしょうか(損害論で売上減少を損害として、粗利、販売個数をもとに主張しているので、そうでもないようですが)。
壁掛けデザイン時計無断製品化事件
大阪地裁令和3.6.24令和2(ワ)9992著作権侵害差止等請求事件PDF
別紙1
別紙2
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官 杉浦一輝
裁判官 布目真利子
*裁判所サイト公表 2021.7.9
*キーワード:美術の著作物、応用美術、時計
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■事案
時計の原画から無断で製品が製作された事案
原告:デザイン雑貨販売会社
被告:雑貨販売会社
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、2条2項
1 本件原画の著作物性
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■事案の概要
『本件は,原告が,被告が販売する別紙対象製品目録記載の時計(以下「被告製品」という。)は原告が著作権を有する著作物である別紙写真目録記載の原画(以下「本件原画」という。)を複製したものであるから,被告による被告製品の販売行為は本件原画に係る原告の著作権(複製権)を侵害していると主張して,被告に対し,著作権に基づく被告製品の頒布差止め(著作権法112条1項)及び廃棄(同条2項)を求めると共に,民法709条に基づく損害賠償として525万3660円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(令和2年11月25日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(2頁以下)
<経緯>
H26.02 原告が本件原画を制作。原告製品を販売
H30 被告製品販売
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■判決内容
<争点>
1 本件原画の著作物性
本件原画は一般向けの販売を目的とする時計のデザインを記載した原画でした。本件原画の美術の著作物性について、裁判所は、応用美術論について言及。
そのうえで結論として、本件原画は実用目的に必要な構成と分離して美的鑑賞の対象となる美的特性を備えている部分を把握することができないものであると判断。これを純粋美術の著作物と客観的に同一なものと見ることはできず著作物とは認められないとしています。
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■コメント
デザイン壁掛時計の原画から無断製品化した事案です。
原告は、この原画をもとに商品として時計を量産しているので、不正競争防止法での対応がまず考えられますが、その点は別訴でしょうか。
添付別紙があり、被告製品と原告の原画といわれるものがわかりますが、原画というのは、写真でしょうか、CGでしょうか。なぜ、この画像自体の美術の著作物性を争点とするのか、状況がよくわかりませんが、原告と思われるウェブサイトをみてみると、原告はデザイン企画会社のようでして、デザインに関する著作権者ではあるが、製品販売はデザイン制作発注先の別会社といった事情でもあったのでしょうか(損害論で売上減少を損害として、粗利、販売個数をもとに主張しているので、そうでもないようですが)。